トラス要素

トラス要素は節点を 2 つ持つ部材であり、XYZ 座標系の中で任意の方向に配置することができます。トラス要素は軸方向の力のみを伝達する要素で、通常は 3 つの自由度(DOF)を持ちます。トラスは、タワー、橋、建築物など、モデル内の構造物に使用されます。

3 次元(3D)のトラス要素は断面積が一定とみなされ、線形弾性解析などに使用することができます。線形弾性材料の挙動は、そのヤング率によってのみ決まります。線形トラスは、並進変位境界要素をシミュレートするのにも使用できます。

境界条件を適用する際に回転 DOF を解放した場合であっても、トラスはその定義により、回転 DOF を持つことはできません。ただし必要であれば、並進 DOF を適用することはできます。

図 1: トラス要素の定式化

トラス要素を使用する状況

  • 要素の長さが、幅または奥行きに比べて極端に長い場合(約 8 ~ 10 倍)。
  • モデルの中で要素とそれ以外の部分が、モーメントを伝達しないヒンジにより接続されている場合。
  • 外部の力がジョイントにのみ適用される場合。

トラス要素のパラメータ

[要素定義]ダイアログ ボックスの[断面積]フィールドで、各トラス要素の部分に断面積を指定します。この値は必ず 0 より大きく、解析には必須です。このパーツについて熱応力解析を実行する場合は、このパーツに含まれる要素で熱により応力が誘導されない温度を、[応力なしの参照温度]フィールドで指定します。熱膨張の拘束に伴う要素ベースの荷重は、節点のポイント データ行で指定した温度の平均値に基づいて計算されます。参照温度は、温度変更の計算で使用されます。熱荷重は、その他のタイプのメンバー荷重を取得するために使用される場合があります。こうした場合には、等価な温度変化(dT)が使用されます。

トラス要素を使用するには

  1. 単位系が定義されていることを確認します。
  2. モデルで使用される解析タイプが構造になっていることを確認します。
  3. トラス要素にするパーツの[要素タイプ]を右クリックします。
  4. [トラス]コマンドを選択します。
  5. トラス要素にするパーツの[要素定義]を右クリックします。
  6. [要素定義を編集]コマンドを選択します。
  7. [要素定義]ダイアログの[断面積]フィールドに値を入力します。
  8. 熱応力解析を実行する場合は、[応力なしの参照温度]フィールドに値を入力します。この値は、モデル内に応力が発生しない温度です。この温度と節点の温度との差によって応力が生じます。
  9. [OK]ボタンをクリックします。

トラス要素を使用して初期の不適合度をモデル化する

次の式を使用すると、2 点間におけるトラス部材の初期の不適合度に関する等価な温度変化を計算できます。正の値は、要素の初期の長さが短すぎることを表します。

ここで

ここで

T avg = トラス要素の 2 つの節点における節点温度の平均値。

T sf = パーツの応力なしの参照温度。

D = トラス要素の伸長分または収縮分。

α = パーツの線膨張係数。

L = 荷重がない場合のトラス要素の長さ

トラス要素を使用して初期のプレストレスをモデル化する

次の式を使用すると、トラス部材を変形して 2 点間に適合させる際に使用する初期のプレストレスに関する等価な温度変化を計算できます。

ここで

ここで

T avg = トラス要素の 2 つの節点における節点温度の平均値。

T sf = パーツの応力なしの参照温度。

P = トラス要素の軸方向の力。

E = トラス要素のヤング率。

A = トラス要素の断面積。

α = パーツの線膨張係数。

力 P はトラス要素の初期の力で、それ以外の構造物には力は加えられません。構造物の中でトラス要素以外の部分の剛性が無限大であれば、熱せられたトラス要素における軸方向の力 P がそのまま解析の結果になります。ただし、構造物の剛性は無限大ではないため、予荷重については、構造物が変形し熱予荷重の一部が軽減されたという結果が得られます。予荷重によって構造物が変形した後のトラスにおける最終的な荷重が P である場合の手順については、「解析の設定と実行」>「線形」>「荷重および拘束」>「ビーム プリロード」を参照してください。