膜/熱伝達係数計算機では、経験式に基づいて熱伝達係数 h が計算されます。経験式に基づいて計算が行われるのは、工業関連の問題は非常に複雑なものが多いため、その境界レイヤの定義に基づいて h の値を計算することが難しいからです。またこれらの経験式を使用すると、熱伝達熱伝達をただちに推定できます。
h の計算には、グラスホフ数(Gr)、ヌッセルト数(Nu)、プラントル数(Pr)、レイノルズ数(Re)、レイリー数(Ra)などの無次元数が使用されます。これらの数の計算値は、[熱伝達のタイプ]ドロップダウン ボックスで選択したオプションにより異なります。流れが外面を通るよう強制する場合は、[強制対流外部]オプションを使用します。流れがパーツの中を通るよう強制する場合は、[強制対流内部]オプションを使用します。流れが温度差によって(浮力効果による自然熱伝達として)生じる場合は、[浮力]オプションを選択します。
熱伝達のタイプを選択したら、さらに[外部流れ]、[内部流れ]、[自然対流]のいずれかのドロップダウン ボックスで、流れのタイプを指定する必要があります。これらのオプションの機能は、その名前からほぼ明らかです。[Q]は、サーフェスが一定の熱流束により加熱されるモデルであることを表します。[T]は、サーフェスが一定温度に保たれるモデルであることを表します。使用される式については、「熱伝達係数計算の理論的な解説」を参照してください。
選択した流れのタイプによっては、いくつかの特性を指定する必要があります。内部流れまたは外部流れを選択した場合は、[一般]タブで[流れの速度]を指定する必要があります。これは、実際のサーフェス上の速度(通常は 0 とみなされる)ではなく、サーフェス近くの特性流速です。内部流れの場合は、流量を断面積で割ることにより特性流速を近似することができます。浮力流れを選択した場合は、[環境温度]、[壁の温度]、および[浮力のための重力値]を指定する必要があります。壁の温度は通常不明であるため、場合によっては経験や知識に基づいて推測する必要があります。その際、熱伝達係数を計算し、解析を実行した上で、その壁の温度により熱伝達係数が変化しないかどうかを確認することも必要となります。ただし、温度に依存する熱伝達係数を使用すれば、さまざまな壁の温度を基にして係数の範囲を計算することもできます。この場合、適切な熱伝達係数が得られるまで、解析が繰り返し実行されます。
また、[流体特性]タブで流体の材料特性を指定する必要があります。これらの特性の詳細については、「材料特性」セクションを参照してください。
また、関係する寸法を[ジオメトリ]タブで指定する必要があります。
必要な情報がすべて入力されたら、[膜/熱伝達係数を計算]ボタンをクリックして、熱伝達係数を確認します。ダイアログ ウィンドウが開き、熱伝達係数、ヌッセルト数、レイノルズ数、プラントル数、および特性長が表示されます。このダイアログを閉じると、[膜/熱伝達係数の計算値]および[膜/熱伝達係数のユーザ指定値]に計算値が表示されます。ユーザ指定値は、有効数字に丸めるなど、必要に応じて変更することができます。[OK]ボタンをクリックすると、[サーフェス熱伝達オブジェクト]ダイアログの[熱伝達係数]フィールドにユーザ指定値が入力されます。
計算器に入力した値はすべて、[サーフェスの膜/熱伝達係数のライブラリ]に保存できます。詳細については、この後の「膜/熱伝達ライブラリ」を参照してください。