プロジェクトの概要

プロジェクトを使用して、ファイルを編成し、ファイル間のリンクを維持することができます。[Inventor プロジェクト ウィザード]を使用して各設計プロジェクトごとにプロジェクトを定義することで、設計ファイルとライブラリへのアクセスが可能になる他、ファイル参照を維持できます。プロジェクトを作成した後、プロジェクト エディタでオプション(たとえば、ファイル保存時に保持するファイル バージョンの数など)を設定します。

通常考えられるプロジェクトは、たとえばプロジェクト固有のパーツやアセンブリ、社内の独自の標準コンポーネント、既製のコンポーネント(締結部品、継ぎ手、電子コンポーネントなど)といったもので構成されます。

注: プロジェクト エディタの使用方法の詳細は、[プロジェクト エディタ]ダイアログ ボックスで[ヘルプ]を選択し、ヘルプを参照してください。

プロジェクト ファイルとは何か

プロジェクト ファイルは、.ipj という拡張子付きのテキスト ファイルです。このファイルには、プロジェクト内のファイルへのパスを指定します。ファイル間のリンクが正しく動作するようにするために、すべてのファイルの場所をプロジェクト ファイルに追加してから、モデル ファイルでの作業を開始してください。

プロジェクトのショートカットがプロジェクト フォルダ内に配置されます。プロジェクト ファイル(.ipj)の場所は、プロジェクトの作成時に[Inventor プロジェクト ウィザード]で指定します。

新しいプロジェクトを作成したときにショートカットが確実に追加されるように、ファイル構造の設定時にプロジェクト フォルダを指定します。プロジェクトを作成した後でプロジェクト フォルダの場所を変更した場合は、既存のプロジェクトのショートカットを追加する必要があります。

作業の管理するために必要な数のプロジェクトを作成できます。

設計データは複数のファイルに分散しています。パーツ、アセンブリ、図面、プレゼンテーションはそれぞれ固有のファイルに保存されますが、これらの各ファイルから 1 つまたは複数のコンポーネントや他のアセンブリを参照できます。

プロジェクトはファイル間参照の従属情報を保持することにより、プロジェクトを定義するファイル セットの移動、アーカイブ、再構築を可能にしています。

プロジェクト ファイルを編集するには、[ファイル] [プロジェクト]ダイアログ ボックスでプロジェクトを選択し、編集コマンドを使用してファイルの場所を追加、削除、または変更します。

プロジェクト ファイルの内容

プロジェクトの作成時にプロジェクト タイプを選択します。これにより、作業グループ(共有場所)または作業スペース(個人が編集を行う場所)のいずれかが自動的に指定されます。ファイルを共有する設計チームでは、通常、作業グループにデータ ファイルを含むフォルダ構造を格納します。また、プロジェクトには多くの場合 1 つまたは複数のライブラリを指定します。ライブラリとは、参照専用ファイル(編集はできません)が保存されている場所のことです。プロジェクト ファイルには、プロジェクト タイプに応じて以下のセクションを含めることができます。

作業スペース

Vault、半独立作業スペース、およびシングルユーザ プロジェクトで使用するファイルを作成、編集、保存する場所を指定します。半独立モードのマスター プロジェクトでは、共有場所(作業グループ)は定義しますが、作業スペースは指定しません。

ローカル検索パス

設計のテストを行う場所を指定します。ローカル検索パスは設計データには使用しないでください。

作業グループ検索パス

Autodesk Inventor でファイルの検索先となる共有のネットワーク上の場所を示します。検索対象は、共有プロジェクトと半独立マスター プロジェクトの参照ファイルです。ファイルを編集するには、まずそのファイルをチェックアウトする必要があります。1 つのファイルをチェックアウトして編集できる設計者は一度に 1 人だけです。

ライブラリ

標準部品、Mechanical Desktop のコンポーネント、iPart、その他の名前付きライブラリの場所を示します。ライブラリを作成すると、その中にあるパーツやアセンブリを再使用したり他の設計者と共有したりできますが、編集はできません。

インクルード パス ファイル

別のプロジェクト ファイルのパスや名前を指定します。半独立作業スペース プロジェクトでは、半独立マスター プロジェクトがインクルード ファイルです。インクルード プロジェクト ファイルには、ネットワーク上の作業グループ ファイルやライブラリの場所を指定します。含めることができるプロジェクト ファイルは 1 つだけです。

注: 既定では、プロジェクトでは相対パスを使用します。プロジェクト内のパスは、プロジェクト ファイル(.ipj)の場所を基準とした相対パスになります。プロジェクト ファイルは作業グループまたは作業スペースにあります。

プロジェクト ファイルの機能

プロジェクト ファイルに指定したファイルの場所は、Autodesk Inventor の検索パスとして使用されます。ファイルを開くと、Autodesk Inventor によって、アクティブなプロジェクト ファイルに指定されたパスを対象に、ファイルと参照ファイルの検索が実行されます。プロジェクト ファイルの各セクションでは、検索順序を設定します。各セクションに設定された順番で、パスが検索されます。

注: 同じ名前のファイルが複数の検索場所に存在する場合は、最初に検出されたファイルが開きます。Autodesk Inventor

プロジェクトを設定するには

プロジェクトを作成して設計を開始する前に、まずプロジェクトのフォルダ構造を設定する必要があります。プロジェクトに関連する既存のファイルの他に将来作成するファイルも考慮して、プロジェクトを計画します。フォルダ構造に関するガイドラインを以下に示します。

ファイル参照情報が適切に保存され、ファイル解決の問題が発生する可能性を最小にするために、プロジェクトを作成してから設計作業を開始します。

  1. プロジェクトを計画します。
    • プロジェクトに関連する既存のファイルの他に将来作成するファイルのタイプも考慮します。
    • プロジェクトのファイルとライブラリをローカルに置くかネットワーク上に置くかを決めます。
    • 特定のプロジェクトの作業状況に最も適したプロジェクト タイプを、Vault、半独立マスター、半独立作業スペース、共有、シングルユーザの中から決定します。プロジェクト タイプを選択すると、適切なマルチユーザ モードが自動的に設定されます。
  2. プロジェクト計画に従って、[Inventor プロジェクト ウィザード]でプロジェクトを作成します。
  3. 必要に応じて、プロジェクト エディタを使用して追加オプションを設定します。