ここで説明する滑り速度モデルは、壁面滑りの解析シミュレーションで使用されます。
実験の観測から、滑り速度が、局所的な壁面せん断応力と垂直応力の過去の状態に依存していることが示されています。この滑りの時間依存性は、弛緩の滑り時間が存在することから、「遅延滑り」と呼ばれます。ただし、参考文献で提案されている滑り速度モデルのほとんどは、滑り速度が壁面せん断応力の瞬間値に依存している、連続的な静的モデルです。修正版のべき乗則の式が一般に利用されます。
[1]
ここで、
せん断応力の値が より小さい場合、係数
は滑り速度をゼロにまで減少させます。せん断応力の値が
より大きい場合、係数はほぼ 1 に等しくなります。
次の式で温度依存性を滑り係数に導入することができます。
[2]
ここで、
圧力が滑り速度に与える効果を加味する場合は、温度効果の場合と同様に、粘度モデルを使用するか、滑り係数に効果を含めます。粘度の圧力依存性がモデリングされている場合は、滑り速度に与える圧力の効果が、壁面せん断応力の計算に加味されます。圧力が開始速度と滑り速度の両方に与える効果が含まれているため、これは望ましい方法です。
粘度の圧力依存性が樹脂粘度でモデリングされていない場合、方程式[2]によって定義された滑り係数を、圧力が滑り速度に与える効果を含めるように拡張することができます。
[3]
ここで、
経験から導かれたべき乗側滑り速度モデルは、滑り係数でモデリングされた温度および圧力を使用して、滑りとせん断応力とを関連付ける単純な代数方程式です。臨界せん断応力は、現時点では、圧力および温度には依存しないと仮定されています。