[保存](Preserve)モディファイヤ

[保存](Preserve)モディファイヤを使用すると、変形される前のオブジェクトの未修正コピーを使用して、エッジの長さ、面の角度、編集メッシュと変形メッシュのサイズなどを可能な限り保持できます。サブオブジェクト レベルで頂点を引っぱったり、押したりすると、基本的にエッジが伸長したり、面の角度が変わるなど不規則なトポロジになります。[保存](Preserve)モディファイヤを使用すると、より規則的なエッジの長さを生成し、「きれいな」メッシュを作成することができます。

手順

[保存](Preserve)モディファイヤを使用するには:

  1. オブジェクトを作成します。編集する前に、コピーを作成してください。
  2. コピーをサブオブジェクト レベルで編集して、頂点および面を引っぱったり、押したりします。
  3. オブジェクトのコピーに[保存](Preserve)モディファイヤを適用し、[オリジナルを選択](Pick Original)ボタンをクリックし、続いて元の未修正オブジェクトを選択します。
  4. [保存](Preserve)モディファイヤ内のコントロールを調整して、メッシュの微調整を行います。

例: [保存](Preserve)モディファイヤを天球体上で使用するには:

  1. 天球体を作成し、 Shift を押しながら移動してコピーを作成します。
    ヒント: マッピングでの[保存](Preserve)の効果を見るには、球をコピーする前に、チェッカー マップのマテリアルを球に適用し、それをビューポートで表示します。
  2. コピーを編集可能メッシュに変換します。
  3. [頂点](Vertex)サブオブジェクト レベルで、球の上端にある頂点の 3 分の 1 を選択し、それらの頂点をおよそ 1 半径分(前面から見て)上に移動します。

    移動した頂点と残りの頂点との間のエッジが伸長したことがわかります。

  4. そのまま[頂点](Vertex)サブオブジェクト レベルで[保存](Preserve)モディファイヤを適用します。
  5. [オリジナルを選択](Pick Original)ボタンをクリックし、続いて元の(未編集の)球を選択します。

    選択した頂点は、オリジナルのボリュームとエッジの長さを保存しようとして球の方向に戻ります。

  6. [選択を反転](Invert Selection)にチェックマークを付けます。

    選択した頂点は移動した位置に戻り、未選択の頂点(反転された選択)は、選択した頂点に向かって移動します。

  7. [選択を反転](Invert Selection)をクリアし、ゆっくりと反復回数を 0 (ゼロ)に減らします。

    この時点でオブジェクトは、[保存](Preserve)が適用される前の状態と同じに見えます。

  8. 反復数を既定値の 25 にし、続いておよそ 75 にします。

    この時点でオブジェクトは再度完全に近い球になります。

  9. 反復を 25 に戻し、別のエッジの長さ、面の角度、およびボリューム設定を試してみます(エッジの長さを 1.0 に、面の角度およびボリュームを 0.3 に設定すると、既定値に戻すことができる)。

天球体に[保存](Preserve)モディファイヤを適用する手順

例: オブジェクトの保存をアニメートする:

    [保存](Preserve)パラメータはアニメートできますが、次の手順では[モーフ](Morph)と[保存](Preserve)を一緒に使用する方法を示します。

  1. コピーされた球から[保存](Preserve)モディファイヤを削除し、サブオブジェクト レベルではなくオブジェクト レベルへ移動します。
  2. コピーされた(および変形された)球が選択された状態で、 [作成](Create)パネル [合成オブジェクト](Compound Objects) [モーフ](Morph)を選択して、モーフ オブジェクトに変換します。
  3. [ターゲットを選択](Pick Targets)ロールアウト内で[インスタンス](Instance)が選択されていることを確認します。
  4. フレーム 0 (ゼロ)で、[ターゲットを選択](Pick Target)をクリックし、元の球を選択します。
  5. [修正](Modify)パネルで、フレーム 100 に移動し、[モーフ ターゲット](Morph Targets)リストから [sphere 02] を選択して、[モーフ キーを作成](Create Morph Key)をクリックします。

    この時点で、オブジェクトは球から変形した球にモーフされます。

  6. モーフ オブジェクトに[保存](Preserve)を適用します。
  7. [オリジナルを選択](Pick Original)をクリックし、元の球を選択します。

    この時点で、オブジェクトは球から保存されて変形した球にモーフされます。オブジェクト選択がスタックに渡されるため、[保存](Preserve)効果は球全体に適用されることに注意してください。

  8. [選択](Selected)領域で[選択された頂点のみ](Selected Verts Only)を選択します。

    これで、選択した頂点だけが[保存](Preserve)に影響されます。ただし、モーフは引き続き作用します。

例: [選択](Selection)チェック ボックスを使用するには:

  1. 3ds Max をリセットし、ボックスを作成し、編集可能メッシュに変換します。
  2. Shift + 移動して、コピーを作成します。
  3. [修正](Modify)パネルを使って、2 番目のボックスの上部の 4 つの頂点を選択します。Z 軸の上方に移動して、元のボックスより高いコピーを作成します。
  4. [保存](Preserve)を適用し、オリジナルとして最初のボックスを選択します。

    選択された頂点は下方に移動し、オリジナルのエッジ長に等しくなります。

  5. [反復](Iterations)数を 0 (ゼロ)に設定して頂点を上に戻し、[選択を反転](Invert Selection)にチェックマークを付け、[反復](Iterations)数を 25 に戻します。

    選択された頂点は、オリジナルの位置にとどまりますが、未選択の頂点は上方に移動してオリジナルのエッジの長さに戻ります。

  6. [反復](Iterations)数を 0 (ゼロ)に戻します。[メッシュ全体に適用](Apply To Whole Mesh)にチェックマークを付け([選択を反転](Invert Selection)が使用不可になる)、[反復](Iterations)を 25 に戻します。

    ここで[保存](Preserve)がメッシュ全体に適用されます。すべての頂点が影響を受けるので、ボックスの一番上と一番下が相互に近づきます。

  7. [メッシュ全体に適用](Apply To Whole Mesh)のチェックマークを消します。

    すべての頂点が変換されますが、頂点の相対位置は保持されます。

  8. [選択を反転](Invert Selection)のチェックマークを消し、[選択された頂点のみ](Selected Verts Only)にチェックマークを付けます。

    元の効果に戻ります。[反復](Iterations)編集ボックスを上下に移動して、選択された頂点だけが影響を受けることを確認できます。

例: 布をシミュレートするには:

  1. 3ds Max をリセットし、[四角形パッチ グリッド](Quad Patch Grid)を作成し、編集可能メッシュに変換します。
  2. コピーを作成し、続いてコピーの参照を作成します。

    このシーンには全部で 3 個のオブジェクトが必要です。

  3. 最初のパッチをオリジナルとして使用し、3 番目のパッチに[保存](Preserve)を適用します。
  4. [選択された頂点のみ](Selected Verts Only)と[選択を反転](Invert Selection)にチェックマークを付けます。
  5. [反復](Iterations)を 100 に設定します。
  6. 2 番目のパッチを 選択し、[サブオブジェクト](Sub-Object) [頂点](Vertex)レベルに移動します。
  7. パッチの中央にある 1 つの頂点を 選択し、それを Z の上方に移動します。

    3 番目のパッチは漂うハンカチになります。

  8. 頂点の移動を元に戻します。
  9. 2 番目のパッチの離れている対角の 2 頂点を 選択し、それらを Z の上方にドラッグします。

    これで、ロープにかけられたシーツを作成できます。

インタフェース

オリジナル

選択されたオリジナル オブジェクトの名前を表示します。「オリジナル」と呼ばれるオブジェクトは、実際にオリジナルである必要はありません。単に、未修正トポロジを表すオブジェクトのコピーのことです。

オリジナルを選択

これをクリックし、続いて現在のオブジェクトの未修正コピーを選択します。現在のオブジェクトと同じトポロジを持ち、頂点数が等しいオブジェクトを選択する必要があります。頂点数は等しいが、まったく異なるオブジェクトを選択することもできますが、結果は予測できません。

反復

ソリューションまでの計算の回数を指定します。この値を大きくすると、オリジナル オブジェクトに一致するほど近くまでオブジェクトは近づきますが、処理は遅くなります。この値をゼロにすると、[保存](Preserve)モディファイヤがまったく適用されていない場合のように、オリジナル オブジェクトには何の効果も現れません。

[保存重量](Preservation Weights)領域

[エッジの長さ](Edge Lengths)、[面の角度](Face Angles)、[ボリューム](Volumes)

保存しようとしているエッジの長さ、面の角度、およびボリュームの 3 つのコンポーネントの相対重要度を調整します。ほとんどの場合、これらは既定値のままにしておけますが、変更することによって面白い効果を生むことができます。たとえば、面の角度を増やすと、固いメッシュを作成することができます。

[選択](Selection)領域

これにより、スタック内の以前の選択モディファイヤから、どの選択レベルを採用するかを指定できるオプションが提供されます。[保存](Preserve)モディファイヤは、指定した選択レベルで動作します。

メッシュ全体に適用

スタックの以前のレベルから渡された選択に関係なく、[保存](Preserve)をオブジェクト全体に適用します。他の 2 つのチェック ボックスは使用できなくなります。

選択された頂点のみ

以前のサブオブジェクト頂点選択を使用します。前のスタック項目で[頂点](Vertex)サブオブジェクト レベルがアクティブであったかどうかは関係ありません。頂点が選択されている限り、[保存](Preserve)ではその選択が使用されます。

選択を反転

スタックに渡された選択を反転します。

注: どのチェック ボックスにもチェックマークが付いていない場合、[保存](Preserve)はスタックに渡されている有効な選択を使用します。 したがって、[メッシュ選択](Mesh Select)モディファイヤが[頂点](Vertex)レベルに設定されている場合は、頂点選択が使用されます。同じ[メッシュ選択](Mesh Select)モディファイヤがトップ(オブジェクト)レベルに設定されていた場合は、オブジェクト全体に影響します。