複合材料の応答を定義するには MATPFA エントリを使用します。
「付録 A」には、MATPFA の各フィールドの詳細な説明があり、各フィールドの許容値の範囲、各材料を表すために使用するマルチスケール構成関係に各フィールドが与える影響などを参照できます。MATPFA の各フィールドの簡単な説明を次に示します。
材料 ID 番号(MID): MATPFA 材料カード用の汎用の材料 ID 番号。この番号は、該当する材料に特性を関連付けるために、プロパティ定義の中で呼び出されます。
Helius PFA 材料 ID 番号(MIDH): 材料フォルダにある HPFAMatDB.xml ファイル内で見つかる Helius PFA の材料 ID 番号。Helius PFA の材料 ID 番号の詳細については、「付録 A.2」を参照してください。
主要材料座標系(PDIR): Helius PFA は、複合材料の主要材料座標系で構成関係を示し、応力を計算します。PDIR フィールドは、使用する主要材料座標系の特定の方向を指定します。
破壊理論(FT): FT フィールドは、破壊理論フラグです。破壊理論フラグは、複合材料の破損開始の評価に使用する基準を指定します。既定値は MCT です。 その他の有効なオプションは次のとおりです。
母材破損後剛性(MPSTIF)/母材劣化エネルギー(MDE): エネルギー ベースの劣化を使用しない解析の場合、MPSTIF フィールドは、母材の構成破損発生後の母材構成の損傷したヤング率の定義に使用される割合です。具体的には、この値は破損した母材構成係数と破損していない母材構成係数との比率です。0.1 の値は、積分点で母材破損が発生した後、6 つの母材構成係数(、、、、、)が、すべて元の損傷していない母材構成係数の 10% にまで低減することを意味します。母材破損後剛性値は 0 (ゼロ)より大きく、1 以下である必要があります。既定では母材破損後剛性値は 0.1 に設定されています。
エネルギー ベースの劣化を使用した解析の場合、MDE フィールドは、破損イベント後に複合材料剛性の線形劣化があると仮定して、母材破損前後のエネルギー散逸量の合計を示します。具体的には、複合材料の 、、、、および が、母材破損イベント後に、このエネルギー、破損時の複合材料の応力状態、および要素の体積に基づいて劣化します。
繊維破損後剛性(FPSTIF)/繊維劣化エネルギー(FDE): 瞬間的な劣化を使用した解析の場合、FPSTIF フィールドは、繊維構成の破損発生後の繊維構成の損傷したヤング率の定義に使用される割合です。 具体的には、この値は破損した繊維構成係数と破損していない繊維構成係数との比率です。0.01 の値は、積分点で繊維破損が発生した後、6 つの繊維構成係数(、、、、、)が、すべて元の損傷していない繊維構成係数の 1% にまで低減することを意味します。繊維破損後剛性値は 0 (ゼロ)より大きく、1 以下である必要があります。繊維破損後剛性の既定値は、自動的に 1E-06 に設定されます。
エネルギー ベースの劣化を使用した解析の場合、FDE フィールドは、繊維破損イベント前後に複合材料剛性の線形劣化があると仮定して、繊維破損に対するエネルギー散逸量の合計を示します。具体的には、複合材料の 、、 が、繊維破損イベント後に、このエネルギー、繊維破損時の複合材料の応力状態、および要素の体積に基づいて線形に劣化します。
損傷の進展方法(DEVO): DEVO フィールドでは、瞬間的またはエネルギー ベースの損傷の進展方法を選択できます。INSTANT の値で瞬間的な劣化がアクティブになり、EBD の値でエネルギー ベースの劣化がアクティブになります。
破損前非線形性(PRENL): PRENL フィールドは、製品の破損前非線形性機能をアクティブまたは非アクティブにします。これはオプションのフラグであり、MCT 破損基準を使用した複合材料の場合のみ使用できます。ON の値で破損前非線形性機能がアクティブになり、既定値の OFF では破損前非線形性機能が非アクティブになります。 破損前非線形性機能をアクティブにした場合、Helius PFA では、繊維強化複合材料に発生することが多い非線形縦方向のせん断応力-ひずみ応答を明示的に考慮します。破損前非線形性機能は、母材構成材料の縦方向せん断剛性で一連の個別の低減を引き起こし、複合材料の非線形縦方向のせん断応答が実験測定データとよく一致するようになります。破損前非線形性機能は、複合材料の縦方向せん断弾性率にのみ影響を与えます(つまり 対 、および 対 )。他の 4 つの複合材料の応力とひずみ成分の応答は、この機能によって影響は受けないことに留意してください。また、破損前非線形性機能によって、複合材料破損時のせん断応力レベルは変更されませんが、破損前の複合材料の縦方向せん断変形が全体的に増加する結果となります。
温度(TREF): TREF フィールドは、解析で使用する材料データ ファイル(mdata ファイル)の環境に対応する温度値を指定するために使用します。たとえば、mdata ファイルに 600、650、700 R という特性の環境がある場合、TREF フィールドの値は 650 となり、650 R に格納されている特性が解析に使用されます。温度値を含水率フラグ(MOIST フィールド)と一緒に使用することで、解析に使用する環境を完全に指定します。mdata ファイルに 1 組の特性が含まれている場合、TREF フィールドを空白にしておくことができます。
TREF フィールドの値を -1.0 に設定すると、温度依存機能がアクティブになります。温度依存をアクティブにした場合、材料ファイルに保存している最低/最高温度点の境界内にある任意の温度に対して、複合材料と構成の特性を線形補間します。保存している最低温度データムより低い温度は、Helius PFA では最低温度データムで保存されている材料特性を使用します(保存している温度データ点の境界を超えて特性を外挿することはありません)。保存されている最高温度データムより高い温度も同様に処理されます。Helius PFA の温度依存材料特性の使用の詳細については、『理論マニュアル』を参照してください。
含水率(MOIST): MOIST フィールドは、解析で使用する材料データ ファイル(mdata ファイル)の環境に対応する含水率フラグを指定するために使用します。使用可能なオプションは、AMBIENT、DRY、WET です。 既定では、MOIST は AMBIENT に設定されています。 たとえば、mdata ファイルに AMBIENT、DRY、WET という特性の環境があり、MOIST フィールドの値を DRY に設定した場合は、DRY の含水率特性が解析に使用されます。 含水率フラグを温度値(TREF)と一緒に使用することで、解析に使用する環境を完全に指定します。mdata ファイルに 1 組の特性が含まれている場合、MOIST フィールドを空白にしておくことができます。
補助基準パラメータ 1 (F/ALPHA): 一部の補助破損基準パラメータを指定するために使用します。Tsai-Wu を選択した場合、この定数はクロス積項、f* を表します。Hashin を選択した場合、この定数は縦方向せん断応力の繊維破損基準、α への寄与を表します。
補助基準パラメータ 2 (SBIAX): Tsai-Wu の破損基準の等二軸応力(σ11 と σ22 の組み合わせ)を指定するために使用します。この値が不明の場合は、ゼロのままにしておくことができます。
進行性破損解析のタイプ(PFTYPE): PFTYPE フィールドは、製品の進行性破損解析機能をアクティブまたは非アクティブにします。進行性破損機能をアクティブにして、破損が選択した破損基準で予測された場合、Helius PFA では選択した損傷の進展方法に基づいて、要素の剛性が劣化されます。この機能を非アクティブにした場合は、解析全体を通じて要素の剛性は一定のままになります。通常、これは線形解析と呼ばれます。
静水圧による強化(HYDRO): HYDRO フィールドはオプションのフィールドであり、MCT 破壊理論を使用した一方向複合材料に対してのみ使用できます。HYDRO は、製品の静水圧による強化機能をアクティブまたは非アクティブにします。ON の値で静水圧による強化機能がアクティブになり、既定値の OFF では静水圧による強化機能が非アクティブになります。 静水圧による強化機能をアクティブにした場合、Helius PFA では、実験で観察される静水圧縮応力の存在による複合材料の強化を明示的に考慮します。母材構成の静水圧縮応力がしきい値を超えている場合は、母材構成と繊維構成両方の強度は、母材構成内の静水圧縮応力レベルに等しいレベルまで増加されます。