非線形材料特性

非線形材料を個人用ライブラリに追加する場合、[弾性][塑性]、または[弾塑性]として特性を指定できます。

真応力-ひずみデータと公称応力-ひずみデータ

[弾性]または[塑性]のどちらの非線形材料でも、応力-ひずみデータを指定する場合は、「」応力-ひずみデータの方が適しています。「公称」応力-ひずみデータは材料の引張テストから生成されます。この場合、応力は試料の元の断面積に基づきます。つまり、データは、横方向または放射状の変形を原因とする試料の断面積の変化を考慮するように修正されていません。断面積の変化を計測することは困難です。そのため、真応力-ひずみデータは、通常は適切な計算を通じて公称応力-ひずみデータから導出されます。

公称応力-ひずみデータを使用して延性材料を指定する場合は、次の制限事項について理解しておく必要があります。

ヒント:

延性材料の降伏後の挙動は、2 つのデータ点に基づく直線セグメントで表すことができます。塑性(降伏後)領域の 1 つ目のデータ点は降伏点であり、これは弾性範囲の終点でもあります。2 つ目の点は最大引張強度(UTS)であり、ネッキングや破損が始まる前に達成される最大応力です。この方法は、適切に定義された計測可能なデータ点が 2 つ含まれているため、根拠が明確です。もちろん、この方法で材料曲線を定義すると、降伏点と UTS 点の間で応力がひずみとともに線形的に増加します。

断面の縮小を考慮して UTS と対応するひずみ値を調整するのが理想的です。塑性領域では、材料の体積変化は無視できるほどになります(ポアソン比が約 0.5)。次の方程式を使用して、UTS 点における公称の応力およびひずみを真の応力およびひずみに変換することができます。

εt = ln(1+εe) σt = σe (1+εe)

ここで、

UTS を超えると試料が急速にネッキングし始めて引張力が下がり、破損しやすくなります。したがって、UTS 以後のテスト データはあまり意味がありません。ただし、場合によっては、非線形シミュレーションで発生するひずみの範囲を考慮して、応力-ひずみ曲線を UTS を超えて延長する必要があります。その場合は、UTS を超える部分にフラットな曲線(ゼロ勾配)を使用して、解析の問題を最小限に抑えます。

硬化

硬化オプションは、ひずみの方向が降伏発生後に変化するときの材料の挙動に影響します。3D ひずみプロットを視覚化すると、硬化オプションを理解しやすくなります。プロットの原点はゼロ-せん断状態です。それ以外の 3D 空間内の点は、対象の材料に作用する応力ベクトルを表し、ひずみの大きさと方向の両方を示します。等方性材料は、ひずみの方向に関係なく同じ特性を持っています。プロットの原点からさまざまな方向に無数のベクトルが描かれ、それぞれが材料の初期降伏強度に到達するのに十分な大きさを持っている様子を想像してみてください。各ベクトルの大きさ(長さ)は同じになり、各ベクトルの先端は原点からの同じ半径距離に配置されます。したがって、これらの降伏ひずみ点はすべて、プロットの原点を中心とした球上にあります。この球のことを「降伏曲面」と呼びます。これは、初期降伏が発生する任意の方向のひずみのしきい値を表しているからです。この図は、3 つすべての硬化オプションに当てはまります。これらは、ひずみが降伏を超えて増加し、その後ひずみの方向が変化したときに、どのような挙動が生じるかが異なります。

降伏強度を超えると、通常は材料が加工硬化し、降伏強度が増加します。この新しく加工硬化した降伏強度のことを、「最大応力」と呼んでいます。加工硬化のプロセスが球状の降伏曲面にどのような影響を与えるかは、3 つの硬化モデルごとに異なります。

降伏基準