OpenPBR サーフェス

はじめに

OpenPBR は、MaterialX Technical Steering Committee の指導の下、AdobeAutodesk のチームが協力して設計したデジタル マテリアル モデルです。OpenPBR サーフェスは、業界の収束を促進し、3D コンテンツ クリエータのワークフローを効率化するための第一歩となります。これは、オートデスク標準サーフェスAdobe 標準マテリアルに基づく物理ベースのサーフェス モデルであり、制作現場で実績のある 2 つのモデルが進化したものです。

OpenPBR サーフェスは極めてアートディレクタブルなマテリアル モデルです。パラメータ セットは表現力に優れ、直感的に操作可能であり、整然とグループ化されています。また、認識されたカラーを直接コントロールすることができ、非常にリアルなマテリアルを表現するのに十分な詳細度を備えています。これは物理ベースです。既定ではマテリアルがリアルに見えますが、アーティストは想像上のマテリアルを自由に表現できます。OpenPBR サーフェスは、使用の簡易性と豊かな表現のバランスを取ることを目的としています。この物理ベースのシェーディング モデルは、クリエイティブなユーザに、複数のソフトウェア アプリケーションのブリッジ機能を提供するために開発されました。この機能は、アーティストにとって使いやすものとなっています。これは、Academy Software Foundation 内の MaterialX のサブプロジェクトです。

使用方法

OpenPBR サーフェスは Maya の既定のノードであり、シーンを新規作成するたびに openPBRSurface1 ノードが作成されます。作成するには、ハイパーシェード(Hypershade)作成(Create)タブにある OpenPBR をクリックするか、レンダリング(Rendering)シェルフのアイコンをクリックします。他のシェーダと同じように、これらのシェーダをオブジェクトに割り当てます。

カー ペイント、すりガラス、プラスチックなどのプリセットを使用できます。OpenPBRプロパティ エディタ(Property Editor)またはアトリビュート エディタ(Attribute Editor)で、プリセット(Presets)をクリックして、プリセットを選択し、適用します。

合成

OpenPBR サーフェス シェーダは、多くのタイプのマテリアルを作成することができる物理ベースのシェーダです(標準サーフェスなど)。製品間の共通のインタフェースとして使用することを目的としており、日常的な使用事例で適切に機能するという実用性を備えています。

OpenPBR サーフェスでは、メディアおよびエンターテインメントの汎用モデルとして役立つと評価されている、特定の形式のマテリアル構造を採用しています。構成は次のとおりです。

  • ベース基板は、金属の組み合わせで構成されています。このベース レイヤのインタフェース(誘電体または金属)によって、一次鏡面反射ローブが生成されます。誘電体ベースは、統計的に混合される可能性のある 3 つのコンポーネントのいずれかを表します。
    1. 光沢のある拡散反射: 不透明な内部媒体(木材、コンクリート、ダンボール、壁塗料など)を持つ誘電体。
    2. サブサーフェス: プラスチック、大理石、スキン、樹木、食品など、散乱度の高い内部媒体を持つ誘電体。
    3. トランスルーセントベース: ガラス、結晶、液体などの半透明な内部媒体を持つ誘電体。
  • コート: オプションの誘電体レイヤ。ベース基板上のコーティングとして機能する、吸収媒体を持つことがあります。このコート レイヤの誘電体インタフェースは、二次鏡面反射光ローブを提供します。
  • ぼかし: 他のすべての要素の上にマイクロファイバー(細かい毛、産毛、テキスタイル ストランド、ちり粒など)からの反射を表すオプションのレイヤ。

発光、虹色の薄膜、および薄膜モード(窓ガラス、紙、葉などの 2 次元の半透明シートのモデル化に使用)もサポートしています。

OpenPBR サーフェス シェーダによってモデル化される理想的な物理マテリアルの概略図。

マテリアル タイプ

既定では、このパラメータはプラスチック、木材、石などのマテリアルに適しています。いくつかの主要なウェイト パラメータを 1 に設定することで、さまざまなタイプのマテリアルをすばやく作成できます。

  • Metalness: 金、銀、鉄、車の塗装。
  • Transmission: ガラス、水、はちみつ、シャボン玉。
  • Subsurface: スキン、大理石、ワックス、紙、木の葉。
  • Thin Walled: 紙、木の葉、シャボン玉。

0 と 1 の間のパラメータ値を使用すると、基本のマテリアル タイプをミックスさせたより複雑なマテリアルを作成することができます。

OpenPBR サーフェス パラメータ グループ:

エネルギー保存

OpenPBR サーフェス シェーダは、物理ベースのシェーダであるため、既定でエネルギー保存が行われます。サーフェスを離れるライトの量が入射ライトの量を超えないようにレイヤすべてのバランスが調整されます。

たとえば、サーフェスの鏡面反射量を増やすと、エネルギー保存の法則を満たすためにこれに応じて拡散反射光レイヤの影響が減ります。

拡散反射光ローブ(左)、鏡面反射光ローブ(中央)、および正規化された合計で構成される、光沢のある拡散反射サーフェスとしてレンダリングされた石。鏡面反射光ハイライト付近ではエネルギーが保存されるため、拡散反射光ローブは自動的に軽減されます。

このマテリアルではエネルギーが保存されるため、サーフェスが白くても、光が跳ね返るときにエネルギーは失われません。したがって、以下に示すように「White Furnace Test」を満たしています。

エネルギー保存を示すホワイト ファーネス テスト。

警告: レイヤのウェイトまたはカラーの値が 1 より大きい場合、エネルギー保存は一般に崩壊します。このようなマテリアルの作成は推奨されません。異なるライティングで予想どおりに動作せず、ノイズが増加してレンダリング パフォーマンスが低下する可能性があるためです。

レンダリング サポート

ハードウェア(Hardware)または Arnold レンダラを使用するか、OpenPBR をサポートする他の任意のソフトウェア レンダラを使用することにより、ハイパーシェード(Hypershade)マテリアル ビューア(Material Viewer)で、OpenPBR サーフェス シェーディングをプレビューできます。ビューポートおよびハイパーシェード > マテリアル ビューア(Hypershade > Material Viewer)では、OpenPBR は直接光および間接光(イメージベースのライティング)の両方と連携します。

次の OpenPBR マテリアル サーフェス プリセットは、さまざまな Arnold プラグインで使用できます。

ヒント: OpenPBR の詳細については、『Arnold ユーザ ガイド』を参照してください。