自由サーフェス
Autodesk Simulation CFD 2014 では、動的に液体および気体の間のインタフェースを動的にシミュレートする機能が追加されています。この機能は、自然界や、さまざまなエンジニアリング アプリケーションで発生する、多くの流動をモデリングするために重要です。
自由サーフェスの適用事例
多数の異なる事例をシミュレートするために自由サーフェスを使用することができます。ここでは、いくつかの例を示します。
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タンク内の液体の挙動
- スロッシング: 部分的に満たされたコンテナ内の液体の挙動。
- 攪拌: 完全または部分的に液体に浸された攪拌機、バッフル、流出入のいずれかまたはこれらの組み合わせを使用したときのタンク内の液体の挙動、またはタンクの動作による液体の挙動(タンクの動作の例には地震による影響や移動可能なタンクの輸送があります)。
- 混合: 異なる種類の液体の濃度。
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水の輸送および設備
- 土木構造物: ダム、カルバート、放水路、および堰。
- バルブ: 開水路流れ解析。
- 水タンク: 注入と汲み上げのサイクルまたは連続した流入と流出。
基本的な自由サーフェスのセットアップ
モデルを作成して設定する際に、液体についてモデルを検討します。CAD モデル内に液体の領域が含まれるようにします。液体のみに基づいて、材料と境界条件を割り当てます。気体(空気)によって占められる領域を液体がない空間とみなします。
- 流体を含むか、今後含むようになる部品に、液体材料を割り当てます。流体を含むか、今後含むようになる部品に、気体材料を割り当てないでください。Simulation CFD では、同じ部品に複数の材料を割り当てることはできません。
- 液体が領域に入る位置を示すには、流れ境界条件(速度、体積流量)を指定します。
- 時間 = 0 において領域が液体で満たされるか、部分的に満たされる場合、液体の初期位置を示すために HOF の初期条件を指定します。初期の液体レベルに存在する個別のボリュームなどのジオメトリを作成します。
- 時間 = 0 においてタンクが空の場合、ボリュームに液体材料を割り当てます。HOF の初期条件を割り当てないでください。液体は、指定した流れ境界条件により、領域に入ります。
- すべての流体パーツおよび液体を含む部品にメッシュを作成します。自由サーフェスのシミュレーションのメッシュ要件は厳しくなっています。液体と気体の境界面に細かいメッシュを割り当てます。
Simulation CFD では、非定常として自由サーフェスのシミュレーションが実行されて、自動的に時間ステップが計算されます。
自由サーフェスを有効にするには:
- [実行]ダイアログ ボックスを開きます([設定](タブ) > [シミュレーション](パネル) > [実行])。
- [物理的特性]タブの[自由サーフェス]をクリックします。
- [自由サーフェス]ダイアログ ボックスで、[自由サーフェスを有効化]をオンにします。
- 重力ベクトルを設定して、液体に作用する加速力を指定します。また、[加速度]設定を使用してさらに加速度コンポーネントを指定することができます。これらのコマンドは、移動中のタンクなどにおける体積力をシミュレートするのに便利です。
結果の液体体積を表示するには:
- モデルを右クリックして、[自由サーフェス]を選択します。
- VOF 結果量が表示されます。この値が 0.5 の場合、液体と気体の境界を示します。
- 液体の挙動を確認するには、等値面として VOF をベクトルとともに表示します。
自由サーフェスの詳細については、ここをクリックしてください。
高度な乱流モデル
精度を上げて、特定のタイプのシミュレーションのメッシュ依存性を減らすために、Simulation CFD 2014 にはいくつかの新しい乱流モデルが含まれています。
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SST k-ω
- この乱流モデルは、分離またはアタッチ解除のある流れ、および逆圧勾配に推奨します。
- また、このモデルはさまざまな流れタイプで安定しています。
- このモデルを効果的に使用するには、境界層領域で細かいメッシュを使用します。[メッシュ エンハンスメント]ダイアログ ボックスで最大 10 個のレイヤーを追加できます。
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剥離渦シミュレーション(SST k-ω DES)
- SST k-ω とラージ エディ シミュレーション(LES)を混合します。
- 分離した高いレイノルズ数の外部空気力学流れの適用事例で正確な結果を生成します。
- このモデルはかなりの計算を必要とし、メッシュ分布の影響を受けます。これは均一なメッシュ分布で最適に動作します。
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スケールのアダプティブ シミュレーション(SST k-ω SAS)
- このモデルは、非定常(時間依存)流れアプリケーションにお勧めします。
- このモデルを効果的に使用するには、境界層領域で細かいメッシュを定義します。[メッシュ エンハンスメント]ダイアログ ボックスで最大 10 個のレイヤーを追加できます。
これらのモデルを有効にするには:
- [実行]ダイアログ ボックスを開きます([設定](タブ) > [シミュレーション](パネル) > [実行])。
- [物理的特性]タブの[乱流]をクリックします。
- [乱流モデル]メニューから選択します。
これらの乱流モデルの詳細については、ここをクリックします。
分布抵抗の精度向上
ユーザからのフィードバックを受けて、Simulation CFD 2014 での分布抵抗の定式化は、これらの 2 つの状況をより正確にシミュレートするように改善されました。
- 放射状の抵抗領域(方向付き K 値の大きな変動と直交座標軸と一致していない領域を含む)
- 直交座標軸に一致していない平面領域
どちらの場合も、この定式化によって、圧力降下と速度分布、特に低い K 値について、予測がより正確になります。Simulation CFD 2014 での定式化の変更により、前のバージョンよりも一貫性の高い、高精度の結果が得られます。
これらの改善点をサポートするユーザ インタフェースまたはワークフローへの変更はありません。
注: この方法を無効にして Simulation CFD 2013 で使用されていた定式化に戻るには、no_difu_tensors フラグの値を 1 に変更します。
PCB 材料の温度結果の改善
Simulation CFD 2014 は、直交座標軸と一致していないプリント基板(PCB)の材料の温度分布を高い精度で計算します。
注: この方法を無効にして Simulation CFD 2013 で使用されていた定式化に戻るには、no_difu_tensors フラグを 2 に変更します。分散抵抗と PCB 材料の両方について、Simulation CFD 2013 で使用された定式化に戻すには、このフラグの値を 3 に変更します。
削除された機能
Simulation CFD 2014 では 2 つのクイック対流熱伝達モデルが含まれなくなりました。