プリフォーム表面: 空隙率と浸透率

RTM(Resin Transfer Molding: レジン トランスファー成形)および SRIM(Structural Reaction Injection Molding: 構造反応射出成形)解析では、樹脂は強化プリフォーム(繊維マットともいう)が存在するキャビティを流動します。

プリフォームの特性によって特徴づけらる流動タイプは、プリフォーム構造に応じて等方性または異方性となります。また、プリフォームを通過する樹脂の流動抵抗も樹脂特性と流量により異なります。

RTM および SRIM 解析の準備をする際のプリフォーム データには次のものが含まれます。

プリフォーム空隙率

空隙率は、キャビティ内のプリフォームの空隙密度を表します。空隙率は、キャビティに樹脂が充填される前の体積に対する空隙体積の比率で定義されます。空隙体積は、キャビティ体積から繊維強化材の占める体積を引いたものと等しくなります。

プリフォーム浸透率

浸透率とは、流体が多孔性の媒体を通過する能力です。浸透率が高いほど、流体は媒体をより容易に通過します。RTM および SRIM プロセスでは、浸透率は繊維マットのネットワーク構造によって異なります。

繊維マットの平面内構造と流動に対する横方向構造は異なり、異なる流動抵抗を生じます。

横方向浸透率は、オートクレーブ (加圧釜) プロセスによる複合材の流動を特徴づけるために使用されます。平面内浸透率は、RTM および SRIM での流動抵抗を決定するために使用されます。これらのプロセスは、通常、多くのアプリケーションで平面寸法に対するギャップの厚みの比率が小さいために、2 次元の流動としてモデリングされるためです。

横方向浸透率:



面内浸透率:



肉厚変化のあるキャビティでのプリフォームの使用

肉厚が異なる領域に、プリフォームが配置されることがあります。キャビティに肉厚変化がある場合は、同じプリフォームで強化されても空隙率が異なり、よって浸透率も異なる結果となります。これを解消するには、プリフォーム プロパティの基準となる参照肉厚を指定します。[プリフォーム]ダイアログ ボックスの[プロパティ]タブの肉厚が参照肉厚となります。

成形時のキャビティの肉厚が指定した参照肉厚値と異なる場合は、リアクティブ成形解析は自動的に空隙率と浸透率を変更します。