滑り軸受の潤滑剤の推奨事項

このプログラムは、指定した軸受の寸法と荷重に従って、一覧から適切な潤滑液体を選択します。計算手順は、完全な軸受チェック計算と同様です。最終的に、潤滑剤の推奨以外に、軸受出口における潤滑剤の温度が計算できます。

潤滑剤の選択プロセスでは、軸受の滑り面が完全に分離し、流体潤滑を維持するのに必要な最低限の油層に基づいて計算が行われます。慣らしを考慮した上での軸受油層の最低限の厚さ、滑り面の表面指示記号、潤滑液の硬粒子のサイズは、オイル フィルタの透過率により決定され、これは次の公式を使って計算します。

h min - 3.4 (R aH + R aL ) + o [μm]

慣らしを考慮しない軸受の場合、公式は次のようになります。

h min - 4.5 (R aH + R aL ) + o [μm]

このプログラムは、油層の最小限の厚さの値に基づいて、必要な相対ジャーナル偏心を計算します。

相対ジャーナル偏心度の推奨値は、0.7 から 0.96です。

軸受の性能を表わすゾンマーフェルト数は、相対ジャーナル変心と軸受の相対幅に関連したダイアグラムから決定します。

ゾンマーフェルト数の推奨値は、1 から 15 です。この方法で決定したゾンマーフェルト数に対して、軸受出口で予測される平均潤滑温度に必要な潤滑粘度は簡単に計算されます。

このプログラムは、期待される出口における潤滑剤温度と計算された動粘度に従って、一覧から対応する油を選択します。次に、この油について軸受の熱平衡の状態が作成されます。計算された平衡の結果は、軸受出口における平均潤滑剤温度です。

予測温度が計算された温度と一致しない場合(2 °C の誤差は許容)、指定した潤滑剤が軸受に適さないことになります。予測温度と計算された温度の線形補間によって決定した新しい温度値で、計算全体が繰り返されます。計算の反復は、指定された要求値が求められるまで続けます。

使用される変数の意味:

Δd

直径のクリアランス [mm]

h min

軸受の滑り面が全体的にスムーズに分離する、潤滑層の最低の厚さ[μm]

o

オイル フィルタの透過率で決まる、油の硬化粒子の最小サイズ[μm]

p m

軸受の応力 [Mpa]

R ah

ジャーナルの表面指示記号[μm]

R aL

軸受の表面指示記号[μm]

S o

ゾンマーフェルト数 [-]

ε

相対ジャーナル偏心度 [-]

η

軸受出口における平均温度の潤滑剤動的粘度 [Pa s]

φ

相対直径のクリアランス [mm]

ω

軸受ジャーナルの動圧効果による角速度[s -1 ]