一般接触要素

一般接触要素には、4 つの区別された剛性領域を持つ要素となる 3 つの基本的な状態があります。

材料減衰パラメータは、要素がロック、結合、ロック解除状態のいずれかによって、別の値をとることができます。

一般接触要素パラメータ

一般接触要素パーツで指定しなければならない最初のパラメータは、[要素定義]ダイアログの[一般]タブにあります。一定断面積を[断面の面積]フィールドに入力する必要があります。一般接触要素の質量を、初期長さに基づいて指定する必要があります。解析の進行中に要素が伸張または圧縮した長さに関わらず、同じ値が影響を与えます。重力または加速荷重がモデルに現れる場合、[要素質量]フィールドか[質量密度]フィールドのいずれかに値を指定する必要があります。

一般接触要素に、結合または接触状態にない場合に剛性を適用する場合、伸張および圧縮時の係数を、[ロック解除状態]タブの[ロック解除状態伸張係数]および[ロック解除状態圧縮係数]フィールドで指定します。[抵抗力]フィールドに値を指定した場合、軸力として適用されます。

一般接触要素に、長さが特定の値より短くなったときに剛性を適用する場合、長さを[接触]タブの[接触距離]フィールドで指定し、係数を[接触係数]フィールドで指定します。要素は 0 単位よりも短くできないため、接触距離 0 は真実接触での実距離ではありません。接触距離には小さい有限値を使用します。接触面積をなくしたい場合は、値 0 を使用します。

一般接触要素に、長さが特定の値より長くなったときに剛性を適用する場合、長さを[結合]タブの[結合長さ]フィールドで指定し、係数を[結合係数]フィールドで指定します。値 0 は、結合領域がないことを示します。

すべての場合(ロック解除状態、接触、結合)で、要素の剛性は、係数(E)と断面面積(A)の積を長さ(L)で割ったもの、つまり剛性 = A*E/L になります。長さ L はモデルに描画されている要素の長さと、接触距離と結合長さの入力長によって異なります。次の図と表を参照してください。

図 1: 一般接触要素の剛性

ここで、

  • Lcnt は接触距離
  • Lo はモデルに描画される要素の長さ。異なる長さの各要素は異なる剛性を持つことに注意してください。
  • Lcpl は結合長さ
  • Kcnt は接触領域での要素の剛性。長さは Lcnt 未満です。
  • Kc は、ロック解除状態圧縮領域での要素の剛性。長さは Lo と Lcnt の間です。
  • K は、ロック解除状態伸張領域での要素の剛性。長さは Lo と Lcpl の間です。
  • Kcpl は、結合領域での要素の剛性。長さは Lcpl よりも大きくなります。
    初期要素長さ、Lo  
  Lo < Lcnt Lcnt < Lo < Lcpl Lo > Lcpl
剛性、K

Kcnt = A*Ec/Lcnt + A*Ecnt/Lcnt

ロック解除状態の圧縮なし

Kt = A*Et/Lcnt

Kcpl = Kt + A*Ecpl/Lcpl

Kcnt = Kc + A*Ecnt/Lcnt

Kc = A*Ec/Lo

Kt = A*Et/Lo

Kcpl = Kt + A*Ecpl/Lcpl

Kcnt = Kc + A*Ecnt/Lcnt

Kc = A*Ec/Lo

ロック解除状態伸張なし

Kcpl (for L>Lo) = A*Et/Lo + A*Ecpl/Lcpl

Kcpl (for L<Lo) = A*Ec/Lo + A*Ecpl/Lcpl

初期力、Fo Fo = 0 Fo = 0 Fo = Kcpl*(Lo-Lcpl)
ここで Ecnt、Ec、Et、および Ecpl は、それぞれ接触、ロック解除状態圧縮、ロック解除状態伸張、結合の係数です。

一般接触要素に適用される減衰力は、[減衰]タブの[ダッシュポット係数]フィールドに値を入力します。減衰力は、この値と断面面積に比例します。考慮に入れる材料の減衰降下は、それぞれの状態の減衰係数を[ロック解除状態減衰]、[ロック減衰][結合減衰]フィールドで指定します。これらのプロパティを計算された力と応力に反映するには、[減衰の影響を含めて出力]チェック ボックスをオンにします。

一般接触要素に対する引張および圧縮応力の制限値を指定できます。これらの応力のいずれかが制限値を超えると、要素が壊れます。これらの応力は、[破壊]タブの該当する[破壊応力]フィールドで指定できます。このフィールドを使用できるようにするには、[破壊無効]ドロップダウン ボックスで[なし]以外のオプションを選択してください。[ロック解除した条件]オプションが選択されている場合、ロック解除係数が、引張または圧縮応力が破壊応力を超えた後で 0 に設定されます。[結合条件]オプションが選択されている場合、結合係数が、伸張応力が破壊応力を超えた後で 0 に設定されます。[接触条件]オプションが選択されている場合、接触係数が、圧縮応力が破壊応力を超えた後で 0 に設定されます。[ロック解除状態および結合条件]オプションが選択されている場合、ロック解除状態および結合係数が、伸張応力が破壊応力を超えた後で 0 に設定されます。[ロック解除状態および接触条件]オプションが選択されている場合、ロック解除状態および接触係数が、圧縮応力が破壊応力を超えた後で 0 に設定されます。

一般接触要素の基本的な使用手順

  1. 単位系が定義されていることを確認します。
  2. モデルで非線形の解析タイプを使用していることを確認します。
  3. 一般接触要素にするパーツの[要素タイプ]の見出しを右クリックします。
  4. [一般接触]コマンドを選択します。
  5. [要素定義]の見出しを右クリックします。
  6. [要素定義を編集]コマンドを選択します。
  7. [一般]タブの[断面面積]フィールドに、要素の断面面積を入力します。これは必須情報であり、この情報を入力しないとモデルは動作しません。
  8. 任意で、[要素質量]フィールドで値を指定します。この値は、要素が伸張または圧縮しても、要素に対して使用されます。
  9. モデルに重力を適用する場合、要素の[質量密度]を指定します。
  10. [ロック解除状態]タブをクリックします。ロック解除状態の適切な値を指定します。
  11. [接触]タブをクリックします。ロック状態の適切な値を指定します。
  12. [結合]タブをクリックします。結合状態の適切な値を指定します。
  13. [減衰]タブをクリックします。適切な減衰値を指定します。
  14. [OK]ボタンを押します。
ヒント: 静的解析を実行する際は、接触からの寄与に依存することなく安定性を考慮する必要が生じ得ることに留意してください。推奨値については、「解析の設定と実行」>「非線形解析を実行する」>「接触がある解析を実行する」を参照してください。