ランナー プロパティ

ランナーの形状および直径は、効果的な金型設計をする上で重要な要素です。

ランナーの形状は溶融状態に維持される樹脂の体積に影響し、直径はランナー内の樹脂温度に影響し、その結果、製品の品質と材料の浪費に影響を与えます。

形状の影響

ランナーの断面形状は、ランナー システム内の樹脂流動に影響を与えます。高温の樹脂が、低温の金属であるランナーに接触すると、層状に固化し、ランナー表面にスキン層が形成されます。ランナーの中心部は、樹脂が金型に射出される間、溶融状態のままです。下図は、異なる形状のランナーの溶融樹脂のコア層を示しています。



円形の断面では、溶融状態の樹脂の割合が最も高くなります。円弧または抜き勾配の大きい断面を持つランナーは、矩形または正方形の断面のランナーより、金型から突出しやすくなります。

樹脂流動と突出を考えた場合、円形のランナーが最適ですが、このタイプのランナーは最もコストがかかります。これは、ランナーを両方のプレートに切断する必要があり、ランナーの両方の分割面がぴったりと合致するように切断するのが困難であるためです。

妥協策として、台形の断面を使用することもできます。台形のランナーでは、多くの場合、流動と突出の特性で許容範囲を維持できるうえ、円形のランナーより生産コストがかかりません。

円形のランナーを使用する場合は、断面の流動効率の低減によって発生する射出圧力の上昇を防止するために、ランナーの分割面の整合性に注意する必要があります。下図の左側のランナーは正確に一致し、右側のランナーの溶融中心部は小さく、流動抵抗が発生します。


金型の整列

直径の影響

ランナーの直径が小さい場合、ランナーでせん断熱が発生するため、ランナー内の樹脂温度がバレル内の樹脂温度よりも高くなる場合があります。高い樹脂温度は、残留応力のレベルと成形品の反りを低減させますが、バレル温度より高い場合、材料は劣化することがあります。

材料の浪費を最小化し、必要なバレル温度を低減するには、断面積が小さいランナーを設計します。

注: ランナーの直径は段階的に変化させます。ランナー直径とゲート直径、またはゲート直径と成形品表面肉厚の寸法に大きな違いがないようにします。これらが交差する箇所において肉厚に大きな違いがある場合、次のような成形の問題が発生する可能性があります。
  • 流動抵抗の急激な変化
  • 不安定な流動
  • 射出圧力の増大