節点質量

注: このセクションの情報は、節点質量荷重をサポートするすべての線形解析タイプおよび非線形解析タイプに適用されます。

節点質量(集中質量)は、すべての線形構造解析および非線形構造解析の節点に適用できる荷重です。これは、実際のモデル ジオメトリに含まれていない接続パーツまたは接続サブアセンブリの質量を表す目的で使用されます。

節点質量は、節点の並進または回転への抵抗に使用できます。回転に抵抗するには、ビーム、プレート、シェルなど、回転自由度(DOF)をサポートする要素に節点質量をアタッチする必要があります。要素に垂直な軸を中心にした回転 DOF がないプレートなど、5 DOF の要素の場合、節点質量ではその他の 2 つの軸を中心にした回転抵抗のみが有効となります。

節点質量の適用

節点を選択している場合は、表示領域を右クリックして、[追加]プルアウト メニューを選択します。[節点質量]コマンドを選択します。この荷重には、リボン コマンドからアクセスすることもできます([セットアップ] [荷重] [重量])。

[質量インプット]セクションで目的のラジオ ボタンを選択して、節点質量の入力値を力単位または質量単位(質量 = 重量/重力)で定義するかを決定します。非線形解析の場合、質量単位しか指定できません([力単位]は淡色表示になります)。

節点質量がすべての並進方向に均一な効果がある場合は、[均一]チェック ボックスをオンにして、[質量/重量]領域の[X 方向]フィールドで質量の大きさを指定します。通常、質量はほとんどの用途においてすべての方向に均一に作用すると想定されます。3 つの並進方向で節点質量の大きさが異なると想定される場合は、[均一]チェック ボックスをオフにして、[質量/重量]領域の[X 方向][Y 方向]、および[Z 方向]フィールドで適切な値を指定します。たとえば、自動車などの質量が船のデッキ上の車輪にかかっている場合、移動方向に沿ったデッキの運動は、車輪が容易に回転するため、移動方向での自動車の質量を効果的に加速しないと想定することができます。この場合、移動方向の大きさを 0 と入力するか、減少して入力します。

節点質量が回転方向に対して効果がある場合は、[質量慣性モーメント]領域の[X 方向][Y 方向]、および[Z 方向]フィールドで適切な値を指定します。通常、球状オブジェクトや正立方体を除き、3 つの軸を中心とした質量慣性モーメントは大きく異なります。

各種線形解析タイプで全体座標系とローカル座標系に対して、負の値が指定された場合の、重量/質量および集中質量慣性モーメントの動作を次の表にまとめます。

解析タイプ 質量の重量 質量慣性モーメント
線形材料による静解析 全体座標系
  • 重力では、質量は Fi=m i x g i によって力に変換されます。i は、X、Y および Z 方向で、g は、重力定数と乗数の掛けた値です。
  • 遠心力荷重では、質量は F i =mi x ai によって力に変換されます。i は、X、Y および Z 方向で、a は、加速度(r x w 2 )です。
遠心力加速度では、慣性は T i =I i x α i によってトルクに変換されます。i は、X、Y および Z 方向で、α は、角加速度です。
ローカル座標系 質量は、ローカル座標系ではなく、全体座標系に存在するかのように動作します。 遠心力加速度では、慣性は T i =I i x α i によってトルクに変換されます。i は、目的の方向で、α は、角加速度です。
負の質量または重量の入力 質量/重量および質量慣性モーメントの負の入力値は、計算中に正の値に変換されます。したがって、結果は正の値も負の値は同一となります。変換された各値に対して、解析ログに警告メッセージが表示されます。
線形固有値解析(モーダル) 全体座標系 質量は、全体座標系に準拠し、対応する方向の振動に影響を及ぼします。 慣性は、全体座標系に準拠し、対応する方向の振動に影響を及ぼします。
ローカル座標系 質量は、ローカル座標系に準拠し、対応する方向の振動に影響を及ぼします。 慣性は、ローカル座標系に準拠し、対応する方向の振動に影響を及ぼします。
負の質量または重量の入力 質量/重量および質量慣性モーメントの負の入力値は、計算中に正の値に変換されます。したがって、結果は正の値も負の値は同一となります。変換された各値に対して、解析ログに警告メッセージが表示されます。
線形固有値解析(初期応力考慮) 全体座標系
  • 集中質量による荷重硬化の効果は考慮されません。
  • 質量は、全体座標系に準拠し、対応する方向の振動に影響を及ぼします。
慣性は、全体座標系に準拠し、対応する方向の振動に影響を及ぼします。
ローカル座標系 ローカル座標系はサポートされません。 ローカル座標系はサポートされません。
負の質量または重量の入力

質量/重量および質量慣性モーメントの負の入力値は、質量/力単位の選択に関係なく、同じ大きさの正の力値と解釈されます。解析サマリーまたはログ ファイルには、警告メッセージは生成されません。つまり、-500 の質量値を指定した場合、結果は 500 の正の力値と同じになります。結果として得られる節点荷重は、g だけ異なります。

推奨: 混乱や潜在的なモデルの設定エラーを防止するため、負の値は入力しないでください。

線形座屈解析 この解析タイプでは節点質量(質量/重量および質量慣性モーメント)はサポートされていません。
過渡応答解析(直接積分) 全体座標系 慣性効果は、全体座標系に準拠します。 慣性は、全体座標系に準拠し、対応する方向の運動に影響を及ぼします。
ローカル座標系 慣性効果は、ローカル座標系に準拠します。 慣性は、ローカル座標系に準拠し、対応する方向の運動に影響を及ぼします。
負の質量または重量の入力 質量/重量および質量慣性モーメントの負の入力値は、計算中に正の値に変換されます。したがって、結果は正の値も負の値は同一となります。変換された各値に対して、解析ログに警告メッセージが表示されます。
非線形解析 全体座標系 慣性効果は、全体座標系に準拠します。 慣性は、全体座標系に準拠し、対応する方向の運動に影響を及ぼします。
ローカル座標系 慣性効果は、ローカル座標系に準拠します。 慣性は、ローカル座標系に準拠し、対応する方向の運動に影響を及ぼします。
負の質量または重量の入力 1 負の質量または重量値は、正の入力値を基準にして、反対方向に反力を生成します。たとえば、モデルに重力が適用されると、重力ベクトル方向の力が正の節点質量に作用します。負の値の場合は、力は重力ベクトルの反対方向に作用します。 負の質量慣性モーメント値は、正の入力値を基準にして、反対方向に作用する反力モーメントを生成します。たとえば、正の慣性モーメントは、質量の回転運動に抵抗するトルクを生成します。負の値の場合、トルクは回転運動を補助して同じ方向に作用します。

1 注: 負の質量、重量、または質量慣性モーメントは理論的重要性を持ち、これらの影響は非線形解析では定量化できますが、実際にはこのような挙動の例は存在しません。したがって、実世界の現象をモデル化する場合には、正の節点質量のみを使用する必要があります。

注: 複数のパーツが合流する重複した頂点への節点荷重の適用方法に関する情報については、「荷重および拘束」ページの「重複した頂点への荷重と拘束の適用」のコメントを参照してください。

線形動的リスタート解析に関するコメント:

周波数応答解析、ランダム応答解析、応答スペクトル解析、過渡応答解析(モード法)、および DDAM 解析は、すべて前提条件となるモード解析に基づいています。尺度が未指定の構造の応答(振動モード シェイプ結果)は、指定された加振(基礎励振)やその他の適用可能な荷重に応じて、尺度が調整されます。節点質量はこれらの解析タイプには適用できませんが、その効果は最初のモード解析に含めることができます。したがって、基準となる固有値解析結果が、節点質量によって影響を受けるため、節点質量はリスタート解析結果に影響を与えます。

重力による応力硬化の効果は、固有値解析(初期応力考慮)の節点質量に対して計算されないことに注意してください。したがって、この効果を考慮するには、各節点質量に加えて、重力方向に節点力を適用する必要があります。応力硬化の効果をリスタート解析結果に反映する場合は、最初に固有値解析(初期応力考慮)を必ず実行してください。