膜/熱伝達ライブラリ

[サーフェスの膜/熱伝達係数のライブラリ]では、頻繁に使用する熱伝達係数の値を保存できます。値は[膜/熱伝達係数の計算器]ダイアログから入力します。

注: Autodesk Simulation 既定のライブラリは編集できません。新しく値を追加できるのはユーザ作成のライブラリのみです。

熱伝達ライブラリへのアクセス方法

熱伝達ライブラリには、モデルに熱伝達荷重を適用した際にアクセスできます。サーフェスを選択して右クリックし、[追加] [サーフェス熱伝達]を選択します。熱伝達ライブラリに一般的なメンテナンス(新しいライブラリや係数の追加、既存エントリの編集など)を行う際は、[サーフェス熱伝達オブジェクト]ダイアログの[ライブラリから読み込み]ボタンをクリックします。

ライブラリから熱伝達値をモデルに適用する際は、右側にある[係数]リストの名前を選択し、[OK]をクリックするだけです。値が[サーフェス熱伝達オブジェクト]ダイアログにコピーされます。

熱伝達ライブラリは、常にモデルに設定されている単位を使用して値を表示します。ライブラリに保存された値は、入力時の単位から現在のモデルに表示される単位に変換されます。

ライブラリの作成方法

上記の方法で熱伝達ライブラリにアクセスします。その後は次のとおりです。

  • ライブラリ ファイルが存在しない場合は[作成]ボタンをクリックし、新しいライブラリのわかりやすい名前を指定します。それからライブラリ ファイルの名前と場所を、Windows の[名前を付けて保存]で指定します。
  • 既存のライブラリ ファイルがあるものの、ソフトウェアとリンクしていない場合は、[インポート]ボタンをクリックします。たとえば共働者がネットワーク ドライブに熱伝達ライブラリを既に作成していた場合、または共働者からファイルが提供された場合です。[インポート]ボタンをクリックすると Windows の[開く]ダイアログが開くので、そこからファイルを選択します。

熱伝達値の追加方法

ライブラリのダイアログ、または熱伝達計算機ダイアログから新しい熱伝達値をライブラリに追加できます。熱伝達ライブラリを使用する利点は、既存のエントリがすべて表示されることです。

熱伝達ライブラリで値を追加する方法は次のとおりです。

  1. 上記の方法で熱伝達ライブラリにアクセスします。
  2. 新しい値が追加するライブラリ(ダイアログの左側)を選択します。必要なら最初に新しいライブラリを作成します。
  3. [追加]ボタンをクリックし、[新規係数]ダイアログに新しい値の名前を入力します。
  4. 名前を入力したら、[膜/熱伝達係数の計算器]ダイアログに新しい値を入力します。計算機の[OK]ボタンをクリックすると、ユーザ定義の値とすべての補助的な入力内容が熱伝達ライブラリに保存されます。
  5. ライブラリにさらに値を追加する場合は、ステップ 2~4 を繰り返します。

熱伝達計算機で値を追加する方法は次のとおりです。

  1. [サーフェス熱伝達オブジェクト]ダイアログの[計算する]をクリックし、熱伝達計算機にアクセスします。
  2. 組み合わせや流体特性の関連する値を入力し、[ライブラリに保存]ボタンをクリックします。[膜/熱伝達係数を保存]ダイアログが既存のユーザ定義のリストとともに表示されます。
  3. 既存のライブラリを選択します。新しいライブラリを作成するには、[新規]エントリをクリックし、ライブラリの説明を入力します。
  4. 新しい熱伝達値の[名前]を入力します。
  5. [OK]ボタンをクリックすると、これにより、ユーザ定義の熱伝達値とすべての補助的な入力内容が選択したライブラリに保存され、熱伝達計算機に戻ります。入力された名前が既にライブラリ内に保存されている場合は、既存の値を上書きすることもできます。値を新しいライブラリに保存しようとすると、Windows の[名前を付けて保存]ダイアログが表示されるので、ライブラリ ファイルの場所と名前を指定できます。
  6. ライブラリにさらに値を追加する場合は、ステップ 2~5 を繰り返します。
ヒント: 熱伝達計算機は流体特性と組み合わせに基づいて熱伝達係数の計算に使用するのが一般的ですが、使用頻度の高い熱伝達係数をユーザ作成のライブラリに保存する際にも使用できます。たとえば、一部のデバイス内部の熱伝達に 12.5 J/(s*m 2 *°C)という標準値があるとします。この値は、モデル(単位は J、s、m、°C)を作成し、新しい熱伝達値を上記の方法で追加することでライブラリに追加できます。流体特性を計算機に入力する代わりに、[膜/熱伝達係数のユーザ指定値]に値を入力することもできます。

熱伝達値の編集方法

係数の名前は変更できます。上記の方法で熱伝達ライブラリにアクセスします。変更対象の名前を選択して少し待ち、名前を再度クリックします。名前のフィールドにカーソルが表示されます。名前を変更して[エンター]をクリックし、編集を終了します。

熱伝達値の変更は名前とは別に行います。上記の方法で熱伝達ライブラリにアクセスします。変更対象の名前を選択し、[編集]ボタンをクリックします。[膜/熱伝達係数の計算器]ダイアログが熱伝達値に関連するすべてのエントリとともに表示されます。変更を加えて[OK]をクリックし、熱伝達値を更新します。

既存の値を新しいエントリにコピーする方法

既存のライブラリの名前を新しいエントリにコピーする直接的な方法はありませんが、ライブラリの既存の値を新しいエントリの元として使用することは簡単です。上記の熱伝達計算機の方法によって、新しい熱伝達値を追加できます。[膜/熱伝達係数の計算器]ダイアログを表示し、[ライブラリから読み込み]ボタンをクリックすると、既存のエントリから入力内容をロードできます。それから目的の変更内容を加えて操作を終えたら、コピーに加えられた変更が新しい名前に保存されます。

ヒント:
  • 熱伝達計算機のオプションの数を考慮すると、すべての組み合わせに熱伝達値を指定するのは実用的ではありません。しかし、これは必ずしも必要ではありません。熱伝達ライブラリには、流体特性を保存できるという大きなメリットもあります。したがって、既存のライブラリの値を読み込み、特定の組み合わせについて変更することで、他の組み合わせもすばやく計算できます。頻繁に使用する組み合わせはより迅速にアクセスできるように、新しいライブラリに保存できます。
  • たとえば、Autodesk Simulation 既定のライブラリには、さまざまな温度の流体のエントリが含まれます。目的の温度に最も近い流体温度のエントリを選択し、実際の組み合わせに関する変更を加えます(流速、寸法など)。Autodesk Simulation 既定のライブラリの名前が次のように構成されます。
  • 流体温度タイプ特性
  • ただし、
    • 「流体」は流体のタイプです。
    • 「温度」は流体特性に対応する温度です。
    • 「タイプ」は熱伝達のタイプです(強制対流外部、強制対流内部、自然対流)。自然対流に関しては、壁と流体の温度の違いが[dT]として名前に指定されますが、壁が周囲より高温か低温かは指定されません。
    • 「特性」は流速や構造の方向など、タイプに関連するより重要なパラメータを示します。計算に影響する他のパラメータは名前にエンコードされないため、特定の解析の既定値を使用する前に確認する必要があります。