このセクションのアトリビュートは、それぞれの流体プロパティごとに固有です。
密度(Density)は、実世界の流体のマテリアルプロパティを表します。これは、流体のジオメトリとみなすこともできます。通常の球に比べて、球のサーフェスのボリュームに相当するのはコンテナ内部の密度(Density)の分布です。
実際、密度(Density)と不透明度(Opacity)が 1 対 1 の場合、良い結果が得られません。不透明度(Opacity) 1.0 は、無限の密度に相当します(金のようなマテリアルでさえ、実際はわずかとは言え光を通します)。密度スケール(Density Scale)が 1.0、透明度(Transparency)が 0.5、不透明度(Opacity)の入力バイアス(Input Bias)が 0 の場合、密度と不透明度は 1 対 1 になります。透明度(Transparency)を低くして不透明度(Opacity)の入力バイアス(Input Bias)を高くするか、そのどちらかを行うと、密度と不透明度を簡単に自然な比率に近づけることができます。
流体コンテナ内(グリッドで定義されたか、プリセットグラディエントによって定義されたかどうかに関係なく)の密度(Density)値にスケール値を掛け合わせます。1 未満の密度スケール(Density Scale)を使用すると、密度(Density)がより透明に表示されます。1 以上の密度スケール(Density Scale)を使用すると、密度(Density)がより不透明に表示されます。
次の例では、密度(Density)は流体コンテナ全体の密度値が 1 であることを示す一定(Constant)に設定されています。1 未満の密度スケール(Density Scale)で密度(Density)値をスケールしていくと、密度(Density)がしだいに透明になり、流体内部にある赤い球が見えてきます。
次の例では、密度(Density)がダイナミック グリッド(Dynamic Grid)に設定され、密度(Density)値は 1 未満になっています。1 以上の密度スケール(Density Scale)で密度(Density)値をスケールしていくと、密度(Density)がしだいに不透明になり、流体内部にある赤い球がどんどん見えなくなっていきます。
ダイナミック グリッド(Dynamic Grid)のみ。密度(Density)がある領域とない領域の間の密度の差分をシミュレートします。浮力(Buoyancy)値が正の場合の密度(Density)は、水中の泡のように周囲の流体よりも軽い物質を表し、上昇していきます。値が負の場合の密度(Density)は下降します。
ダイナミック グリッド(Dynamic Grid)またはスタティック グリッド(Static Grid)で密度が(Density)消失していくレートを設定します。タイム ステップごとに、密度(Density)が各ボクセルから除去されます(密度(Density)の値は小さくなっていきます)。この例では、損失(Dissipation)値は 1 に設定されています。
流体エフェクト(Fluid Effects)の損失(Dissipation)は、パーティクルの場合のライフスパン(Lifespan)とは異なります。ライフスパンはオン/オフで設定します(存在しているか消滅しているかのどちらかです)。損失(Dissipation)は段階的なフェードアウトで、絶対的なものではありません。グリッドの密度(Density)のライフスパンは、放出の密度(Density)、グリッド内のモーション、拡散や流体の透明度(Transparency)と関連しています。
ダイナミック グリッド(Dynamic Grid)で密度(Density)が隣接したボクセルに拡散していくレートを設定します。この例では、拡散(Diffusion)値は 2 に設定されています。
前方への移流(Forward Advection)により流体の密度、特にコンテナの境界に沿って適用される圧縮作用を無効にするために、外方向へのフォースを適用します。この方法で、アトリビュートは全体的な流体のボリュームを保存し、密度の損失が起こらないようにします。
圧力(Pressure)は、液体(Liquids)アトリビュート内にある密度圧力(Density Pressure)アトリビュートと同じアトリビュートです。
ボクセル単位で密度圧力(Density Pressure)が適用される密度の値を指定します。密度圧力のしきい値(Density Pressure Threshold)よりも密度が低いボクセルには、密度圧力(Density Pressure)は適用されません。
圧力のしきい値(Pressure Threshold)は、液体(Liquids)アトリビュート内にある密度圧力のしきい値(Density Pressure Threshold)アトリビュートと同じアトリビュートです。
ボクセルの速度変化を基準に、シミュレーションされた各ステップの密度(Density)の値をランダム化します。フローする流体に乱気流や詳細を追加するには、ノイズ(Noise)を使用します。ノイズ(Noise)値が大きいと、流体に不要なジッタが追加されるので注意してください。
張力(Tension)は密度をより丸い形に押し出し、密度の境界線を、流体内でより明確にします。大きな値を設定した場合、張力(Tension)は流体密度をグリッド内の個々のエリアに強制します。流体エフェクトにおけるこの張力(Tension)のエフェクトは、液体における表面張力のエフェクトに似ています。張力(Tension)はボクセルの速度に影響を与えません。
張力(Tension)を使用して、細部をスムーズにし、クラウド エフェクトや煙エフェクトにぷっくりした感じを与えることができます。また、張力(Tension)は、高詳細ソルバ(High Detail Solve)の使用時に現れるアーティファクトを除去するためにも使用できます。
フォースを適用し、グリッド内の密度に基づいた表面張力をシミュレートします。張力フォース(Tension Force)は密度の張力(Density Tension)に類似していますが、密度の値を変更するのではなく、流体に少量の速度を加えることで推進力を変更します。
張力フォース(Tension Force)と密度の張力(Density Tension)を使用して、液体のリアルな表面張力を表現するエフェクトを作成できます。張力フォース(Tension Force)は、液体シミュレーションの有効化(Enable Liquid Simulation)がオフのときに既定の流体ソルバで使用できます。
密度のグラディエント、または法線の方向に沿ってフォースを適用します。正のグラディエント フォース(Gradient Force)の値は、増加する密度の方向に押し込み、引き付けフォースを生み出します。負の値は密度をそれ自体から押しのけ、反発するフォースを生み出します。
グラディエント フォース(Gradient Force)はセルフ アトラクトと反発(Self Attraction and Repulsion)に似たエフェクトを生み出しますが、このエフェクトの範囲は隣り合うボクセルだけにとどまります。一方、セルフ アトラクトと反発(Self Attraction and Repulsion)はボクセル単位でボクセルの間にフォースを生成します。グラディエント フォース(Gradient Forc)の計算にはセルフ アトラクトと反発(Self Attraction and Repulsion)よりも時間がかからず、シミュレーション時間が短縮されます。セルフ アトラクトと反発(Self Attraction and Repulsion)も参照してください。
流体を基準にして速度をスケールします。
流体コンテナ内の速度(Velocity)値にスケール(Scale)値を掛け合わせます。スケーリングは方向に影響しません。
渦(Swirl)は、流体に小規模な速度と渦を生成します。高詳細ソルバ(High Detail Solve)方法を使用しないシミュレーションに詳細を追加するにはこれが便利です。場合によっては、渦(Swirl)の値は、アーティファクトが生まれ、流体が不安定になる原因になります。
速度のダイナミック グリッド(Dynamic Grid)の速度値をランダム化し、流体に乱気流を作成します。ノイズ(Noise)を大きくすると、ボクセル単位のランダム化と流体の乱気流が激しくなります。
この値を大きくすると、乱気流によって適用されるフォースの量が大きくなります。
この値を小さくすると、乱気流の渦巻きが大きくなります。これは、乱気流関数の特別なスケール係数で、乱気流の強さが 0 の場合は無効です。
乱気流のパターンが時間の経過とともに変化するレートを設定します。
コンテナで定義された温度(Temperature)値を掛け合わせます。
温度(Temperature)のソルビングに使用する組み込みの浮力の強さを設定します。
圧力(Pressure)は、気体の温度が上昇し、流体が急速に膨張した結果、発生する圧力の増加をシミュレートします。
流体における 圧力(Pressure)の完全なエフェクトを確認するには、前方への移流(Forward Advection)をオンにします。圧力(Pressure)は、放出された流体がほんの少量でも、乱流モーションを伴ってすばやく拡散させることができるため、爆発エフェクトの場合に便利です。
温度(Temperature)がグリッドで徐々に分散する比率を設定します。各時間ステップごとに、温度(Temperature)が 1 つ 1 つのボクセルから除去されます(温度(Temperature)値は小さくなっていきます)。
圧力(Pressure)が適用される温度の値をボクセル単位で指定します。圧力のしきい値(Pressure Threshold)よりも温度が低いボクセルには、圧力(Pressure)は適用されません。
温度(Temperature)がダイナミック グリッド(Dynamic Grid)のボクセル間で分散する比率を設定します。
温度(Temperature)に適用される乱気流の乗数。
シミュレーション ステップそれぞれについてボクセルの温度値をランダム化します。ノイズ(Noise)は一定の割合で温度に適用されます。この割合は、速度の変化による影響を受けません。ノイズ(Noise)を使用して、スムーズなフロー エフェクトとテクスチャ グリッドに詳細を追加することができます。
ノイズ(Noise)は乱気流(Turbulence)に類似したエフェクトを生み出しますが、ランダム化の方法が異なります。ノイズ(Noise)はステップごとに温度の値をランダム化しますが、乱気流(Turbulence)は温度(Temperature)グリッドを基準に速度をランダム化します。
張力(Tension)は温度を丸みのある形状に押し出し、温度の境界線を、流体内でより明確にします。大きな値を設定した場合、張力(Tension)は流体温度をグリッド内の個々のエリアに強制します。流体エフェクトにおけるこの張力(Tension)のエフェクトは、液体における表面張力のエフェクトに似ています。張力(Tension)はボクセルの速度に影響を与えません。
張力(Tension)を使用して、クラウド エフェクトや煙エフェクトにぷっくりした感じを与えることができます。また、張力(Tension)は、高詳細ソルバ(High Detail Solve)の使用時に現れるアーティファクトを除去するためにも使用できます。
密度(Density)と燃料(Fuel)を組み合わせて、反応が発生する状況を定義します。密度(Density)値は反応させる物質を、燃料(Fuel)値は反応の状態を表します。温度(Temperature)は、燃料(Fuel)を「燃焼」させて、反応(たとえば、爆発エフェクト)を開始させることができます。反応が進むにつれて、燃料値は未反応(値 1)から完全反応(値 0)へと変わっていきます。
燃料(Fuel)は発火温度(Ignition Temperature)以上の温度で燃焼します。
コンテナで設定された燃料(Fuel)値を掛け合わせます。
反応スピード(Reaction Speed)は、温度(Temperature)が最高温度(Max Temperature)値以上になったときに、反応が値 1 から値 0 に変化していくスピードを設定します。1.0 に設定すると、瞬時に反応が起こります。
設定されたボリュームの燃料を完全に燃焼させるために必要な密度の量を設定します。たとえば、ガソリンを燃やすには、燃料の 15 倍の空気が必要です。ガソリンの火をシミュレートするには、空気/燃焼比(Air/Fuel Ratio)を 15 に設定します。
空気/燃焼比(Air/Fuel Ratio)を使用する場合、燃料は、流体で密度と燃料が混在する領域(拡散領域)でのみ燃えます。この結果、境界や形状がリアルで、より見栄えのいい炎ができあがります。空気/燃焼比(Air/Fuel Ratio)を 0 に設定すると、炎は酸素の中にあるかのように均一に燃えます。
発火温度(Ignition Temperature)は、反応が起こる最低温度を設定します。この温度では反応レートは 0 で、しだいに反応スピード(Reaction Speed)で設定された値により、最高温度(Max Temperature)の値に上がっていきます。
最高温度(Max Temperature)は、反応が最速で起こる温度を設定します。
放熱量(Heat Released)は、反応全体にわたって温度(Temperature)グリッドに放出される熱の量を設定します。これは、最初の発火が起こってから持続される反応の数を示しています。指定されたステップで追加される熱の量は、反応したマテリアルのパーセンテージに比例します。このオプションを使用するには、温度方法(Temperature Method)をダイナミック グリッド(Dynamic Grid)に設定しておく必要があります。
発光量(Light Released)は、反応によって放出される光の量を設定します。この値はシェーディングの最終的な白熱光輝度に直接追加され、グリッドには入力されません。
ライト カラー(Light Color)は、反応によって放出される光のカラーを設定します。発光量(Light Released)アトリビュートと、指定された時間ステップで反応した密度(Density)量の組み合わせによって、このライトの全体的な明るさがスケールされます。
カラー(Color)がグリッドで分散される比率を設定します。
ダイナミック グリッド(Dynamic Grid)でカラー(Color)が隣接したボクセルに拡散していくレートを設定します。