kick を使用する

はじめに

Arnold のコマンド ライン レンダラは kick と呼ばれます。このレンダラは、.ass ファイルおよび .usd ファイルを読み込み、Arnold を使用してシーンをレンダリングし、イメージ ファイルを出力することができます。また、kick を使用して Arnold のノードを照会し、パラメータや既定値を調べることもできます。シーンのデバッグにも使用できます。

kick はプラグインのダウンロードに含まれています。インストールが終わると、kick は Arnold ディストリビューションの bin サブディレクトリに置かれます。

kick の実行

kick を実行するには、最初にシェル(ターミナル)を開きます。Windows OS の例を以下に示します。

kick は必ず現在のディレクトリからシェーダとプロシージャルをロードするため、他の DLL/SO/DYLIB が多数含まれるフォルダでは kick を実行しないでください。kick が、各 DLL/SO/DYLIB をロードしてシェーダやプロシージャルが含まれているかどうかを確認しようとします。

$ set ARNOLD_BIN_PATH=C:\solidangle\Arnold-5.0.0.0\bin
$ %ARNOLD_BIN_PATH%\kick
Arnold 5.0.0.0 [2cfbe09c] linux clang-3.9.1 oiio-1.7.12 osl-1.8.2 vdb-4.0.0 rlm-12.2.2 2017/04/10 16:48:44
No arguments. Try kick --help for a command summary 

役に立つコマンド

以下のコマンドを実行するには、ファイルの 1 つ(cornell.ass など)を「ass ファイルの例」のページからダウンロードします。

「-h」または「--help」は最も便利なコマンドの 1 つです。このコマンドを使用すると、kick で使用可能なすべてのオプションのリストが表示されます。

kick -h 

「-i」オプションを使用して、.ass ファイルを読み取り、それをレンダリングします。

kick -i path/to/cornell.ass 
注:

「-i」オプションは、厳密には必要ありません。kick は .ass の引数の終了を自動的に認識するため、次のように入力することもできます。

kick path/to/cornell.ass 

既定では、レンダリング中のイメージを示すポップアップがウィンドウに表示されます。「-dw」オプションを使用して表示ウィンドウを切り替えることができます。

kick cornell.ass -dw 

ジオメトリがピンク色の場合、シェーダへのパスが必要である可能性があります。これは、「-l」フラグを使用して追加できます。

kick cornell.ass -l /path/to/plugin/shaders/ 

ログ情報は stdout に送信されます。「-v 」オプションを使用して、ログの詳細レベルを増減させることができます(既定の詳細レベルは 1 です)。最も詳細なオプションは 「-v 6」です。

kick cornell.ass -v 2 

「-v 0」を使用してログ出力をオフに切り替えます。

kick cornell.ass -v 0 

出力ファイルにレンダリングされたイメージを保存するには、「-o」フラグを使用します。

kick cornell.ass -o cornell.exr 

「-r 」オプションを使用してレンダー表示サイズを変更します。

kick cornell.ass -r 1024 720 

Arnold のバージョン番号またはバージョンの文字列全体を出力します。

kick -av
kick --version 

ライセンス サーバの診断情報を出力し、利用可能なインストール済みライセンスと使用中のライセンスをリストします。

kick -licensecheck 

アンチエイリアシング サンプルをオーバーライドするには:

kick cornell.ass -as 3 

拡散反射光の GI サンプルをオーバーライドするには:

kick cornell.ass -ds 3 

プログレッシブ リファインメント モードを無効にするには:

kick cornell.ass -dp  

デバッグの目的で、テクスチャ、ライト、シェーダ、モーション ブラー、サブディビジョン、ディスプレイスメント、SSS などの機能をグローバルに無効にできます。

kick cornell.ass -it 
kick cornell.ass -il 
kick cornell.ass -is
kick cornell.ass -imb -isd -idisp -isss 

次のコマンドを使用してカスタム Arnold ノードをダイナミック ライブラリ(.dll または .so)からロードすることにより、それらのノードをインストールできます。

 kick cornell.ass -l path\to\plugin -l path\to\more\\plugins 

また、次のコマンドを使用して、インストールされているすべてのノード(ビルトインと動的ロードの両方)のリストを取得できます。

kick -nodes
kick -l path\to\plugins -nodes 

「-info」を使用してノードを検査できます。

kick -info polymesh 
kick -info options
kick -l path\to\plugins -info custom_plugin_node 

あるいは、特定のパラメータに関する詳細情報を取得できます。

kick -info polymesh.sidedness
kick -info options.bucket_scanning 

「-set」コマンドを使用して、ノードの任意のパラメータをオーバーライドします。

kick cornell.ass -set options.AA_samples 3 

特定のタイプのすべてのノードのパラメータをオーバーライドします。

kick cornell.ass -set curves.mode thick 

有効なライセンスが見つからない場合は、ウォーターマークを使用してレンダリングするのではなく、kick のレンダリングを中止させることができます。

kick cornell.ass -set options.abort_on_license_fail true 

複数のパラメータをオーバーライドするには:

kick first.ass -set options.AA_samples 3 -set options.bucket_size 16 

インタラクティブ モード

インタラクティブ モードでレンダリングするには、「-ipr q」オプションを使用します。これにより、シーンを(非常に大まかに)ナビゲートし、さまざまなデバッグ シェーディング モード(フラット/スムーズな法線、UV、ワイヤフレームなど)に切り替えることができます。

kick cornell.ass -ipr q 

使用可能なカラース ペースをすべて印刷する

$ kick -lcs scene.ass
Available color spaces from color manager "defaultColorMgtGlobals" of type "color_manager_syncolor:
   ARRI LogC
   camera Rec 709
   Sony SLog2
   Log film scan (ADX)
   Log-to-Lin (cineon)
   Log-to-Lin (jzp)
   Raw
   ACES2065-1
   ACEScg
   scene-linear CIE XYZ
   scene-linear DCI-P3
   scene-linear Rec 2020
   scene-linear Rec 709/sRGB
   gamma 1.8 Rec 709
   gamma 2.2 Rec 709
   gamma 2.4 Rec 709 (video)
   sRGB
   ACES RRT v0.7
   ACES RRT v1.0
   Log
   1.8 gamma
   2.2 gamma
   Rec 709 gamma
   sRGB gamma
   Raw
   Stingray tone-map 

Kick Display ウィンドウに特定のカラー スペースを指定する方法(既定では、sRGB ガンマ)

$ kick -ocs “Log” scene.ass 

カラー管理の手法が統合されたため、.ass ファイルは、オートデスクのカラー管理カタログにアクセスして使用できるようになりました(カラー管理が有効になっている場合)。このパスは、color_manager_syncolor ノードに存在します。ただし、より柔軟性を持たせるために、環境変数 SYNCOLOR を使ってパスをオーバーライドすることもできます。

$ export SYNCOLOR=/path/to/synColorConfig.xml 
注:

Maya のプリファレンス フォルダに設定ファイルの例があります。