モデリングの更新

リトポロジ化(Retopologize)、ライブ サーフェスにする(Make Live)、四角ポリゴン描画(Quad Draw)ブール演算(Boolean)、およびスムーズ解除(Unsmooth)の各ワークフローが更新されたことで、インタフェースと使いやすさが向上し、モデラーがより良い結果を得られるようになりました。

モデルの提供: Christophh Schedl 氏

リトポロジ化の更新

リトポロジ化実行中にフィーチャを保持

新しいリトポロジ化オプション(Retopologize Options)は、リトポロジ化(Retopologize)プロセス中にフィーチャを保持するためのさまざまな方法をモデラーに提供します。次のオプションを使用すると、入力メッシュの特定領域の詳細を保持したり、リトポロジ化されたメッシュに生成されるエッジ フローをガイドしたりできます。

シンメトリを使用してリトポロジ化する

シンメトリ(Symmetry)という新しいオプション(メッシュ > リトポロジ化(Mesh > Retopologize) > )を使用して、リトポロジ化(Retopologize)中にメッシュの両側に均等なエッジ フローを作成します。シンメトリを有効にすると、リトポロジ化(Retopologize)を実行する前に、選択した軸に沿ってジオメトリが切り取られるようになりました。シンメトリは、椅子や歯車など、モデルの両側にミラー トポロジを必要とするキャラクタやハード サーフェス オブジェクトをリトポロジ化する場合に便利です。「シンメトリを使用してメッシュをリトポロジ化する」を参照してください。この機能を自分で試してみる場合は、AREA からインタラクティブ チュートリアルをダウンロードして開くこともできます。

リトポロジ化中のメッシュの事前チェック

メッシュの問題をスキャン(Scan mesh for issues)という新しいオプション(メッシュ > リトポロジ化(Mesh > Retopologize) > )がオンになっている場合は、リトポロジ化(Retopologize)の正常な実行を妨げる可能性がある問題や、結果に悪影響を及ぼす可能性がある問題の有無が、入力メッシュでチェックされます。問題が検出された場合は、警告と推奨されるトラブルシューティング手順を示すダイアログ ボックスが表示され、時間のかかるリトポロジ化(Retopologize)プロセスを実行する前に、問題のある領域をすばやく特定して修正することができます。トラブルシューティングに関するその他のヒントについては、「リトポロジ化の問題のトラブルシューティング」および「リトポロジ化の制限事項」を参照してください。

リトポロジ化後に入力メッシュを保持する

リトポロジ化オプション(Retopologize Options)オリジナルの維持(Keep Original)をオンにすることにより、入力メッシュとリポジトリ化されたメッシュをシーンに同時に表示できるようになりました。以前は、メッシュをリトポロジ化すると、入力メッシュが非表示になりました。現在は、両方のメッシュがシーン内の同じ場所に配置され、入力メッシュの編集が容易になりました。たとえば、コンポーネント タグのようなフィーチャ保持の対象とする領域を定義し、生成されたメッシュの更新を動的に確認することができます。

ライブ サーフェスにする(Make Live)の更新

複数のオブジェクトをライブに設定

ライブ サーフェスにする(Make Live)で複数のオブジェクトがサポートされるようになり、ライブ状態の任意のサーフェスにスナップできるようになりました。すべてのオブジェクトを選択し、ライブ サーフェスにするアイコン をクリックします。アイコンの横のフィールドに、最初に選択したオブジェクトの名前が <FirstSelectedObject...> の形式で表示されます。これは、ライブの選択で複数のオブジェクトが選択されていることを示します。フィールドにカーソルを合わせると、すべてのライブ サーフェスのリストが表示されます。このリストを右クリックするとポップアップメニューが表示され、リストにライブサーフェスを追加したり、リストからライブ サーフェスを削除することができます。

オブジェクトがライブ オブジェクトの場合、暗い緑色のワイヤフレーム カラーが自動的に割り当てられます。このカラーはアウトライナ(Outliner)のライブ サーフェスの名前にも適用されるようになったため、オブジェクト リストが長い場合も簡単に見つけることができます。「複数のライブ サーフェスを設定する」および「ライブ サーフェスにする(make live)リストに対してサーフェスを追加または削除する」を参照してください。この機能を自分で試してみる場合は、AREA からインタラクティブ チュートリアルをダウンロードして開くこともできます。

ライブ サーフェスにする(Make Live)の四角ポリゴン描画(Quad Draw)のサポート

複数のライブ オブジェクトとスムーズ メッシュ プレビュー メッシュでクワッド描画(Quad Draw)を使用できるようになり、複雑な一連のターゲット メッシュの上に新しい簡略化されたジオメトリを作成できるようになりました。たとえば、衣服や鎧など、多数の個別のピースで構成されるフル キャラクタに対して、クワッド描画(Quad Draw)を使用できるようになりました。「四角ポリゴン描画の参照メッシュを設定する」および「ライブ サーフェスにスナップする」を参照してください。この機能を自分で試してみる場合は、AREA からインタラクティブ チュートリアルをダウンロードして開くこともできます。

メッシュをスムーズ解除する

モデルの提供: Christophh Schedl 氏

新しいメッシュ > スムーズ解除(Mesh > Unsmooth)オプションを使用すると、Catmull-Clark でスムーズ化された高解像度メッシュのサブディバイドを解除できます。再作成するサブディビジョン レベルの数は、スムーズ解除オプション(Unsmooth Options) (メッシュ > スムーズ解除(Mesh > Unsmooth) > )または polyUnsmooth ノードで設定できます。スムージング解除は、スカルプト プロセス中にスムーズ化およびサブディバイドされた低解像度バージョンのメッシュを作成する場合に便利です。「メッシュをスムーズ解除する」を参照してください。

ブール演算の改善

Maya 2023.1 で実施された改善により、モデラーは、ブール演算スタックで新しい入力オブジェクトを追加したり編集したりする際に、より詳細に制御を行えるようになりました。さらに、インタラクティブな更新(Interactive Update)という新しいオプションが追加され、高密度シーンの作業中にブール演算のパフォーマンス低下を簡単に軽減できるようになりました。

ブール演算入力オブジェクトを複製する

ブール演算スタックの新しいオプションを使用して、ブール演算入力オブジェクトをすばやく複製できます。レイヤを右クリックし、コピーとして複製(Duplicate as Copy)またはインスタンスとして複製(Duplicate as Instance)を選択します。「ブール演算入力オブジェクトを複製する」を参照してください。

新しいブール演算入力オブジェクトの既定値を設定する

以前は、新しい入力オブジェクトは、ワイヤフレーム表示モードで論理和(Union)演算として既存のブール演算ノードに追加されていました。ブール演算スタック(Boolean stack)およびブール演算のオプション(Boolean Operations options)でオプション(新しい入力に対する操作(Operation for new input)入力オブジェクトの表示(Input object display))を使用して、独自の既定値を設定できるようになりました。「新しいブール演算入力オブジェクトの既定値を設定する」を参照してください。

インタラクティブ パフォーマンスの改善

ブール演算スタック(Boolean stack)およびブール演算のオプション(Boolean Operations options)で、インタラクティブな更新(Interactive Update)という新しいオプションを無効にすると、インタラクティブなパフォーマンスの速度低下を軽減できます。オンにすると、マウス ボタンを押してドラッグするたびにブール演算が継続的にリフレッシュされます。オフにすると、ブール演算はマウス ボタンを放したときのみリフレッシュされます。

ブール演算の論理積分類

ブール演算スタックおよびブール演算オプションで、論理積分類(Intersection Classification)という新しいオプションを使用できるようになりました。ブール演算に開いたメッシュ(平面または穴のあるメッシュ)が含まれている場合、このオプションを使用すると、ブール演算の結果をより詳細に制御できます。エッジ(Edge)標準(Normal)自動(Auto)から選択します。詳細については、「ブール演算の論理積分類」を参照してください。

ブール演算ノードにビューポート オブジェクトを追加する

ブール演算スタック(Boolean stack)で、選択したオブジェクトを追加(Add Selected Objects)という新しいボタンを使用すると、選択したブール演算ノードにビューポート オブジェクトをすばやく追加できます。
注: このボタンを使用するには、 をクリックしてブール演算スタックをピンで固定するか、タブのコピー(Copy Tab)をクリックして別のウィンドウにブール演算ノードを開きます。

双方向ブール演算の選択

ブール演算スタックの改善により、ビューポート(Viewport)またはアウトライナ(Outliner)で行った選択が反映されるようになりました。ビューポート(Viewport)またはアウトライナ(Outliner)でブール演算ノードの一部であるオブジェクトを選択すると、ブール演算スタックでも選択されます。

シェルフのモデリング

UV 編集(UV Editing)カーブ(Curves)、サーフェス(Surfaces)などの新しいシェルフにより、モデリング ツールとモデリング コマンドの検索効率が上がり、アクセスしやすくなりました。

以前はポリゴンのモデリング(Poly Modeling)シェルフにあった次のコマンドとツールが、UV 編集(UV Editing)シェルフに移動されました。平面マッピング(Planar Mapping)円柱マッピング(Cylindrical Mapping)球面マッピング(Spherical Mapping)自動マッピング(Automatic Mapping)輪郭伸縮(Contour Stretch)自動継ぎ目(Auto Seams)UV エッジのカット(Cut UV Edges)UV の削除(Delete UVs)3D UV グラブ ツール(3D UV Grab Tool)3D カットと UV 縫合ツール(3D Cut and Sew UV Tool)UV エディタ(UV Editor)UV セット エディタ(UV Set Editor)

以前は、カーブ(Curves) シェルフと サーフェス(Surfaces)シェルフにあるコマンドとツールは 1 つのシェルフにグループ化されていました。現在は、2 つの個別のシェルフに分割されています。

頂点カラー ペイント ツール(Paint Vertex Color Tool)の更新

頂点カラー ペイント ツール(Paint Vertex Color Tool)が更新され、次の操作を実行できるようになりました。
  • ペイントを個々の RGB チャネルに制限して、他のチャネルが誤ってペイントされるのを防止することができます。
  • 新しい RGB カラー セットをグレースケールとして表示(Display RGB color set as greyscale)オプションを使用して、特定のカラー チャネルをグレースケールとして表示できます。

ポリゴン オブジェクトで RGB チャネルを個別に表示する

ポリゴン(Polygons)プリファレンスポリゴン(Polygons)のオプション (ディスプレイ > ポリゴン > カスタム ポリゴン表示(Display > Polygons > Custom Polygon Display) > )の新しいオプションを使用すると、RGB チャネルを個別に表示し、特定のチャネル カラー値に関してさらに視覚的になったフィードバックを得ることができます。その他の新しいオプションを使用すると、ポリゴン オブジェクトのサーフェス上のチャネルをグレースケールとして表示することができます。

UV 編集パフォーマンスの向上

スムーズ メッシュ プレビュー(Smooth Mesh Preview)が有効になっているオブジェクト上で UV を変換する場合、または複雑なメッシュに関連付けられている UV シェルを選択して移動する場合、モデラーは UV エディタ(UV Editor)のパフォーマンス向上を実感することができます。この更新により、キャラクタ メッシュの UV を操作する場合のインタラクティブ性が向上しました。

UVツールキット(UV Toolkit)の選択オプションを折り畳む

UV ツールキット(UV Toolkit)で選択(Selection)オプションを折り畳むことができ、ツールキットのセクションにアクセスしやすくなりました。

MikkTSpace 接線のサポート

Maya で MikkTSpace 接線がサポートされるようになりました。MiikTSpace 接線を有効にするには、ウィンドウ > 設定/プリファレンス > プリファレンス > モデリング > ポリゴン接線空間 > MikkTSpace 接線を使用(Windows > Settings/Preferences > Preferences > Modeling > Polygon Tangent Space > Use MikkTSpace tangents)を選択します。このプリファレンスは、マップの転写(Transfer Maps)などのツールを使用したビューポートの表示および法線マップの作成に影響します。既定ではオフに設定されています。接線空間と法線マップの詳細については、「マップの転写(Transfer Maps)オプション」を参照してください。

移動ツール(Move Tool)の平面ハンドルを使用する場合のスナップのサポート

移動ツール(Move Tool)の平面ハンドルのいずれかを使用して移動を 2 つの軸に制限する場合に、スナップ モード(v)がサポートされるようになりました。