固有値解析

すべてのものが振動します。 たとえば、楽器、タイヤのバランスが崩れている車への乗車、飛行機でパイロットがエンジンの回転数を急激に上げたときの騒音、列車が走行しているときの床の振動などです。

通常、振動は悪い現象であり、多くの場合、避けることができません。振動は、構造物を徐々に弱体化させたり、自動車や飛行機の金属を劣化(疲労)させる原因となる可能性があります。

振動は、振動数と関連があります。まさにその本質から、振動には反復運動がともないます。完全な運動シーケンスのそれぞれをサイクルといいます。 振動数は、所定の時間内のサイクル数として定義されます。毎秒 1 サイクルは、1 ヘルツと等価です。

個々のパーツには、固有振動数があります。 たとえば、バイオリンの弦は、特定の張力において所定の振動数の組み合わせで振動します。これが、固有の音色が生み出されるしくみです。基本振動数は、弦全体が単純な弓の形で前後に振動する状態です。 弦の個々のセクションは、より大きな振動の中で独立して振動できるため、高調波と倍音が発生します。 これらのさまざまな形状は、モードと呼ばれます。たとえば、基本振動数は、第 1 モードでの振動と呼ばれます。以降も同様です。それぞれのモードの形状には振動数が関連付けられます。モードが高くなるほど、振動数も高くなります。

最も破壊的な状態は、動力駆動の装置、たとえばモータにおいて、取り付けられた構造物が自然に振動する場合に発生します。この事象を共振といいます。 振動が原因となって物体に共振が発生する場合、その応力に耐えるように設計されていない限り、破壊に帰着します。たとえば、ワイン グラスは、オペラ歌手によって生じた振動による共振に十分に耐えるようにはなっていません。

エンジニアは、機械の通常の運転中に共振が起こらないように設計する必要があります。これが、固有値解析の主要な目的です。理想的には、第 1 モードの振動数は、他の起こり得る運転振動数より高くなります。

固有値解析の 1 つの結果として、一連のリスタート ファイルがあります。 これらのファイルは、モード法を使用する線形動的解析タイプで使用されます。モーダル重ね合わせ法としては、衝撃解析(DDAM)、周波数応答解析、ランダム応答解析、応答スペクトル解析、過渡応答解析(モード法)があります。固有値解析を最初に実行してください。動的な荷重が固有振動数に大きく影響する場合は、固有値解析(初期応力考慮)を使用してください。

注:
  • 固有値解析には変位が含まれますが、これらの変位は、モード形状の可視化にのみ使用してください。変位の大きさは、互いに相対的なものです。固有値解析は不特定の動的荷重による理論的な結果であるため、結果に絶対変位が含まれることはありません。

    モーダル解析を実行した後、振動解析を実行してください。荷重がモデルに適用され、変位の結果に物理的な値が与えられます。

  • モーダル解析では、計算する振動数(モード)の数よりも多くの自由度が必要になります。メッシュが粗い場合、簡略化されたテスト モデルでは解析されないことがあります。