[結果および比較]ダイアログには、エネルギー解析のための[節約の可能性のあるエネルギー]チャートがあります。最も省エネ効果の高い建築の設計、建設およびシステムの機能に集中的に取り組むには、このチャートを使用します。
チャート内のデータは、クラウドで同時に実行される 37 の個別のエネルギー シミュレーションに基づいています。シミュレーションごとに、屋根や壁の断熱などのアスペクト、ガラスのプロパティ、照明コントロール、換気などを含む建築フィーチャの組み合わせが異なります。これらのシミュレーションは、新規および既存の建築で見られる極端な値をテストし、各パラメータが建築のエネルギー パフォーマンスにどの程度影響を与えるかを設計チームが詳細に理解するのに役立つように設計されています。
チャートを読み取る方法
1: 解析された建築フィーチャ。チャート内の各バーは解析対象の建築フィーチャを表しており、建築のエネルギー パフォーマンスへの重要度を示します。建築フィーチャごとに、デザイン オプションの範囲がテストされます。
2: 現在のモデルの基線。解析用に送信すると、0 (ゼロ)位置にある中央の垂直線によって建築モデルのエネルギー パフォーマンスが表されます。
3: 省エネとエネルギー損失の可能性。エネルギーの節約に最も効果が高いと考えられる機能がリストの最初に表示されます。中心線の右側にあるバーのサイズが、現在のモデルに基づいた潜在的な節約の割合を表しています。中心線の左にあるバーのサイズは、損失の可能性の割合を表します。
4: 影響。バー全体のサイズは、この建築フィーチャがエネルギー解析にどの程度影響力を持っているかを表します。このバーが大きい場合は、この機能を変更するとエネルギー使用に大きな影響を与えます。また、別のシミュレーションによるこの機能の値の変化の度合いも、バーのサイズに影響します。極端な値を示すシミュレーションが選択されます。
[節約の可能性のあるエネルギー]チャートの使用方法
エネルギー解析は、機会があるときに建物のエネルギー使用を削減する選択を行うために、プロジェクトの初期と、その後もひんぱんに実行すると最大の成果が出ます。設計チームとエンジニアリング チームは、エネルギー効率手段を調査し優先順位を設定するために連携して作業する必要があります。このチャートはこの処理を簡単にするためのものであり、すべての Revit モデルから簡単に生成できます。
チャートは一目見るだけで重要なエネルギー機能を特定できるようになっています。
- 大きいバーは、エネルギー使用に影響を与える重要な建築フィーチャを表します(より影響力のあるもの)。小さいバーは、エネルギー使用への重要度が低いものを表します(影響力の少ないもの)。
- バーが基線の右側に伸びるほど、エネルギー節約の可能性が高くなります。バーが左に伸びるほど、エネルギー損失の可能性が高くなります。
このデータを使用すれば、エネルギー パフォーマンスに最大の影響を与える建築フィーチャに設計チームが集中して作業することができます。
- リストの上位にあり、垂直線の右側のバーが大きくなっている機能を調査することで、基線が最も改善されるケースに絞り込みます。シミュレート対象ではなくチャートに表れることはないが、建物のエネルギー使用に重要な影響を与える設計上のアスペクトがある可能性がありますのでご注意ください。
- エネルギー パフォーマンスの低下を防ぐには、垂直線の左側に大きく伸びるバーを持つ建築フィーチャが低下しないように注意してください。
- フレキシブルに設定できる機能もあります。修正を行ってもエネルギー パフォーマンスにほとんど影響を与えることがない建築フィーチャは、垂直線の左右のバーが小さくなります。
- 既存の建築の場合は、チャートの結果を使用して建築の監査中の作業時間に優先度を設定できます。大きな影響を持つ建築フィーチャであれば、監査やその後の効率性の調査により多くの時間が必要となります。
例: [節約の可能性のあるエネルギー]チャートの解釈
下のチャートは、このオフィス ビルの Revit モデルから生成され、上海近郊でシミュレートされました。U 字形の下部の南を向いています。
このチャートによるまとめ:
- エネルギー使用に最も影響を与える建築フィーチャは、窓ガラス、プラグ負荷、換気です。代替案をテストしたところ、これらの 3 つの機能はそれぞれがエネルギー使用に約 35% の影響を与える可能性があります。その他の重要パラメータは、屋根の断熱、照明効率、壁の断熱であり、エネルギー使用に約 10~15% の影響を与える可能性があります。
- 現在の建築モデルに基づくと、もっともエネルギー使用に改善の可能性があるのは窓ガラスの変更です(最大 20% 改善)。現在の建築モデルは、U 値(SI)が 3.16 (0.56 英国)、SHGC が 0.69、VLT が 0.78 のクリアな二重ガラスを使用しています。
- 基線を改善できる次に大きな領域は、より効率的な照明です。これらでエネルギー パフォーマンスを約 8% 向上させることができます。
- 換気とプラグ負荷の変化はエネルギー使用に大きな差異を生み出しますが、これらの値は現実には大きく変動するためモデルの前提を確認します。建物の気密性が悪い場合、換気によりエネルギー パフォーマンスが送信モデルより 30% 以上低下することもあります。
- 指定されている屋根と壁の断熱材は比較的良好です。ここではエネルギー節約の可能性はごくわずかですが、設定を戻さないようにすることが重要です。
- 昼光コントロールによる全体的なエネルギー効率では、約 3% の改善が見込まれます。この影響は「昼光コントロール - DC」の代替案で確認できる他、昼光コントロール(DC)を含む窓ガラスや天窓ガラスの代替案でも確認できます。昼光コントロールは天窓と窓ガラスにバンドルされており、別なガラスを使用した場合の昼光コントロールのメリットを確認することができます。