次の手順では、要素を削除するための基準の定義に、HIN ファイルを使用します。一方向材料には、TYPE=MATRIX と TYPE=FIBER の 2 つの要素の削除基準が使用できます。各オプションについて詳しく見て行きましょう。
MATRIX の要素削除の場合、使用できる基準は RELOAD のみです。母材が破損した後、要素の応力レベルが特定の大きさに到達すると、基準 RELOAD は要素を削除します。母材の破損が発生すると、間隔 σ22、σ33、σ12、σ13、σ23 の Von Mises 応力 σvmt は、全 Von Mises 応力 σvm (σ11 など)と比較されます。σvmt と σvm の比率がユーザの指定値を超える場合は、要素には削除フラグが設定されます。
基準 RELOAD が、非繊維の主方向の応力テンソル レベルを評価しています。母材の破損後、この方向の剛性をできる限り低く保ちたいと考えています(母材に亀裂があるため)。ただし場合によっては、ひずみが大きいため、応力を再ロードすることができます。基準 RELOAD はこの動作で要素を削除できるため、適切ではない解析に対するエネルギーの影響は大きくありません。
CRIT=RELOAD を使用する場合は、σvmt と σvm の許容可能な最大比率を指定する必要があります。これは、キーワード *ELEMENT DELETION の後の最初の行で指定します。次に例を示します。
*ELEMENT DELETION, TYPE=MATRIX, CRIT=RELOAD 0.1
このケースでは、σvmt が全 Von Mises 応力 σvm の 10% 以上になると、要素が削除されます。
FIBER の要素削除基準の場合、使用できる基準は ANY のみです。基準 ANY は、繊維が破損すると、要素の削除が自動的にトリガされることを示します。次に例を示します。
*ELEMENT DELETION, TYPE=FIBER, CRIT=ANY
チュートリアルでは、TYPE=FIBER を使用して要素の削除をコントロールします。
*MATERIAL, NAME=IM7_8552 *ELEMENT DELETION, TYPE=FIBER, CRIT=ANY
完成した HIN ファイルは、次のようになるはずです。
*JOB TERMINATION, MONITOR=LOAD 0.2, 3 *MATERIAL, NAME=IM7_8552 *ELEMENT DELETION, TYPE=FIBER, CRIT=ANY
要素削除基準を使用したいくつかの追加練習では、次の設定を使用してみてください。
*ELEMENT DELETION, TYPE=MATRIX, CRIT=RELOAD 0.10
*ELEMENT DELETION, TYPE=MATRIX, CRIT=RELOAD 0.05
ヒント: 既存の入力ファイルと HIN ファイルをコピーし、名前を変更します。前述の各ケースの HIN ファイルを修正し、解析を実行します。結果のすべてについては、後で確認します。