タンクの熱応力

このページでは、「例」: 「定常熱伝導」: 「タンクの温度」で実行されている継続的熱解析について説明します。このページを読む前に、そちらのページの内容を把握しておいてください。

温度分布を取得すると、温度によって生じる膨張を計算できます。一般的な手順は次のとおりです。

線形静的解析の手順:

  1. FEA エディタに戻ります。
  2. ツリー表示上部にある[解析タイプ]の見出しを右クリックし、[解析タイプ設定] [線形] [線形材料による静解析]を選択すると、新しい設計シナリオと解析タイプを一度に作成できます。オプションが表示されたら[はい]をクリックし、新しい設計シナリオを作成します。
  3. 新しい設計シナリオの名前(2<Heat Transfer Analysis>)を選択し、[F2]をクリックして名前を編集します。「Static Stress」に変更します。
  4. 次に、要素定義を入力します。3 つのパーツはすべて同じデータを有するので、同時に入力することができます。
    1. ツリー表示のパーツ 1 の[要素定義]を選択します。
    2. [Ctrl]キーを押したままパーツ 2 とパーツ 3 の[要素定義]を選択します。
    3. いずれかのエントリを右クリックし、[要素定義を編集]を選択します。
    4. [厚さ]に「0.25」inch と入力します。
    5. [標準点(Y)]に「33」と入力します。これにより、静水圧がタンク内部に適用されます。タンク内部の座標がすべて有効となります。技術的な観点からは標準点の設定が必要なのはパーツ 2 のみですが、このモデルでは他のパーツに設定しても問題はありません。
    6. [無応力時の参照温度]に「70」°F と入力します。
    7. [OK]をクリックします。
  5. ツリー表示の[材料]エントリを選択して右クリックし、[材料を編集]を選択します、[線膨張係数]に値があるのを確認し、[キャンセル]をクリックして画面を閉じます。
  6. 境界条件は、対称境界条件、支点プレートのボルト穴周辺の固定境界条件、支点プレートの垂直境界条件の 3 つで追加されます。
    1. モデルを平面図で表示します([表示] [ナビゲーション] [方向] [平面図])。
    2. 点選択([選択] [形状] [点または長方形])を使用して、モデルの左側のエッジに沿ったサーフェスを選択します([選択] [選択] [サーフェス])。タンク(パーツ 2、表面 6)と支持板(パーツ 1、表面 6)のエッジを両方選択する必要があります(最初のエッジを選択してから[Ctrl]キーを押したまま選択する)。
    3. 右クリック後に[サブエンティティを選択] [頂点]を選択し、節点のみを選択します。プレートに荷重を適用すると、要素全体に荷重が適用されます。
    4. 右クリックして[追加] [節点境界条件]を選択します。X 軸が面に垂直なので、[X 対称]をクリックします。[OK]をクリックし、境界条件を適用します。
    5. タンク(パーツ 2、表面 4)と支持板(パーツ 1、表面 4)を選択し、モデルの上部のエッジに対して作業を繰り返します。Y 軸が面に垂直なため、[Y 対称]を境界条件に適用します。
    6. サーフェス選択([選択] [選択] [サーフェス])を使用して、ボルト穴のエッジ(パーツ 1、表面 3)を選択します。両方の支点プレートのボルト穴が同じパーツ/サーフェスにあるため、片方だけを選択すれば両方を選択できます。ボルト穴のエッジをクリックするには、支持板を拡大しなければならない場合もあります。
    7. 右クリック後に[サブエンティティを選択] [頂点]を選択し、節点のみを選択します。
    8. 右クリックして[追加] [節点境界条件]を選択します。[ピン拘束]をクリックします。[OK]をクリックし、境界条件を適用します。
    9. サーフェス選択([選択] [選択] [サーフェス])を使用し、支持板(パーツ 1、表面 7)を選択します。
    10. 右クリック後、[追加] [サーフェス境界条件]を選択します。ピアの上部との接触をシミュレーションするには、[Tz]ボックスをクリックします。[OK]をクリックし、境界条件を適用します。
  7. 次の手順で静水荷重をタンクに適用します。
    1. アイソメ ビューに変更([表示] [ナビゲーション] [方向] [アイソメ ビュー])します。
    2. サーフェス選択([選択] [選択] [サーフェス])を使用し、水面下のタンク(パーツ 2、表面 10)を選択します。
    3. 右クリック後、[追加] [サーフェス静水圧]を選択します。
    4. [ポイント セレクター]をクリックし、表面 10(水面)の上部にある節点の[流体サーフェス圧力の点]を指定します。重要な座標は[Z]座標です。16.63 inch となります。
    5. [流体表面の法線]は重力の方向を示しています。[Z]方向の値を「-1」と入力します。
    6. 水の[流体密度]を「0.0361 lbf/in3」と入力します。
    7. [OK]をクリックして圧力を適用します。
  8. 熱伝達モデルの温度が[解析パラメータ]の応力モデルに適用されます。圧力荷重ケースと重力もここで指定されます。
    1. [設定] [モデル設定] [パラメータ]コマンドを使用します。
    2. この解析では、静水圧力のみ、温度のみ、その両方の荷重の影響を確認するために、3 つの荷重ケースを使用します。これにより、冷却化された条件、空になった直後のタンク、通常の使用条件をシミュレーションします。通常は、これら 3 つのすべてで重力が生じます。したがって、[乗数]タブの[荷重ケース乗数]を次の表のとおりに入力します。
      インデックス 圧力 加速度/重力 回転 角加速度 境界 熱解析 Voltage
      1 1 1 0 0 0 0 0
      2 0 1 0 0 0 1 0
      3 1 1 0 0 0 1 0
    3. [重力/加速度]タブをクリックして重力を設定します。[標準的な重力に設定]をクリックし、[慣性力による加速]を設定します。方向は既定の Z の乗数「-1」にする必要があります。
    4. [熱/電気]タブをクリックし、温度を設定します。[節点温度のソース][定常解析]に設定します。[閲覧]をクリックし、モデルが含まれているフォルダ、タンク モデルの「ds_data」フォルダの順に移動し、設計シナリオ 1 が保存されている「1」フォルダに移動します。「ds.to」ファイルを選択して[開く].をクリックします。
    5. [OK]をクリックして、[解析パラメーター]ダイアログ ボックスを閉じます。熱の影響をモデルに適用するために乗数を割り当てるよう促すプロンプトが表示された場合は、[いいえ]をクリックします。このプロンプトが表示されるのは荷重ケース 1 の熱の乗数が 0 であるためですが、上述にあるとおり、この設定は意図的なものです。
  9. 解析を実行します([解析] [解析] [シミュレーションを実行])。この解析は非常に高速なため、解析実行前に入力内容をチェックする[モデルをチェック]は行われません。
  10. 解析が終了したら、精度を上げるため入力内容を確認します。このモデルでは、チェックする主な入力内容は次のとおりです。
    1. 適切な方向の圧力: 必要に応じて、ツールバーから荷重と拘束を有効化します。 圧力の矢印は、タンク下部に向かって長さを伸ばす必要があります。すべての矢印は外側に向ける必要があります。
    2. ロードされた温度: [結果コンター] [その他の結果] [適用荷重] [温度]を使用し、応力解析の温度を表示します。パターンは定常熱伝導解析の結果と一致している必要があります。
    3. 境界条件: 境界条件は、個別または全体でチェックできます。結果が導かれているので、すばやく適切な動作確認を行う際には必ずしも各条件を個別にチェックする必要はありません。
      1. ツールバーで荷重と拘束を無効化します。
      2. [結果コンター] [変位] [変位モデルを表示] [変位オプション]を選択します。
      3. [変位モデルを表示]オプションを有効化します。
      4. [メッシュ]オプションを有効化し、変位なしモデルを表示します。
      5. スライダを操作し、変位形状を強調します。境界条件が正しい場合は、(a)支点パッドのタンク後端のみがたわむか、(b)YZ 平面の節点が対称性によってその平面に留まるか、または(c)XZ 平面の節点が対称性によってその平面に留まります。
  11. 境界条件の確認を終えたら、[スケール係数]を 5 に設定してダイアログ ボックスを閉じます。

3 つの荷重ケースすべて([結果コンター] [荷重ケース オプション] [次へ])について、フォンミーゼス結果([結果コンター] [応力] [フォンミーゼス])と、変位結果([結果コンター] [変位] [変位] [大きさ])を確認します。結果の最大値は次の表のとおりです。

荷重ケース 条件 最大 フォンミーゼス応力 最大変位
1 圧力および重力 5600 psi 0.0249 inch
2 温度および重力 21400 psi 0.0330 inch
3 圧力、温度、重力 19600 psi 0.0334 inch

その他:

非定常熱伝導解析および線形静的応力:

定常熱伝導解析ではなく非定常熱伝導解析が実行されていた場合、線形静的応力を実行する手順は、[節点温度のソース]を選択する点を除き、上述の手順と同じになります。通常、これは[非定常解析]に設定されます。また、線形応力では、応力解析のすべての荷重ケースに対する非定常熱伝導解析からの温度プロファイルが 1 つだけ使用されるため、[時間ステップ]ドロップダウン メニューから使用する時間ステップを表示します。

定常熱伝導解析およびメカニカル イベント シミュレーション(MES):

線形静的応力ではなく、非線形/MES 解析によって熱応力解析を実行する手順にもほとんど違いはありません。違いは次の点です。

  1. [要素定義]で、熱弾性などの温度の影響を含む[材料モデル]を選択します。これを行わないと、パーツは熱膨張を受けません(材料特性を表示すると、膨張率がないことからわかります)。
  2. 温度のソースを指定する際に[解析パラメータ]の[熱/電気]タブを使用する点は線形解析と同じです、線形/MES で異なる点は、割り当てられた荷重曲線によって、解析中に定常熱伝導解析からの温度を調整できることです。定常熱伝導解析からのすべての温度 T は、荷重曲線乗数 LCM に入力された値で乗算されます。2 つ目の違いは、膨張がこれらの温度(TxLCM)の違いと、入力された無応力時の参照温度に基づく点です。したがって通常は、荷重曲線を使用し、無応力条件から使用条件までの温度に傾斜を付けることは実用的ではありません。値が常に 1 に設定されている荷重曲線に温度を割り当てると、解析開始時に熱荷重全体に適用され、収束が困難になる場合があります。すべての温度が無応力時の参照温度に近くなり始める解析の開始に対し、荷重曲線乗数を使用できる場合もあります。これにより、全荷重を適用した場合に生じる収束に伴う問題が減少します。

応力結果が荷重パスから独立している場合は、定常熱伝導解析よりも非定常熱伝導解析の方が有効な場合があります。

非定常熱伝導解析およびメカニカル イベント シミュレーション(MES):

非線形/MES 応力解析で非定常熱伝導解析の結果を使用する場合の手順は、上述の定常熱伝導解析の場合と同様です。唯一の違いは、荷重曲線に関する点です。上述したとおり、定常熱伝導解析の温度は荷重曲線乗数で乗算され、それによって時間経過に伴う温度変化が定義されます。非定常熱伝導解析には既に時間経過に伴う結果があるので、非定常熱伝導解析の温度は荷重曲線に適用されません。その代わり、非線形/MES では、それぞれの非定常熱伝導解析結果の時間と、応力解析の時間ステップが一致します。応力解析の時間ステップが熱伝達解析の時間と一致しない場合は、温度結果が補間されます。