ペルチェ素子材料の使用

ペルチェ素子材料デバイスの適用

  1. 材料クイック編集ダイアログを開きます。次の方法があります:
    • マウス左ボタンで部品をクリックし、状況依存ツールバーの編集アイコンをクリックします。
    • 部品を右クリックし、編集...をクリックします。
    • デザインスタディバーの材料ブランチの下にある部品名を右クリックし、編集...をクリックします。
    • 材料状況依存パネルで編集をクリックします。
  2. 1つ以上の部品を選択します。各PCBは、実際のPCBと同じ物理的寸法および形状を持つ3次元のボリュームとしてモデル化する必要があります。PCB内の内部層はモデル化しません。
  3. 材料データベース名メニューからデータベースを選択します。
  4. 種類メニューより、ペルチェ素子(TEC)を選択します。
  5. 名前メニューから材料を選択します。
  6. ターゲット温度が維持されるペルチェ素子サーフェスを選択します。ポップアウトをアクティブにするには、低温側サーフェスフィールドの右側の列をクリックします。デバイスのセンシングサーフェス上をクリックします。(センシングサーフェスと同一平面にあるサーフェスも選択されます。)
  7. [適用]をクリックします。

ペルチェ素子材料デバイスの作成

デフォルトデータベースにはいくつかのペルチェ素子デバイスサンプルが含まれています。これらのパラメータを変更するには、材料エディタによりオリジナルをカスタムデータベースにコピーし、その内容を変更します。

注: ペルチェ素子は実モデルに合う正しい寸法でモデル化される必要があります。
  1. 材料パネルで材料エディタをクリックし、材料エディタを開きます。
  2. リストボタンをクリックします。
  3. カスタムデータベースを右クリックし、新規材料を選択します。[ペルチェ素子デバイス]を選択します。名前を指定します。
  4. 定義したい物性値のボタンをクリックします:

    1. ペルチェ素子ジオメトリの定義

    これはジオメトリファクターG、Gの単位、およびデバイスに含まれる段数です。Gはピンの断面面積と対の高さの比です。

    1. [TEC ジオメトリ]ボタンをクリックします。
    2. ジオメトリファクターの単位を指定します。
    3. Gの値を指定します。
    4. 段数を指定します。
    5. [適用]をクリックして値を保存します。

    2. 制御方法の定義

    これはTECデバイスの動作モードを定義します。デフォルトは「低音側温度」です。ペルチェ素子デバイスはターゲットとする低温の冷却効果を持つという定義です。

    1. 制御方法ボタンをクリックします。
    2. 制御方法を選択します。
      • [低温側温度]: ターゲットとなる低温です。TECデバイスはこの値を維持するようにユーザー指定のTECサーフェスから熱を取り除きます。これは部品を冷却するときの制御方法です。
      • [高温側温度]: ターゲットとなる高温です。TECデバイスはこの値を維持するようにユーザー指定のTECサーフェスに熱を与えます。これは部品を加熱するときの制御方法です。
      • [電圧]: ペルチェ素子デバイスに対する電圧がコントロールされている場合にのみ使用します。
      • [電流]: ペルチェ素子デバイスに対する電流がコントロールされている場合にのみ使用します。
      • [電力]: ペルチェ素子デバイスに対する電力がコントロールされている場合に使用します。
    3. [適用]をクリックして値を保存します。

    3. (オプション ステップ)材料パラメータ係数の定義

    ゼーベック係数、抵抗率、熱伝導率: これらの値は温度依存であり、多項式で定義されます。サンプルデバイスのデータを使って作業を開始することはできますが、必要に応じて特定のデバイスの係数値をメーカーのデータを参照して確認してください。

    1. [ゼーベック 係数]ボタンをクリックします。
    2. サンプルデバイスの値を使用するか、別の係数値を指定します。適用をクリックして値を保存します。
    3. 抵抗率に対しても同じく指定を行い、適用をクリックします。
    4. 熱伝導率に対しても同じく指定を行い、適用をクリックします。

    これらの数式は2次多項式で平均温度Tavに応じて変化する。係数の値はメーカーによって異なり、Autodesk Simulation CFD で提供されている既定値は次のとおりです。

    ゼーベック係数、a、(V/K単位):

    a = 0.000210902 + 3.4426e-07(Tav - 23) - 9.904e-10(Tav - 23)²

    抵抗率, r 単位 Ohm-m:

    r = 1.08497e-05 + 5.35e-08(Tav - 23) + 6.28e-11(Tav - 23)²

    熱伝導率、k、W/m-K単位:

    k = 1.65901 - 0.00332(Tav - 23) + 4.13e-5(Tav - 23)²

    これらの値よりカスタム係数を計算するには次の方法があります。

    1. 各変数に対して、温度(単位は摂氏[C])の関数としてプロットする
    2. 2次多項式を計算するために、カーブフィットツールを用いる
    3. 方程式より0次、1次、2次の係数を抽出する
    4. 材料エディタ内の各欄にそれぞれ3つの係数を入力する

    4. ペルチェ素子パラメータの定義

    これらは特定のデバイスに対するパフォーマンスパラメータ制限でメーカーにより指定されている値です。解析においては特定のデバイスの正しいパラメータ値を使うことが大変重要である。

    1. ペルチェ素子パラメータボタンをクリックします。
    2. メーカー指定のパラメータ制限値を指定します。これらのパラメータは、Autodesk Simulation CFD 解析内でデバイスのパフォーマンスを制限するものです。ターゲット温度の維持が、最大値を超えることによってしか可能でない場合、警告が発行され、ペルチェ素子デバイスパラメータが制限値を超えたことを知らせます。
      • QMax は低温側からデバイスが吸収することのできる最大熱荷重です。これは、最大電流(Imax)に対するDT = 0のモジュール内の温度差に対応する電力である。
      • IMax は最大温度差(DTMax)になる直流電流です。これはモジュールが許容できる最大電流値ではなく、DTMaxになる電流値である。(デバイスに与えて発生するジュール熱が冷却効果を超えない最大の電流値です。最大定格電流を超えてTECデバイスを使用するとペルチェ効果で奪う熱よりも多く熱をシステムに与えてしまいます。)
      • VMaxは熱荷重を伴わないImaxに対する最大電圧です。
      • DTMax はImaxのとき熱荷重を伴わずモジュール内で維持できる最大温度差です。
    3. 適用をクリックして値を保存します。
  5. 必要に応じて、[保存]をクリックします。
  6. OK をクリックします。材料クイック編集ダイアログを開くと、新しい材料を使用できます。

TEC モデリングのガイドライン

参考文献: Rowe, D.M., CRC Handbook of Thermoelectrics, CRC Press, Boca Raton, 1995