Vault のインストールを開始する前に、最適なインストール環境を確保するために、環境を確認したりデータを収集して、配置の準備を整えておく必要があります。
Vault の実装は、すべてのコンポーネントを 1 台のコンピュータにインストールするという簡単な場合もあれば、コンポーネントを異なる場所にある複数台のコンピュータにインストールするという複雑な場合もあります。実装方法が複雑になるにつれて、考慮すべき情報も増えます。次のセクションでは、Vault を実装する上で最適な判断を行うために検討すべき情報について詳しく説明します。
ユーザ数を把握することは、アクセスの問題や応答時間の遅延の発生を防ぐ上で重要です。たとえば、同時接続ユーザが 10 人を超える場合は、Windows® Server 2003 または 2008 を使用します。ユーザが 25 人を超える場合は、SQL の Standard または Enterprise のフル エディションへのアップグレードを検討してください。Microsoft SQL Express では、同時接続数が 25 までに制限されています。シングル ユーザ用に Vault を実装する場合、すべてのコンポーネントを 1 台のコンピュータにロードできます。
サーバ数を決定する際には、クライアント、Vault サーバ、SQL サーバ間でどのような情報が行き来しているかについて留意してください。詳細については、「Vault の流れ」を参照してください。
推奨動作環境については、このトピックの「インストール要件」セクションを参照してください。一部の他のアプリケーションと同様に、Vault の動作はメモリよりもプロセッサに負荷がかかります。CPU 使用率が常に高いサーバには、Vault のコンポーネントをロードしないようにしてください。
Vault サーバは、複数の異なるオペレーティング システムにロードすることができます。サーバ以外のオペレーティング システムを使用する場合には、制限事項に注意してください。
例:
ファイアウォールは、着信要求をブロックすることができます。Vault サーバのインストール時に、既知のファイアウォールがあるかどうかがチェックされます。Vault サーバが適切に通信できるように、ファイアウォールの設定を行わなければならない場合があります。一部のシステム保護ソフトウェアには、ファイアウォールが組み込まれていることがあります。これらのツールを調べて、ファイアウォールが存在しないかどうか確認してください。
Vault の動作は、プロセッサに負荷がかかります。プロセッサに負荷がかかるアプリケーションと Vault サーバを同一のサーバにロードすると、Vault の動作が予想よりも遅くなることがあります。
Autodesk Vault を使用するには、最低でも Microsoft SQL 2008 Express Service Pack 3 が必要になります。可能であれば、旧バージョンの Vault と 2008 Express を Service Pack 2 にアップグレードしてください。詳細については、このトピックの「インストール要件」セクションを参照してください。
Autodesk Vault 2015 を使用するには、最低でも Microsoft SQL 2008 Express Service Pack 2 が必要になります。可能であれば、旧バージョンの Vault と 2008 Express を Service Pack 2 にアップグレードしてください。詳細については、このトピックの「インストール要件」セクションを参照してください。
SQL 2008 Express では、同時ユーザ数は 25 に制限されており、4 GB のサイズ制限もあります。Vault の実装時にさらに容量が必要になる場合は、SQL Standard または Enterprise を使用して Vault サーバを設定してください。
また、Vault 2015 では、単一のデータベース サイズの制限が 10 GB に拡張されている SQL Server 2008 R2 Express をサポートしています。
Vault サーバのアクセス頻度は、サーバのパフォーマンスに影響を及ぼします。たとえば、50 ユーザの Vault を実装した場合、1 日に 2 人程度のユーザがファイルを 1、2 個チェックアウトする程度では、サーバへの負荷はあまりかかりません。同じ設定でも、10 分ごとに 35 人のユーザが Vault にアクセスする場合、非推奨の構成だと Vault サーバのパフォーマンスは異なるものになります。
通常、ネットワーク速度は待機時間と同義になりますが、帯域幅やスループットも考慮に入れてください。Vault の実装において最高のパフォーマンスを得るためには、ネットワーク速度は検討すべき重要な要素です。全サーバ間での待機時間、帯域幅、およびスループットを測定するテストを実施することで、接続速度に関するアイデアが得られます。サイズの大きいファイルを、サーバ間でいくつかコピーします。このテストを実行する際には、サーバ A からサーバ B にコピーし、次にサーバ B からサーバ A にコピーします。あるサーバから別のサーバにデータが移動した場合、元に戻る際にも同じルートを取るとは限りません。
Vault Professional 用のサーバ コンポーネントをインストールすると、複数の拠点に分散したチームのサポートを強化するさまざまなオプションを利用できます。Vault Professional では、中央リモート データベースのマルチサイト複製をサポートしています。Vault Professional では、専用のデータベース サーバを持つ Vault の実装を、単一のサイトで行うこともできます。
複数のリモート サイトから同じ Vault データにアクセスするようリモート サイトを構成できます。サイトは、専用の Autodesk Data Management Server とファイル保管場所から構成されます。各サイトは、共有の AUTODESKVAULT SQL インスタンスにアクセスします。
複製は、2 つのサーバ間(通常は、それぞれ物理的な場所が異なる)でデータをコピーするプロセスを指します。このプロセスによって、2 つの異なる場所にある Vault 環境の設定が可能になるため、広域ネットワーク(WAN)を通じてサイズの大きい CAD ファイルをダウンロードする手間が省けます。
Autodesk Vault Professional の接続ワークグループ機能では、Microsoft SQL パブリッシャー/サブスクライバ テクノロジによる複数のデータベース サーバの使用をサポートしています。このテクノロジにより、複数の場所にある SQL データベースの複製が可能になります。