ステップ 3 では、有限要素解析プログラムの応力解析の結果に対して疲労解析を実行する場合に、応力解析の結果で無視されているジオメトリの効果を考慮するよう設定します。
たとえば、有限要素モデルが解析対象のパーツのジオメトリを完全に表していない可能性があります。このため、応力集中の要因となるジオメトリ フィーチャが検出されない場合があります。このようなフィーチャの例を次に示します。
これらのフィーチャが有限要素モデルにない場合は、これらのフィーチャを考慮するよう応力解析の結果を修正します。
フィーチャのタイプおよび寸法に関連する応力集中の承認済みの値を使用することができます。Roark や Peterson たちの著作に記載されているさまざまなジオメトリ フィーチャについて、承認済みの値が用意されています。
Kt の値は名目上の応力の変換に使用されます。
疲労解析では同じ手法を実施できます。ただし、材料の中には、疲労寿命について異なる応力集中の感度を示すものもあります。つまり、ジオメトリの応力集中が同じでも、材料タイプによって疲労寿命は個別に変化します。この効果はノッチ感度と呼ばれます。
ノッチ感度を考慮するには、一般的に係数 Kf を有限要素の解析結果に適用します。Kf は、Kt と等価ですが、材料のノッチ感度を考慮に入れるために因数分解されます。Kf の値が不明の場合は、堅実な手法を採用して、Kt の値を適用できます。
疲労解析ウィザードのステップ 3 で、次のように表示されているボックスに Kf 値を入力します。
Kf>=1.0
有限要素モデルの予測応力は正確であると確信がある場合は、Kf の既定値 1.0 を使用します。
疲労解析では、一般的に小さなジオメトリ フィーチャに関連する応力集中の他にも、多くの係数を考慮に入れます。これらのすべての係数は、標本のテストから取得した名目上の材料特性を変更する可能性を備えています。
通常、SN および EN の材料データは、標準のサイズ、温度、研磨表面仕上げの標本から事前に測定されます。実際のエンジニアリング コンポーネントでは、条件が理想と異なる場合、複数の方法で(テストによる)材料特性を因数に分解します。
これらの係数は、耐久限度変更子と呼ばれる場合があります。表面仕上げについて耐久限度変更子を追加することができます。ドロップダウン メニューを使用するか、[その他]オプションを選択して他の修飾子を適用します。
表面仕上げ
疲労解析ウィザードでは、事前定義の各種の表面仕上げ修飾子が用意されており、簡単に選択することができます。ドロップダウン メニューを使用するか、解析するコンポーネント(またはサーフェス)の適切な仕上げを選択します。
その他
さらに多くの耐久限度変更子を考慮に入れるには、[その他]領域で単一の値を追加で入力します。0 ~ 1.0 の範囲の単一の値を入力します。
これらの効果および関連する値の詳細な説明は、疲労解析に関するほとんどの工学の教科書に記載されています。
疲労解析ウィザードでの修飾子の組み合わせ
疲労解析ウィザードで修飾子を適用する場合、特に修飾子を組み合わせて適用する場合は、修飾子がどのように解析に影響するかを把握しておく必要があります。
耐久限度変更子の詳細については、「理論概要」を参照してください。