Inventor ドキュメント内のオブジェクトを設定するには、スタイルを使用します。Inventor 8 以前のバージョンでは、スタイルはテンプレート内またはドキュメント内に格納されていました。今回のバージョンでは、すべてのスタイル定義を含めたスタイル ライブラリ内にスタイルを格納できるようになりました。
スタイル ライブラリを使用すると、複数の設計者が同じスタイルを利用できるため、プロジェクト全体で設定が統一され、スタイルの更新が容易になります。
スタイル ライブラリを使用すると、次のような利点があります。
他のユーザとのスタイル データ共有の簡略化。スタイル ライブラリを使用すると、同じプロジェクトで作業しているユーザ間でスタイル管理を簡単に実行できます。また、Inventor を使用する取引先企業と顧客がライブラリを共有できるため、スタイル規格や材料ライブラリの共有も実現します。
作業グループまたは企業内でのスタイル管理の合理化。1 つのプロジェクトに対して 1 つのスタイル ライブラリを使用することで、CAD 管理者による設定の変更をすべてのユーザが適用できるようになります。プロジェクトのスタイル ライブラリにある共有の定義を使用してすべてのユーザが更新できるため、ドキュメント設定を継続的に同期する作業が簡単になります。
大規模なアセンブリを処理している場合は、外部のスタイル ライブラリでスタイル定義を維持すると、容量を節約できます。
新規のユーザ、既存のユーザ、または小規模な作業グループが新規プロジェクトを開始する場合は、プロジェクトの開始時点からスタイル ライブラリを使用することをお勧めします。まずは Inventor に含まれている既定のスタイル ライブラリを使用して、このスタイル ライブラリおよび関連テンプレートを目的に合わせて調整してください。
プロジェクトが進行中であったり、Inventor を大きなプロジェクトで使用することを検討している場合は、スタイル ライブラリの配置はしばらくしてから実行することをお勧めします。これは、複数のユーザが存在する大規模なプロジェクトの場合や、データの明示的な PDM コントロールが必要な場合には特に重要です。プロセスに最適なテンプレートのセットや綿密なスタイル ライブラリ計画を作成してください。
プロジェクトの完了が間近な場合も、プロジェクトが完了するまでスタイル ライブラリは配置しないことをお勧めします。継続的なメンテナンス、修正が必要なプロジェクトの場合は、設計が完了した後、ただし最初の一連のメンテナンスを開始する前に、プロジェクトを変更してスタイル ライブラリを使用することをお勧めします。
Inventor の場合: プロジェクト ファイル(.ipj)で[スタイル ライブラリを使用]オプションを設定して、スタイル ライブラリをプロジェクトで使用する方法を指定します。
スタイル ライブラリを使用するには、[読み取り-書き込み]に設定します。[はい]に設定すると、スタイル ライブラリが書き込み可能になります。設計者は、新規に作成したスタイルや変更したスタイルを、スタイル ライブラリに保存することができます。
設計者に対して、スタイルは使用可能にするが、ライブラリ内のスタイル定義の置き換えを禁止するには、スタイルを[読み取り専用]に設定します。設計者は、スタイルを作成して個々のドキュメントには保存できますが、ライブラリはロックされています。
既存のドキュメントで作成してあるスタイルを削除するかどうか不明確な場合は、[読み取り専用]オプションを選択してください。ライブラリのスタイルにアクセスできるようになり、ライブラリに追加するスタイルを、以前に作成したスタイルの中から確認できます。ユーザまたは CAD 管理者が、プロジェクト オプションを[読み取り-書き込み]に設定し直し(スタイル ライブラリが書き込み可能になる)、管理ツールのいずれかを利用してライブラリにスタイルをコピーすることができます。
テンプレートとは Inventor の標準ドキュメントのことで、スタイルおよび既定として使用するその他の設定が含まれています。
[スタイル ライブラリを使用]プロジェクト オプションを[はい]または[読み取り専用]に設定してから、テンプレートからドキュメントを作成すると、スタイル名とテンプレート内のスタイルが比較されます。同名のスタイルが複数ある場合は、スタイル ライブラリから取得されます。テンプレート内のスタイルが、スタイル ライブラリのバージョンに合わせて更新されます。
ライブラリにないスタイルがテンプレートに含まれる場合、そのスタイルは新しいドキュメントに追加されますが、ライブラリには追加されません。これは、ユーザがカスタム スタイルのセットを利用しており、他の設計者がスタイル ライブラリを介して一般使用しない場合に便利な機能です。
使用しないスタイルは、テンプレートから削除します。
注(Inventor に付属のテンプレート):
すべてのスタイルがローカルにキャッシュされている既定の Inventor テンプレートは、スタイル ライブラリを使用するように設定されていません。同じスタイルが既定のスタイル ライブラリにも保存されます。ローカルでキャッシュされるスタイルは、既定のスタイル ライブラリの使用には影響しません。
新しいドキュメントが作成されると、テンプレート内の現在使用されていないすべてのスタイルが、新しく作成されたドキュメントから削除されます。ただし、Inventor によってプロジェクトのスタイル ライブラリで名前と値の一致が検出された場合を除きます。テンプレートからそれらのスタイルが消去され、スタイル ライブラリを使用しない既存のプロジェクトに影響する場合は、スタイルおよび規格エディタを使用して、必要なすべてのスタイルをテンプレートに手動でもう一度キャッシュしてください。
この手法を使用して、スタイル ライブラリを使用するプロジェクトとスタイル ライブラリを使用しないプロジェクトの間で共有できるテンプレートの共通セットを配置します。
従来の設計プロジェクトでは、通常、各ドキュメントが独自のスタイル セットを持っていました。
したがって、プロジェクト内の多くのドキュメントには、他のドキュメントと共有されていないカスタム スタイルが含まれています。
テンプレートから作成されたすべてのドキュメントには、すべてのテンプレート スタイルを必要としない場合でも、テンプレート スタイル一式が含まれます。スタイルを使用する際に、ファイル サイズを縮小するために、使用しないスタイルをドキュメントから削除します。非常に大規模なアセンブリの場合、合計ファイルサイズを縮小することで、容量を削減できる利点があります。
[管理]タブ [スタイルと規格]パネル
[スタイル消去]を使用して、個々のドキュメントから未使用のスタイルを消去し、重複したスタイルを持つファイルが余分にロードされないようにします。
削除されたスタイルがスタイル ライブラリに保存されている限り、必要に応じて取り込むことができます。ドキュメント内にのみ存在しており、スタイル ライブラリにマイグレートされていないスタイルは、完全に削除されます。
スタイルの移行に使用する Inventor のツールは次のとおりです。
[新規スタイル ライブラリを作成]は、既存のライブラリをカスタマイズ用にコピーしたり、空のスタイル ライブラリを作成して、その中にスタイルをコピーするために使用します。
スタイル ライブラリ マネージャは次の場合に使用します。
[スタイルおよび規格エディタ]は、スタイルを作成および編集するために使用します。スタイルおよび規格エディタはドキュメントベースです。つまり、スタイルの作成と編集は、[スタイルおよび規格エディタ]が開かれているドキュメント上で実行されます。
一般的なスタイル管理タスクを実行するには、ドキュメントベースのバッチ コマンドを使用します。