Interactive Photorealistic Rendering (IPR)

IPR は、Maya ソフトウェア レンダリングと mental ray for Maya レンダリングのみで使用することができます。

IPR はレンダー ビュー(Render View)レンダリングのコンポーネントの 1 つで、ライト、シェーダ、テクスチャおよび 2D モーション ブラーのプレビューと調整をすばやく効率的に行うことを可能にします。

IPR は変更した結果をほとんど瞬時に確認することができるため、作業中にシーンを表示するための理想的な方法です。また、IPR レンダリングを中断したり停止させたり、複数のレンダリング オプションを選択して IPR 処理に含めたり除外したりすることができます。IPR は、通常のソフトウェア レンダリングとは異なる動作をします。詳細については、IPR の動作を参照してください。

IPR はソフトウェア レンダリングで可能な機能をすべてサポートしているわけではありません(たとえば、レイ トレーシングや制作の精度のアンチエイリアシングはサポートしていません)。IPR の制限事項(Maya ソフトウェア レンダラ)を参照してください。

IPR の動作

IPR セッションを開始すると、Maya は最初の IPR イメージを計算します。これはディープ ラスタ形式で、最終的な画像以外の情報も含んでいます。すべての可視性の計算が(一度だけ)実行され、その結果は iprImages ディレクトリのファイルに格納されます。

IPR イメージは IFF イメージにデータを追加したものです。IPR ファイルは可視データとシェーディング データの両方を格納するため、通常のイメージ ファイルよりも大きくなります。このデータは、以下の方法で計算されます。

この形式のデータは、シェーディングとライティングのパラメータをインタラクティブに調整するのに効果的に使用できます。

IPR オプションを調整するには、IPR オプション(IPR Options)を参照してください。

注: 上級ユーザの方へ:

コマンド ラインから IPR イメージを前もってバッチ処理できるので、可視データがフレームごとに違う同じアニメーションの複数フレームを一度に調整できます。

詳細については、IPR ファイルをバッチ レンダーするにはを参照してください。

IPR レンダーを行うとディスクに多くの情報が書き込まれるため、ソフトウェア レンダーを行う場合よりも長い時間がかかります。IPR イメージには、シーン パラメータを調整する場合に、ピクセル単位でシェーディング計算を行うのに必要な情報が格納されています。

調整する領域を選択すると、選択した領域内の全ピクセルの必要な情報がメモリに読み込まれます。

シーンのアトリビュートを変更すると、シェーディング計算が再実行され、レンダー ビュー(Render View)ウィンドウ内で選択した領域が更新されます。

この段階では可視計算を再実行する必要がないため、調整による更新はフル ソフトウェア レンダリングよりもはるかに高速で実行できます。

IPR イメージは非常に大きくなる場合があります(たとえば、NTSC ビデオ解像度では単一の IPR イメージが 60MB にもなります)。IPR レンダーを実行する前に、IPR イメージを格納する十分なディスク スペースがあることを確認してください。

注: IPR 既定の光源(IPR レンダリング中に作成された)は、ソフトウェア レンダラの既定の光源と同じような動作をします。
  • IPR 既定の光源は IPR セッションが終了する(たとえば、IPR 停止ボタンをクリックする)とすぐに除去されます。
  • IPR 既定の光源はシーンと一緒に保存されないため、IPR 既定のライトが保存済みのシーンに誤って追加されることはありません。

詳細については、Maya の既定のライティングを参照してください。

IPR の制限事項(Maya ソフトウェア レンダラ)

可視性の制限事項

サーフェスを追加または除去するといった変更でも、カメラの角度の変更やサーフェス上の複数の CV のトランスフォームといった変更でも、可視計算に影響するアトリビュートを変更した場合は、もう一度 IPR レンダーを実行しなければ、その変更結果を確認することはできません。

任意のオブジェクトやカメラに適用されるトランスフォームは、可視性に影響を与えます(トランスフォームとはオブジェクトの移動やビューのズームなどのことです。オブジェクトやカメラを移動すると、ピクセルごとに見えるものが変化することがあるためです)。これにはライティングの変更は含まれません。これはサポートされています。

サーフェスの追加や除去、UV マッピング値の変更

シーンにサーフェスを追加したり、シーンからサーフェスを除去したりした場合、または、テクスチャの UV マッピング値を変更した場合は、再度 IPR レンダーを行ってからその変更を確認する必要があります。こうした変更の例を次に示します。

  • ポリゴン サーフェスがすでにシーン内に作成されていても、そのポリゴン サーフェスで新しいフェース グループを選択した場合。IPR では、テクスチャに対し新しいフェース グループを選択するということは、新しいサーフェスを作成することと同じです。
  • テクスチャのワープを修正(Fix Texture Warp)のオン/オフを切り替えると、IPR レンダーでの UV マッピング値の生成方法が変わります。これは、ポリゴンの UV 座標の配置を変更してその値を変更するのと同じです。
  • UV テクスチャ エディタ(UV Texture Editor)での UV の編集。

イメージ プレーン、シャドウ マップ、バックグラウンド色を変更する

シャドウ マップの解像度やイメージ プレーン、またはックグラウンド色を変更する場合は、IPR の調整領域を手作業で更新する必要があります( IPR > シャドウ マップの更新(IPR > Update Shadow Maps)または IPR > イメージ プレーン/バックグラウンドの更新(IPR > Update Image Planes/Background)を選択)。

Maya ソフトウェア レンダラでの IPR の一般的な制限事項

  • レイ トレーシング エフェクト(たとえば、透明度、反射、屈折)
  • パーティクル
  • 3D モーション ブラー
  • アンチエイリアシング: 条件判断型シェーディング、マルチピクセル フィルタリング
  • 深度マップの有効化(Enable Depth Maps)アトリビュート(レンダー設定(Render Settings)ウィンドウ)のグローバルへのオーバーライド
  • IFF (ディープ ラスタ)への出力

Mac OS X 特定の制限事項

  • 4K 以上の解像度では、インタラクティブにレンダーすることができません。
  • イメージを正常にレンダーした後に低解像度で再度レンダーしても、レンダリング イメージのサイズは小さくなりません。

イメージ プレーンの制限事項

  • ファイル モードだけがサポートされ、テクスチャ モードはサポートされていません。
  • イメージ プレーン/バックグラウンドの更新(Update Image Planes/Background)をオンに設定しなければ、ファイル モードを変更しても適切な IPR は行われません。

シェーダとテクスチャの制限事項

  • バックグラウンドの使用(Use Background)マテリアル シェーダはレイ トレーシングに依存するため、十分にサポートされていません。
  • ディスプレースメント マップの修正、追加、または削除をジオメトリに適用すると、再レンダリングが必要です。
  • ファイル テクスチャで高度なフィルタ(二次(quadratic)、三次(cubic)、ガウス(Gaussian)など)をオンに設定した場合、再レンダリングが必要になります。もともと高度なフィルタをオンに設定してレンダーを生成していない場合、IPR イメージにさらに多くの情報を格納する必要があります。

IPR の再レンダリングが必要なジオメトリの変更

  • ジオメトリの追加または削除
  • ジオメトリのトランスフォームまたはモーフィング
  • テッセレーションの変更
  • サーフェスのテクスチャのワープを修正(Fix Texture Warp)のオン/オフ切り替えまたはテクスチャのワープを修正(Fix Texture Warp)アトリビュートの修正
    ヒント:

    特に IPR を使用するときには、レンダリングのプレビューにディレクショナル ライトを使用することを検討してください。これらのライトは、簡単にトランスフォームすることができ、必要な初期のライト エフェクトを得ることができます。Maya の既定のライトはディレクショナル ライトです。

グローの制限事項

  • ライト グローの強度が違って表示されることがあります。ライト グローの範囲が IPR 生成のときに計算されているためです。ライトの移動によってライト グローの範囲が変化する場合、グローが正しく再現されません。
  • IPR 領域(シーンの一部)では、異なる自動露出の正規化が行われるため、シェーダ グローの外観が異なる場合があります。

その他

  • ブラー バイ フレームを変更しても、再レンダーをしなければ、IPR は更新されません。
  • 一般に作業領域が狭いため、2D モーション ブラーは正しく再現されないことがあります。