プリフォーム表面: 配向

RTM(Resin Transfer Molding: レジン トランスファー成形)および SRIM(Structural Reaction Injection Molding: 構造反応射出成形)解析では、樹脂は強化プリフォーム(繊維マットともいう)が存在するキャビティを流動します。

プリフォームの特性によって特徴づけらる流動タイプは、プリフォーム構造に応じて等方性または異方性となります。また、プリフォームを通過する樹脂の流動抵抗も樹脂特性と流量により異なります。

RTM および SRIM 解析の準備をする際のプリフォーム データには次のものが含まれます。

等方性プリフォーム

ランダム構造のプリフォームを樹脂が流動すると、円形のメルト フロントが発生します。この流動パターンを等方性流動と呼びます。この種のプリフォームは、通常、不規則に裁断された繊維ストランドから作られ、等方性プリフォームとも呼ばれます。樹脂流動パターンが流動方向に依存しないため、プリフォームの配向を指定する必要はありません。

等方性繊維マットでは、第 1 主方向のプリフォーム浸透率は第 2 主方向のプリフォーム浸透率と等しく、プリフォーム断面の浸透率はゼロになります。このため、この製品では、等方性プリフォームの配向を指定する必要はありません。

異方性プリフォーム

1 つの方向に縫いこまれた、または編まれたプリフォームの構造が均一ではないものを異方性プリフォームと呼びます。孔隙領域の分布に関しては、このプリフォームでは 1 つの方向に最大孔隙領域を、その第 1 の方向に対して垂直の方向では最小孔隙領域を示します。樹脂がこのようなプリフォームを透過するとき、最大孔隙領域がある方向の流動は、流動抵抗が低いために速くなります。孔隙領域の分布がスムーズな場合、メルト フロントは楕円形を示します。

楕円の形状は、主方向の浸透率によって特徴付けられる最大孔隙領域および最小孔隙領域によって異なります。最大孔隙領域のある方向は、浸透率も最も高く、第 1 主方向として定義されます。第 1 主方向は、楕円の主軸に相当します。楕円の短軸は、第 2 主方向に相当します。これは第 1 主方向に対して垂直で、最小孔隙領域があり浸透率は最も低くなります。

異方性プリフォームを浸透する樹脂流動の楕円形のメルト フロント パターンを示すキャビティの平面図



ここで、
  • a は樹脂入口(ゲート)
  • b は短軸
  • c は楕円形のメルト フロント
  • d は主軸
  • e は異方性繊維マット
注: 異方性繊維マットでは、第 1 主方向のプリフォーム浸透率は第 2 主方向のプリフォーム浸透率と異なり、プリフォーム断面の浸透率はゼロまたはゼロ以外の場合があります。このため、この製品では、異方性プリフォームの配向(第 1 主方向、主軸)を指定する必要があります。