PDF ファイルから現在の図面に、ジオメトリ、塗り潰し、ラスター イメージ、TrueType 文字を読み込むことができます。PDF 尺度、画層、線の太さ、色など、いくつかのプロパティとともに、視覚の忠実度を維持することができます。
PDF ファイルは、設計データにレビューやマークアップ加えてパブリッシュ、共有するために用いられる一般的なファイル形式です。AutoCAD では、AutoCAD 図面のパブリッシュ出力として PDF ファイルを作成するか、次の 2 つのオプションのいずれかを使用して PDF データを AutoCAD に読み込むことができます。
- PDF ファイルは、アンダーレイとして図面にアタッチすることができ、プロジェクトでコラボレートするときに参照として使用することができます。
- PDF データの一部または全体をオブジェクトとして読み込むことができ、参照として使用したり、修正することもできます。
PDF データを読み込むときは、PDF ファイルのページを指定することを選択したり、アタッチされている PDF アンダーレイの一部またはすべてを AutoCAD オブジェクトに変換することができます。
オブジェクトの変換方法
PDF ファイルが生成されるとき、サポートされているすべてのオブジェクトは、パス、塗り潰し、ラスター イメージ、マークアップ、TrueType 文字に変換されます。PDF では、パスは線分セグメントと 3 次ベジェ曲線で構成され、接続されているか独立しているかのいずれかです。しかし、PDF ファイルを AutoCAD に読み込む場合、次の点に注意が必要です。
- ラスター イメージの場合、PNG 形式のファイルが生成され、システム変数 PDFIMPORTIMAGEPATH で指定されたフォルダに保存されます。このフォルダは、[基本設定]ダイアログ ボックスの[アプリケーション]タブで指定できます。それらのイメージは、図面ファイルにアタッチされます。
- 形状に対して妥当な許容差内であれば、ベジェ曲線は円および円弧に変換されます。そうでない場合は、2D ポリラインに変換されます。
- 楕円形状は、PDF への格納方法に応じて、2D ポリライン、スプライン、または楕円に変換されます。
- オプションとして、ほぼ同一直線上のセグメントの各セットを結合して、PDF_Import という名前の破線の線種にすることもできます。
- 寸法、引出線、パターン ハッチングなどの複合オブジェクト、および表は、それらのオブジェクトが分解されたかのように、個別のオブジェクトになります。
- 塗り潰しは、2D 塗り潰しとして読み込まれるか、オプションとして塗り潰しハッチングとして読み込まれます。
- ハッチング パターンは、多数の個別のオブジェクトとして読み込まれます。
- 塗り潰し領域は、ソリッド ハッチングおよび 2D 塗り潰しに変換されます。領域内の文字が見えるように、それらの領域には 50% の透過性が割り当てられます。
- TrueType フォントを使用している文字は保持されますが、元々 SHX フォントを使用していた文字は、個々のジオメトリ オブジェクトとして読み込まれます。
- 点オブジェクトは、長さゼロのポリラインに変換されます。
- マークアップは読み込まれません。
制限事項
AutoCAD DWG ファイルを PDF ファイルとして書き出すと、情報と精度の両方が必然的に低下します。重要なのは、期待できる表示の正確性の程度を知っていることです。
DWG ファイルのデータは倍精度浮動小数点数で格納されますが、PDF ファイルのデータは単精度でのみ格納されます。これにより、座標値は切り捨てられ、精度の低下は次のような場合に最も顕著になります。
- 接点、円弧の終点、回転された線分の端点などの、計算された位置
- ダイナミック レンジが大きい(最大から最小まで)データ
- PDF ファイルの、地図などに表れる大きな座標
- 低い DPI 設定で生成された PDF ファイル