このシリーズの最初のチュートリアルでは、VRED を使用したリアルタイム シーンの詳細について説明します。
ビデオ キャプション: Autodesk VRED Professional の新しいチュートリアル シリーズへようこそ。主な機能の概要を示します。また、シーンを作成するためのヒントやテクニック、シーン作成時に可能な限り最適化して、リアルタイムでのパフォーマンスを最大化するためのヒントを示します。
まずは、Autodesk VRED が提供する最も重要な機能の 1 つである、さまざまな出力の生成方法を見てみましょう。設計開発やマーケティングのために非常にリアルなレンダリングを行ったり、製品開発時の調査用に物理的に正確に表現したりできます。たとえば、フロントガラスの反射や内装の光の分布を表示できるほかに、3 次元仮想製品をリアルタイムに評価したり、VR ゴーグルを装着して没入感を体験することによって、信頼性の高い評価を行うことができます。各分野のユーザは、アクセスしやすいレンダリング モードを使用して、作品を極めてリアルにビジュアル化することができます。学生、エンジニア、デザイナー、写真家は、VRED が提供する最新のゲーム エンジンの機能と、クローズド システムで非常にリアルな結果が得られるように最適化されたプロダクション レンダラーを使用することができます。
まず、OpenGL と呼ばれる VRED の既定のレンダリング モードを見てみましょう。このレンダリング技法は、コンピュータに搭載されている GPU で実行されます。[ヘルプ] > [GL 情報]を選択して、シーンで現在使用されているビデオ RAM のサイズを確認できます。ここでヒントがあります。パフォーマンスに問題がある場合は、VRAM の負荷を確認してみてください。大量のテクスチャを含む負荷の大きいシーンを操作している場合は、24 GB 以上の VRAM を搭載したグラフィックス カードを使用することをお勧めします。
OpenGL を使用している場合は、従来のオフライン レンダリングと比較して、2 つの重要な注意点があります。1 つ目は、シャドウまたはライトが事前に計算されること、2 つ目は、現在、環境の反射がマテリアルに乗算されることです。このため、サイド ミラーで見られるような車両内の自己反射はレンダリングされません。したがって、環境の反射はビジュアル的には正確ですが、物理的には正確でありません。これについては、後で詳しく説明します。このレンダリング モードの最大の利点は、非常に大きなデータ セットや数百万のポリゴンがある場合でも、非常に優れたパフォーマンスが得られることです。この港のシーンからわかるように、約 6,500 万個のポリゴンが含まれている場合でも、使用するグラフィックス カードによっては、非常に適切なフレーム レートでレンダリングできます。このレンダリング モードは既定のレンダリング モードでもあり、ショートカットの[F3]キーを使用してアクティブにできます。対照的に、ショートカットの[F4]キーを使用すると、レイトレーシングをアクティブにして、物理的に正しい反射を表示することができます。
基本的に、VRED でのデータ処理には大きなメリットがあります。VRED は、Maya またはその他のデジタル コンテンツ作成ツールから従来のポリゴン データを読み込むことができます。また、非常に解像度の高いスキャン データをロードしてリアルタイムに視覚化することもできます。Catia、Alias、Inventor、Rhino から VRED にさまざまな NURBS ベースのデータ形式を読み込む際に、NURBS 情報を維持することもできます。特に、シーンの最適化やシャドウの事前計算を行うと、作品が破壊されることがなくなるため、非常に便利です。さらに、それぞれの設計または建設ソフトウェアのシーン構造を維持することもできます。
シャドウとライトの事前計算という重要なツールを使用すると、3D モデルに奥行きと柔軟性が追加され、リアルタイム レンダリングの視覚的な信頼性を高めることができます。このレンダリングには、ショートカットの[F7]キーを使用してアクセスできます。VRED には、この操作を行うさまざまな方法が用意されています。視覚的な結果に関係なく、頂点ベースのベイク処理とテクスチャベースのベイク処理という 2 つの基本的な方法が重要になります。初期のジオメトリや使用事例によっては、この 2 つの基本原則のうちの一方が適切である場合があるため、両方について理解することが重要です。また、ショートカットについて言えば、[F5]キーのショートカットを使用すると法線レンダリング モードに切り替わるため、シャドウを計算する前に、ジオメトリの法線の向きを正しく揃えることができます。
頂点ベースのベイク処理を行うと、ライトとシャドウの情報がジオメトリのそれぞれの頂点に書き込まれます。これは、特別な UV レイアウトが必要ないことを意味します。ただし、ソフトなシャドウを作成するか、小さなパーツの周囲に表示されるコアのシャドウを濃くする場合は、ジオメトリのテッセレーションを変更する必要が生じることがあります。この操作を行うと、ポリゴン数が増加し、メッシュベースのジオメトリでは操作を元に戻せなくなります。ただし、ジオメトリが NURBS で構成されている場合は、これによって問題が生じることはなく、簡単にリセットできます。この使いやすいプロセスにより、ハイライトとシャドウの事前計算は非常に簡単になります。
この例を確認することをお勧めします。ジオメトリには事前に計算された頂点ベースのシャドウがありますが、あまりクリーンな状態ではありません。[ライトとシャドウをベイク処理]モジュールで[サブディビジョン]を有効にすると、シャドウを最適化できます。こうすることで、VRED は問題のある領域にあるジオメトリのテッセレーションを行えます。ただし、前述のとおり、この操作を行うとポリゴン数が増えます。ボリゴン数を再び減らしたり、他の計算設定を試してみる場合は、ジオメトリの再テッセレーションと元の状態へのリセットを簡単に行うことができます。ただし、再テッセレーションは、それぞれのジオメトリの NURBS データが保存されている場合にのみ使用できます。
一方、テクスチャベースのベイク処理では、既存の UV レイアウトまたは自動処理された UV レイアウトを使用して、ジオメトリにテクスチャとしてマップされたライトマップを計算します。これらのテクスチャを外部に保存して、書き出すこともできます。さらに、昼や夜などのまったく異なる複数のライト シナリオを事前に計算して、1 つのシーン内で変更することができます。ただし、この操作を行うには、クリーンなライトマップ UV が必要です。ライトマップ UV を使用すると、プロセスが少し複雑になったり、UV エディタで対応する準備作業を行う必要が生じることがあります。
幸いなことに、VRED では両方の方法を組み合わせることができます。このため、手元にあるジオメトリに最適な方法を繰り返し決定することができます。
たとえば、テクスチャ ベイク処理の一般的な使用事例は、この床プレートのように、いくつかのポリゴンで構成されている大規模なジオメトリです。
[シーン] > [UV エディタ]を使用すると、マテリアルとライトマップ チャネルの UV をコントロールできます。たとえば、このコンテナの壁では、UV 空間が適切に埋められ、オーバーラップしていないため、UV は適切な状態です。[UV セット]タブで、マテリアルとライトマップの UV セットを比較することもできます。ジオメトリの UV が正しくない場合は、VRED によって自動的に元に戻すか、手動で修正することができます。最適な方法を試してください。ここで、ベイク処理モードに戻ります。
VRED のこの 2 つの基本的な設定で、イルミネーション モードを定義できます。ここで、シャドウを作成するには、アンビエント オクルージョンを使用する方法が最も簡単です。ただし、計算ではフェードするジオメトリのみが考慮されるため、使用可能な光源とライトの方向は無視されます。[最小距離]スライダと[最大距離]スライダを使用すると、計算に含めるオブジェクトの半径を定義できます。この距離を短くすると、アンビエント オクルージョンの計算内のコントラストを高めることができます。これについては、内装の値を小さくすることをお勧めします。また、直接隣接するジオメトリに同じ設定を使用することも重要です。そうしないと、明るさに違いが生じる可能性があります。それぞれの設定は、[ライトとシャドウをベイク処理] > [設定] > [ノードからロード]で簡単に読み取ることができます。
一方、次の直接光モードであるシャドウを使用すると、シャドウ情報をリアルに表現できます。ここでは、HDRI 環境などのアクティブな光源が計算に含まれています。したがって、ライトとシャドウ モードが有効な場合は、ライト情報も生成されます。
要するに、VRED は、グローバル イルミネーション レンダリング全体をリアルに表現するライトとシャドウの情報を頂点またはテクスチャにベイク処理することにより、この表示品質をリアルタイムで表示できるようにします。
最後に、スクリーン スペース アンビエント オクルージョン機能について説明する必要があります。この機能は、[可視化] > [高度な OpenGL 設定] > [スクリーン スペース アンビエント オクルージョンの設定]にあり、頂点ベースまたはテクスチャベースのいずれであるかに関係なく、事前に計算されたアンビエント オクルージョンをオーバーライドします。したがって、この機能を使用すると、マウスを数回クリックするだけで、最初のシャドウを作成できます。ただし、表示を改善できるのは、事前計算されたシャドウであることに注意してください。また、スクリーン スペース アンビエント オクルージョン モードをアクティブにすると、リアルタイムでパフォーマンスが低下します。
最後に、HDRI マップの使用という、リアルなレンダリングに不可欠な別の要素について説明します。写真撮影した HDRI を使用すると、マウスを数回クリックするだけで車両のジオメトリに反射を作成できるため、シーンのリアリティとマテリアルの品質が向上します。同時に、HDRI を環境としてフェード インまたはフェード アウトすることにより、車両を空間のコンテキスト内で非常にすばやく、かつ簡単に表示できるようになります。
この時点で、HDRI を使用する際に、事前に確認する必要がある簡単な注意事項がいくつかあります。まず、.exr 形式ではなく、.hdr 形式を使用することをお勧めします。次に、HDRI マップのサイズを確認します。用途に応じて、8 ~ 16K の解像度があれば十分です。いずれの注意点も、VRAM を簡単に節約し、ファイル サイズの分割を防止するという点で重要です。
ご視聴いただき、ありがとうございました。またお会いいたしましょう。