例: ActiveX のメソッドが返したエラーをトラップする(AutoLISP/ActiveX)

vl-catch-all-apply 関数を使用することにより、ActiveX のメソッドが返したエラーをトラップし、プログラムをどのように継続すべきかを決定することができます。

注: AutoLISP での ActiveX のサポートは Windows のみに制限されています。

新しい AutoLISP ソース コード ファイルを作成する

• 新しい LSP ファイルを作成し、interceptActiveXErors という名前で保存します。

モデル空間に放射線オブジェクトを作成する

• 新しいファイルに次のように入力します。

  (defun init-motivate ()
    (vl-load-com)
    (setq mspace
      (vla-get-modelspace
        (vla-get-activedocument (vlax-get-acad-object))
      )
    )
    (vla-addray mspace (vlax-3d-point 0 0 0) (vlax-3d-point 1 1 0))
  )

モデル空間に最後に追加されたオブジェクトの境界ボックスを取得する

• 新しいファイルに次のように入力します。

  (defun bnddrop (/ bbox)
    (setq bbox (vla-getboundingbox
      (vla-item mspace (- 1 (vla-get-count mspace)))
        'll
        'ur
      )
    )
    (list "Do something with bounding box." bbox)
  )

コードをロードして実行する

1. LSP ファイルを保存して、AutoCAD にロードします。
2. AutoCAD のコマンド プロンプトに対して (bnddrop) と入力します。

   放射線は無限に延びているため、ボックスで囲むことはできません。このため、GetBoundingBox メソッドは次のエラーになります。

   ; error: Automation Error. Invalid extents

   このコードをアプリケーション プログラムの一部にすると、この時点で実行が停止します。

vla-GetBoundingBox 関数によって作成されたエラーを取得する

• 新しいファイルに次のように入力します。

  (defun bndcatch (/ bbox)
    (setq bbox (vl-catch-all-apply
      'vla-getboundingbox
        (list (vla-item mspace (- 1 (vla-get-count mspace)))
          'll
          'ur
        )
      )
    )
    (if (vl-catch-all-error-p bbox)
      (list "Exception: " (vl-catch-all-error-message bbox))
      (list "Do something with bounding box." bbox)
    )
  )

  この関数は、vl-catch-all-apply 関数を使用して vla-getboundingbox 関数を呼び出します。vl-catch-all-apply 関数には 2 つの引数を指定します。1 つは ('vla-getboundingbox) を呼び出す関数の名前を指定するシンボルで、もう 1 つは vla-getboundingbox 関数に渡される引数のリストです。GetBoundingBox メソッドが正常に終了すると、vl-catch-all-apply 関数が戻り値を変数 bbox に格納します。呼び出しに失敗すると、vl-catch-all-apply 関数が bbox にエラー オブジェクトを格納します。

  bnddrop 関数ではこの時点で、vla-getboundingbox 関数が直接呼び出されて、エラーになり、実行が停止しました。しかし、bndcatch 関数では、vl-catch-all-apply 関数によってエラーがトラップされ、プログラムが続けて実行されます。

  vl-catch-all-error-p 関数の呼び出しは、vl-catch-all-apply 関数からの戻り値をチェックして、それがエラー オブジェクトである場合は T を返し、エラー オブジェクトでない場合は nil を返します。この例でのように戻り値がエラー オブジェクトの場合、関数は vl‑catch‑all‑error‑message 関数を呼び出してエラー オブジェクトからメッセージを取得します。この時点からプログラムが続けて実行されます。