Vault のアーキテクチャ

Autodesk Vault は、サーバとクライアントという 2 つのコンポーネントで構成されます。クライアントでは、ファイルのチェックインとチェックアウトやデザインのコピーなど、ドキュメント管理機能を実行できます。サーバには、すべてのドキュメントと設計のマスター コピーが格納されます。共有の集中サーバに全データを保存すると、設計チームでのすべての情報の共有と管理が容易になります。 この集中化された場所が Vault と呼ばれます。Vault クライアントを初めて起動したら、データの管理を開始する前にログインする Vault を選択する必要があります。

Vault とは

Vault とは、ドキュメントやファイルを格納、管理する貯蔵庫です。Autodesk Vault には、リレーショナル データベースとファイル保管場所の 2 つの基本的なコンポーネントがあります。

つまり、サーバ アプリケーションとクライアント アプリケーションに、それぞれ異なるソフトウェア コンポーネントをインストールします。

Vault サーバ

Vault サーバは、Web サーバ、データベース、ファイル保管場所の 3 つの主要なコンポーネントによって構成されています。コンポーネントの基本的な構成を図に示します。

データベース サーバ

データベース サーバは、データ間のすべての関係を追跡管理します。図書館の蔵書票のように、関連する情報がどこにあるかを、索引とポインタで管理しています。既定では、Autodesk Data Management Server は Microsoft® SQL Server 2008 Express をインストールします。Microsoft SQL Server 2008 SP2 Express のアップグレードは、Autodesk Data Management Server コンポーネントをインストールした後であればいつでも行うことができます。

詳細については、「Vault の要件」と「Autodesk Vault のアップグレード」を参照してください。

ファイルの保管場所

ファイルの保管場所とデータベース サーバは連携動作します。データベースは、ファイルの場所を示すインデックス情報を提供します。ファイル保管場所は、サーバ上においてファイルを安全に配置できる場所です。

注: ファイル保管場所のファイルを、直接移動、削除、または編集しないでください。ファイル保管場所は、Autodesk Data Management Server Console を使用して管理します。

Web サーバ

Autodesk Data Management Server は、Windows Internet Information Services (IIS)がインストールされていることを必要とします。

注: 複数ユーザが同時に接続して使う構成にする場合、サーバを稼働させるコンピュータに IIS がインストール済みでなければ、Autodesk Vault サーバよりも先に IIS をインストールしてください。
注: IIS のインストールを完了するには、Microsoft Windows のオリジナルのインストール メディアが必要になる場合があります。

Autodesk Vault サーバは、実際には Web アプリケーションであって、Web サービスを使ってクライアントとサーバが行う通信を管理するために、複数のサービスを使用しています。クライアントとサーバが情報をやり取りする手順は、Web ブラウザがインターネット上のサイトと通信する手順と同様です。Web サービスは標準的な HTTP プロトコルに従い、通常は既定の 80 番ポートを使って通信します。Microsoft IIS は複数のユーザ構成環境で必要です。

プロキシ サーバ

プロキシ サーバは、クライアントの要求を他のサーバに転送します。一部のネットワークは、すべてのクライアントに対して、プロキシ サーバを使ってすべての Web サービス要求を行うよう強制します。

プロキシ サーバを使用しているネットワークの場合、ホスト名を使用するか、ホスト クライアントのプロキシ サーバをバイパスするように、プロキシ サーバを設定できます。

注: プロキシ サーバの設定の詳細については、「Vault でのプロキシ サーバ使用の設定」を参照してください。

Vault Client

Vault Client には、独立したアプリケーションとして動作するものと、アドインとして他のアプリケーションに統合されているものがあります。いずれも、Vault サーバと接続してファイルにアクセスし、Vault 操作を実行する機能があります。

代表的なクライアントとして、Inventor Add-In があります。Inventor Add-In を使ってデータを Vault に追加すると、アセンブリ、図面、プレゼンテーション、およびその他のファイルから生成された複雑な関連を、すべてまとめて保存することができます。

1 つの Vault 環境は、1 つの Vault サーバと 1 つ以上の Vault Client で構成されます。他のアプリケーションと統合される Vault Thick Client、Vault Thin Client、および Vault Add-in があります。Autodesk Vault 2015 R2 ユーザの場合、Vault Office Thick Client をインストールすることもできます。

Vault Client

ユーザは、Vault Thick Client (別名 Vault Explorer クライアント)を使用することで、自分自身の許可レベルに応じて、完全なボールト構造の表示、ボールトへのファイルの追加、またはその他のファイル ベースの操作を実行できます。Vault スタンドアロン クライアントでは、リビジョン スキームや採番スキームの設定、ライフサイクル動作の定義、アイテムおよび変更管理の管理、その他の管理タスクの実行を行うこともできます。管理に使用できる機能は、使用している Vault のエディションによって異なります。

Vault Thin Client

Vault Thin Client では、Vault のコンテンツを参照できます。Vault Office ライセンスを保有している場合、Vault へのファイルの追加、Vault とのファイルのチェックインとチェックアウトなど、ファイルの管理タスクを実行することもできます。

Autodesk Vault Professional ユーザの場合、アイテムおよび部品表(BOM)を確認することもできます。

Vault Add-in クライアント

アドイン クライアントでは、親アプリケーション環境内の基本 Vault 機能が提供されます。ファイルを Vault へ追加するとき、アドインでは、アプリケーション固有のデータ関係が保持されます。

注: 原則として、統合化されたクライアントが特定のアプリケーションで利用可能な場合、そのクライアントを使用したファイルの管理により、(アセンブリ関係のような)データの損失を最小限に抑えることができます。可能な場合は常に、統合クライアントを使用することをお勧めします。

オートデスクおよび他社の設計アプリケーションで利用可能なアドインが複数存在します。 詳細については、「Vault Add-in はどのアプリケーションでサポートされますか?」を参照してください。

Vault Office Client

注: Vault Office Client は、Autodesk Vault 2015 R2 でのみ使用できます。

Vault Office Client は、完全版 Vault Client と似ていますが、CAD 以外のファイルおよびフォルダのデータ管理オプションのみを備えています。このクライアントは、完全版 Vault Client のすべての CAD 機能は必要でないが、Vault でドキュメントを管理する必要があるユーザに最適です。