Pro/ENGINEER Wildfire との間で Alias モデルを受け渡しするのには、PTC Granite™、IGES、STEP ファイル フォーマットを使用できます。
Pro/ENGINEER で作業する際は、Alias モデルで使用したのと同じ単位を設定してください。
Alias を使用している場合、2 種類のモデル情報を Pro/ENGINEER に送信して読み込むことができます。2 種類のモデル情報とは、ジオメトリ情報とトポロジ情報です。
Alias で作成した IGES ファイルには、ジオメトリ情報のみが含まれます。Alias で作成した STEP と Granite ファイルは、ジオメトリ情報とトポロジ情報の両方をサポートしています。
ジオメトリ データはオブジェクトの基本形状を記述するもので、Alias と Pro/ENGINEER では NURBS で表現されます。
トポロジ データは、ジオメトリ コンポーネントが相互に接続してソリッドを形成する方法を表します。Alias モデルを Pro/ENGINEER に転送する場合は、Alias STEP ファイル フォーマットの方が IGES より優れています。STEP ファイル フォーマットには、転送するモデルを表現する情報が多く含まれているからです。
Preferences > Construction Options - Construction Presets を Pro/ENGINEER に設定します。
Alias セット情報は、Level Mapping オプションを SET に設定した場合にのみ、IGES、VDAIS、JAMA-IS のファイルに書き出されます。Alias セットが LEVEL<n> という形式の名前になっており、<n> が 0 より大きい IGES レベル番号である場合、Alias セットの各メンバーに対応する IGES エンティティは、IGES ファイルでレベル <n> に割り当てられます。たとえば、セットLEVEL245 の各メンバに対応する IGES エンティティは、IGES ファイルでレベル 245 に割り当てられます。
Alias オブジェクトが、この命名規則に従った複数のマルチセットのメンバーである場合、IGES ファイルには、対応するエンティティが属する IGES レベルをリストする、Property エンティティ 406、フォーム 1 (定義レベル)が含まれます。
有理ジオメトリ(たとえば正確な半径サーフェス)の変換時間は、非有理ジオメトリの場合より長くなります。Alias を使って、非有理サーフェスを作成して PTC Granite に変換することができます。
変換の質は、Curve Fit Distance で決まります。Preferences > Construction Options - Construction Presets > Tolerances > Fitting での推奨許容誤差は、Alias と Pro/ENGINEER 間でのモデルの変換テストに基づいています。
Maximum Gap Distance の値は、隣り合う境界が互いに十分近く作成されているかどうかをチェックするために使用します。この値には Curve Fit Distance より小さい値を設定できません。
Alias と Pro/ENGINEER の間でジオメトリを転送する前に、転送の目的を考えて適切なワークフローを計画する必要があります。Alias モデルを Pro/ENGINEER に読み込むことは、そのモデルのジオメトリ データとトポロジ データを提供することになります。ソリッド モデルを作成する場合、Pro/ENGINEER システムは、Alias から提供されたデータから Pro/ENGINEER の有効なデータベースを作成する必要があります。Alias から提供されるデータは、Pro/ENGINEERの、トポロジ データとジオメトリ データに関する規則に従う必要があります。
許容誤差内でソリッド モデリングを行うには、モデルを作成するときにモデリング単位と許容誤差を管理することが重要になります。ほとんどのエンジニアリング環境では、基本となる線形の計測単位(Linear Units)としてミリメートルかインチを使用し、許容誤差(Tolerances)については CAD システムに適用する標準値が開発されています。
会社やクライアントが使用している標準が分からない場合は、CAD システム管理者に問い合わせてください。モデリングの開始時に Units と Tolerances を設定して usr_options ファイルに保存しておきます。
サーフェスを問題なく結合するには、モデルのサーフェス間の最大距離、つまり隙間が、Pro/ENGINEER で定義されている精度より小さい必要があります。Pro/ENGINEER システムでは、部品の最小エッジの長さを最大エッジの長さで割った割合より小さい値に精度が定義されています。
隙間が要求されている許容誤差を超えている場合は、その部品精度を下げるとサーフェスを問題なく結合できます。ただし、会社のエンジニアリング仕様で定義されている精度内で Alias モデルを作成することをお勧めします。
Alias から Pro/ENGINEER への転送中に維持する推奨許容誤差は、表現する部品のサイズによって決まります。Alias では、絶対許容誤差システムを使用してジオメトリを表現します。特定の Wire ファイルのジオメトリのすべての断片は、指定された値の範囲(許容誤差)で作成されます。Pro/ENGINEER では相対許容誤差システムを使用します。ジオメトリの断片間で許される隙間は、ジオメトリの相対的なサイズで決まります。
Pro/ENGINEER での既定精度は 0.0012 です。使用可能範囲は 0.01 から 0.0001 です。既定の精度を使用した場合、最大エッジが 5 インチである 2 つのサーフェス間の最大許容距離は、5×0.0012 = 0.006 インチ以下になりますPro/ENGINEER ソリッド モデルを問題なく作成するには、この精度に従って Alias でサーフェスを作成する必要があります。
モデルの作成や確認、または変換結果のデバッグを行う場合には、作成したジオメトリの精度をチェックできる Alias ツールがたくさんあります。最も便利なツールは、Locators メニューの Min/max 計測ツールです。このツールを使用すれば、2 つのサーフェス境界の最大距離をチェックできます。
Pro/ENGINEER に転送するためにジオメトリを準備する場合、Alias でステッチ作業を実行することをお勧めします。
Alias の Surface Edit > Stitch> Shell stitch 機能を使用すると、ソリッド モデルの有効なトポロジを Alias のモデリング環境で作成できます。Alias でサーフェスをステッチすると、Pro/ENGINEER へのインタフェースが大幅に強化されます。ステッチすると、設定した許容誤差を超えるサーフェス境界を判別することもできます。そのため、デザイナは Pro/ENGINEER にデータを変換する前にこれらの問題を修正できます。
ステッチ プロセスでは、モデルの重複しているサーフェスを確認したり、完成したシェルのサーフェス法線の方向を揃えることもできます。
高度なサーフェス ツール(Swept、Rail Surface、Square)でモデルを作成すると、通常は 1 つの大きなサーフェスのエッジに多くの小さなサーフェスが作成されます。このモデリング技法では、ソリッド モデルで必要となる同一エッジが作成されません。ステッチ機能では、Pro/ENGINEER で必要な同一エッジ トポロジが自動的に作成されます。
閉じたサーフェス(プリミティブ球体など)や周期的なサーフェスでは、トポロジの問題が解決できないことがあります。ほとんどのソリッド モデラでは、フェース自体を結合できないからです。Pro/ENGINEER に転送するジオメトリをステッチしてから書き出すのは、Alias には閉じたジオメトリや周期的なジオメトリが存在するからでもあります(Granite にはありません)。ステッチすると、Pro/ENGINEER 用の IGES ファイルか STEP ファイルを作成する前に、ジオメトリを切り離して 2 つのサーフェスを作成することと同じ効果が生まれます。
外部ジオメトリ(Alias などで作成したモデル)をPro/ENGINEER に読み込む場合は、許容誤差プロセス(Tolerancing process)を既定の相対(Relative Tolerancing process)から絶対(Absolute Tolerance process)に変更することができます。外部モデル(Pro/ENGINEER 以外で作成されたものすべて)を Pro/ENGINEER にインポートする前に、そのモデルの作成時に設定された Absolute Tolerance の値を、Pro/ENGINEER で設定することができます。
たとえば、Alias で Curve Fit Distance を 0.002 mm に設定した場合、Pro/ENGINEER での Absolute Tolerance 0.002 mm に設定します。
このオプションを有効にするには、作業フォルダの config.pro ファイルに、:enable_absolute_accuracy yes と書きます。
このオプションを有効にしたら、新たなパーツを作成する度に Pro/ENGINEER アプリケーションの Setup セクションで、Absolute Accuracy を選択し、作業で使う単位と数値を設定する必要があります。
これは、Alias で作成したモデルを引き続き Pro/ENGINEER で使用できるようにするために必要です。
次に、Pro/ENGINEER との相互運用性を向上させるための、Alias でのモデリングのヒントを挙げます。
Pro/ENGINEER では、モデルの個々の要素を機能として作成するので、Pro/ENGINEER で個々の読み込み機能として操作できる書き出しファイルとして、Alias モデルのコンポーネントを読み込むと非常に便利です。Alias モデルの主なコンポーネントは個別に転送できるので、Pro/ENGINEER では個々の機能の作成にそのコンポーネントを使用できます。
この技法には、Pro/ENGINEER で個々の機能の順序を変更し、エンジニアに柔軟性を提供できるという長所があります。Pro/ENGINEER では、Feature > Reorder コマンドを使用してシーケンス機能コンストラクションを修正できます。この修正機能は、エンジニアリング中に使用すると便利です。工業デザインモデルに「メカニカル」な機能が追加され、その結果は以前に作成したジオメトリを基本とします。
エンジニアが定義した機械的な要素と工業デザイナが定義したスタイリング要素が混在するモデルの場合は、サーフェスの置き換え技法が非常に便利です。Pro/ENGINEER モデルのスタイリング要素を置き換えると、すべてのパラメータ情報や機能情報が機械的な要素で維持されます。このため、パラメータの編集を続けたり、自動的に寸法付けしたりすることは可能です。
Pro/ENGINEER からアセンブリを書き出す場合は、Flat、One Level、All Levels、All Parts という 4 種類の IGES 出力を使用できます。
Flat オプションを使用すると、Pro/ENGINEER はアセンブリのジオメトリ全体を 1 つの IGES ファイルで書き出します。書き出し前に、すべてのコンポーネントはモデル空間に変換されますが、IGES ファイルには階層構造は含まれません。アセンブリのすべてのジオメトリは Flat IGES ファイルに存在し、モデル空間で正しく配置されます。
非常に大きくなりそうなファイルを編成する場合は、アセンブリの部品の各インスタンスを Pro/ENGINEER のレイヤに配置してから、アセンブリを IGES Flat として書き出します。レイヤは、IGES ファイルでアセンブリとともに「レベル」として転送され、IGES レベルは、Alias セットに変換されます。1 セットのメンバーが、アセンブリのパーツのインスタンスを構成するすべてのサーフェスになるということです。
各レイヤに指定されたインタフェース ID によって、IGES 経由で Pro/ENGINEER のレイヤ情報が転送されます。IGES はレイヤの名前をサポートしません。IGES のレイヤは「レベル」と呼ばれ、名前ではなく番号で識別されます。Pro/ENGINEER で、作成するレイヤに番号と名前を割り当てるように要求されるのはこのためです。Pro/ENGINEER では名前が便利ですが、データ変換では番号が重要です。
IGES ファイルを Alias に読み込むと、IGES レベル情報は Alias セットとして作成されます。レベル情報を表示するには、Set Lister(Windows > Sets > Set lister)を使用します。セットの名前は、LEVEL#n という形式です。n は、Pro/ENGINEER で指定されたインタフェース ID です。
コンポーネントの IGES ファイルを指す External Reference とともに、アセンブリ IGES ファイルを出力します。これには、トップレベルのジオメトリしか含まれません。
All Levels オプションを使用すると、アセンブリに n 個のパーツかサブアセンブリがある場合、Pro/ENGINEER は n+ 1 個の IGES ファイルを出力します。各パーツかサブアセンブリにつき 1 つの IGES ファイル(合計で n 個の IGES ファイル)と、n 個のコンポーネント IGES ファイルの External Reference(IGES エンティティ 416、フォーム 1)を含む 1 つのマスタ IGES ファイルが出力されます。マスタ IGES ファイルのコンポーネント IGES ファイルの各 External Reference は、IGES Subfigure Instance(エンティティ 408)で 1 度インスタンス化される IGES Subfigure Definition(エンティティ 308)に含まれます。マスタ IGES ファイルで参照される各コンポーネントのモデルは定義スペース、つまり原点に配置されます。各コンポーネントは、マスタ IGES ファイルの Subfigure Instance(エンティティ 408)に含まれる変換で、ワールドスペースに変換されます。
n 個のコンポーネント IGES ファイルを Alias に別々に読み込むと、各コンポーネントがモデル空間の正しい位置ではなく原点に配置されるので、作成されるモデルは不正になります。
マスタ IGES ファイルを Alias に読み込んでも、モデルは作成されません。Alias では、IGES External Reference (416、フォーム 1)エンティティをサポートしていないためです。このエンティティは、コンポーネント IGES ファイルのファイル名を含んでおり、このファイル名は一般的に OS 間で移植できないため、敬遠されます。
コンポーネントのジオメトリ情報を含む複数のファイルとして、アセンブリ機能アセンブリを IGES に出力します。このパーツでは、受信側システムでの再組み立てを容易にするため、同じ参照座標系が使用されます。