動的等価ラジアル荷重:
転がり軸受が実際の荷重条件で達するのと同じ寿命になるという影響下における一定の常時荷重。ラジアル コンタクト玉軸受、アンギュラ コンタクト玉軸受、およびラジアルころ軸受に関する動的等価ラジアル荷重は、一定のラジアル荷重およびスラスト荷重の下で、次の計算式が当てはまります。
P r = (X F r + Y F a ). f d
α = 0 のラジアルころ軸受の動的等価ラジアル荷重であって、ラジアル荷重のみの場合、
P r = F r f d
動的等価スラスト荷重:
転がり軸受が実際の荷重条件で達するのと同じ寿命になるという影響下における一定の中心スラスト荷重。α ≠ 0 のスラスト玉軸受およびスラストころ軸受の動的等価スラスト荷重は、次の計算式が当てはまります。
P a = (X F r + Y F a ). f d
α = 90 度のスラスト玉軸受およびスラストころ軸受は、スラスト荷重のみ支持できます。このタイプの動的等価スラスト荷重は次のとおりです。
P a = F a f d
静的等価ラジアル荷重:
実際の荷重条件で発生する接触と同じ接触応力を、最も荷重の大きい転がり要素/軌道接触の中心に発生させる静的ラジアル荷重。ラジアル コンタクト玉軸受、アンギュラ コンタクト玉軸受、およびラジアルころ軸受の静的等価ラジアル荷重は、次の式で求められる 2 つの値のうち大きいほうです。
P 0r = X 0 F r + Y 0 F a
P 0r = F r
静的等価スラスト荷重:
実際の荷重条件で発生する接触と同じ接触応力を、最も荷重の大きい転がり要素/軌道接触の中心に発生させる静的中心スラスト荷重。スラスト玉軸受およびスラストころ軸受の静的等価スラスト荷重は、次のとおりです。
P 0a = X 0 F r + Y 0 F a
結果の等価荷重
軸受荷重が一定である場合、等価荷重は軸受の種類に応じて次の計算式が当てはまります。
P = P r または P = P a
稼働寿命における軸受荷重が一定でない場合、等価荷重は次のとおりです。
ここで
i | 稼働寿命期間のインデックス | |
n i | 稼働寿命期間の循環 | |
t i | 稼働寿命存続期間 | |
P i | 稼働寿命期間の等価ラジアルまたは等価スラスト荷重(軸受の種類に応じて) |
基本定格寿命:
個別の転がり軸受に対する、または同じ条件下で外見上同一な転がり軸受動作のグループに対する、90% の信頼度に関連し、最新で一般的に使用される材料と製造品質に関連した、普通の使用条件下における寿命。ラジアル玉軸受の基本定格寿命は次のとおりです。
![]() | または | ![]() | 時間単位の定格寿命の場合 |
ラジアルころ軸受の基本定格寿命は次のとおりです。
![]() | または | ![]() | 時間単位の定格寿命の場合 |
スラスト玉軸受の基本定格寿命は次のとおりです。
![]() | または | ![]() | 時間単位の定格寿命の場合 |
スラストころ軸受の基本定格寿命は次のとおりです。
![]() | または | ![]() | 時間単位の定格寿命の場合 |
補正定格寿命:
適切な信頼度レベル、特定な軸受プロパティ、および特定の使用条件に関して、基本定格寿命の調整によって得られる定格寿命。ラジアル玉軸受の基本定格寿命は次のとおりです。
ANSI/AFBMA 9 (ISO 281)の計算方法の場合: L nar = L 10r a 1 a 2 a 3 または L na = L 10 a 1 a 2 a 3 (時間単位の定格寿命)
SKF AG の計算方法の場合: L 10r a 1 a skf f t または L na = L 10 a 1 (時間単位の定格寿命)
信頼度に対する寿命調整係数 a1
同じ条件下で外見上同一な転がり軸受動作のグループに関する、指定された寿命を達成または超過することを期待されるグループのパーセンテージ。個別の転がり軸受の信頼度は、その軸受が指定された寿命を達成または超過する可能性を示します。寿命調整係数 a1 の値は次の表のとおりです。
信頼度[%] | L na | a1 |
---|---|---|
90 | L 10 | 1 |
95 | L 5 | 0.62 |
96 | L 4 | 0.53 |
97 | L 3 | 0.44 |
98 | L 2 | 0.33 |
99 | L 1 | 0.21 |
特定軸受プロパティに対する寿命調整係数 a2
軸受寿命は、材料の品質、軸受の製造技術、および軸受の内部設計に応じて延長または短縮されます。それらの軸受寿命のプロパティに対して、寿命値が特定軸受プロパティの寿命調整係数 a2 によって修正されます。
使用条件に対する寿命調整係数 a3
この係数を使用して、特に軸受上の潤滑といった使用条件による影響を考慮します。軸受寿命は、繰り返し力が加わるサーフェスの下で一般に発生する疲労の現象によって影響を受けます。転がり要素と軌道サーフェスが油膜によって分離され、サーフェス損傷を無視できる潤滑条件が良好である場合、a 3 は 1 に設定されます。潤滑油の粘度が低い、転がり要素の削り速度が特に遅いなど、潤滑条件が良くない場合、a 3 は 1 より小さくなります。
逆に、潤滑条件が非常によい場合、a 3 の値は 1 より大きくなります。潤滑条件が悪く a 3 が 1 より小さい場合、寿命調整係数 a2 は 1 より大きくなりません。基本動的荷重定格に応じて軸受を選択する際には、それぞれの目的に合った適切な信頼度係数 a1 の値を選択することをお勧めします。機械の種類によって決定される C/P を使用し、実際の潤滑条件、温度、取り付けなどに基づいて選択してください。
SKF 寿命修正係数 aSKF
この係数は、疲労荷重限界比率(Pu/P)、潤滑条件(粘度比率)、および軸受内の汚染物質レベル(ηc)の関係を表します。係数 aSKF の値は、SKF 規格、SKF Explorer 軸受、および粘度比率 κ の異なる値に関する ηc(Pu/P)の関数として、軸受の種類に応じて 4 つの図から得ることができます。
図 1: ラジアル玉軸受の係数 a SKF
a SKF | ![]() |
η c (P u / P) |
![]() | その他の SKF 規格の軸受 | |
![]() | SKF Explorer の軸受 |
図 2: ラジアルころ軸受の係数 a SKF
a SKF | ![]() |
η c (P u / P) |
![]() | その他の SKF 規格の軸受 | |
![]() | SKF Explorer の軸受 |
図 3: スラスト玉軸受の係数 a SKF
a SKF | ![]() |
η c (P u / P) |
図 4: ラジアル スラストころ軸受の係数 a SKF
a SKF | ![]() |
η c (P u / P) |
![]() | その他の SKF 規格の軸受 | |
![]() | SKF Explorer の軸受 |
[温度係数] ft
それぞれの軸受の動作温度は、その材料と構造に基づいて決まります。特別な熱処理が実行された場合、軸受は +150 ℃よりも高い温度で使用できます。許容接触応力は動作温度の上昇とともに少しずつ減少します。それに従って定格寿命は短くなります。
摩擦による動力損失
κ > 4 の場合は、κ = 4 の曲線を使用します。c (P u / P)の値はゼロになることが多いため、a SKF は κ のすべての値で 0.1 になる傾向があります。点線は古い a 23 (κ)スケールの位置をマークします(a SKF = a 23)。
この図は、他の機械的なコンポーネントに対して、通常は疲れ荷重の限界に関連付けられているタイプの代表値と安全率を表しています。SKF 定格寿命の計算式の本来の簡素化を考慮すると、使用条件が正確に定められていても、a SKF の値を 50 よりも多く使用するのは無意味です。
使用される変数の意味: