AutoCAD の単位定義ファイル acad.unt を使用すると、特定の単位系のデータを別の単位系に変換するための係数を定義できます。
acad.unt ファイルは単純な ASCII テキスト形式ファイルで、単位変換関数 cvunit によって使用されます。テキスト エディタを使用して、新しい単位定義を追加したり、修正することができます。ファイル内の定義は、単位名と単位定義の 2 行で行われます。1 行目は、左端にアスタリスク(*)、その後に単位の名前が続きます。単位名には複数の省略形や言い換え単位名のスペルをカンマで区切って指定できます。単位名に単数形と複数形がある場合、次の形式を使用して指定できます。
*[ [common] [ ( [singular.] plural) ] ]...
複数の式(単数形と複数形)を指定できます。式は単語の最後でなくてもよく、複数である必要もありません。次に、有効な単位名の定義の例を示します。
*inch(es) *milleni(um.a) *f(oot.eet) or (foot.feet)
「*単位名」の次の行は、基本単位か派生単位のどちらかとして単位を定義します。
基本単位は、定数の式です。「*単位名」の次の行が等号(=)以外の文字で始まる場合、その行は基本単位の定義とみなされます。基本単位は、次の形式の 5 つの整数と 2 つの実数から成ります。
c, e, h, k, m, r1, r2
5 つの整数は、次の 5 つの定数に対応しています。
c 真空での光の速度
e 電荷
h プランク定数
k ボルツマン定数
m 電子の静止質量
これらの指数を組み合わせて、長さ、質量、時間、容積などの 単位を定義します。
最初の実数(r1)は乗数で、2 番目の実数(r2)はオフセットです(温度変換専用)。基本単位の定義では、その単位名に異なる綴りを指定できます(たとえば、meter と metre)。単位名の大文字と小文字は区別されません。次に、基本単位の定義例を示します。
*meter(s),metre(s),m -1,0,1,0,-1,4.1214856408e11,0
この例では、1 メートルを次のように定義しています。
派生単位は、他の単位を使用して定義されます。「*単位名」の次の行が等号( = )で始まる場合、その行は派生単位の定義とみなされます。派生単位の定義で使用可能な演算子は * (乗算)、 / (除算)、 + (加算)、 - (減算)、 ^ (累乗)です。
定義済みの単位を、その名前で指定でき、あらかじめ作成しておけば省略形を使用することもできます。式内の項目は、他の算術演算子を指定しない限り、まとめて乗算されます。たとえば、単位データベースには、汎用的に使用できる 10 の倍数や約数の名前が定義されているので、micro inch と入力することで、マイクロインチ単位を指定できます。
次に、派生単位の定義例を示します。
; Units of area *township(s) =93239571.456 meter^2
1 township は 93,239,571.456 平方メートルと定義されます。
; Electromagnetic units *volt(s),v =watt/ampere
この例では、ボルト(volt)はワット(watt)÷アンペア(ampere)として定義されます。acad.unt では、ワットとアンペアは両方とも基本単位として定義されています。
コメントは、行の先頭にセミコロンを配置することにより、ファイルに追加することができます。コメントは、その行の終わりまで続きます。
; This entire line is a comment.