PA12 樹脂

PA12 (ポリアミド 12 またはナイロン 12) は、有効な電気絶縁体で、その特性は他のポリアミド程、湿度に敏感ではありません。PA12 には、良好な耐衝撃性と多くの薬品への耐性があります。可塑剤および強化剤を使用することで、大幅な修正が可能です。PA6 および PA66 と比較して、PA12 樹脂は融点および密度が低く、再吸湿性は大幅に低くなります。PA12 は強酸化剤への耐性は劣ります。

代表的な用途

射出成形条件

乾燥
成形前の含水率は 0.1% 未満であることが必要。材料が大気にさらされた場合、推奨乾燥条件は 85℃の熱風炉で 4~5 時間 (乾燥剤除湿機では 3~4 時間)。梱包が未開封の場合は、3 時間の成形工場の温度への平衡化後、直接使用が可能。
樹脂温度
230~300℃。標準グレードでは 310℃以下、難燃性グレードでは 270℃以下。
金型温度
非強化グレードでは 30~40℃、薄肉または表面積の広い構成部品では 80~90℃を使用可能、強化グレードでは 90~100℃。金型温度が上昇すると、結晶化度が高くなる。金型温度の適正な制御が非常に重要。
樹脂射出圧力
最大 100 MPa。低保持圧と高樹脂温度を推奨。
射出速度
高速 (高速により、ガラス充填グレードでは良好な仕上げが実現できる)。

ランナーとゲート

非充填グレード使用時のランナー直径は、材料粘度が低いため、3~5 mm 程ですみます。強化グレードの場合は、より大きな直径が必要です (5~8 mm)。ランナー形状は、完全な円形タイプである必要があります。スプルーの長さはできる限り短くします。

さまざまなゲート タイプを使用できます。構成部品に高い応力、または過度な収縮が発生するのを防止するために、大型成形品では小さなゲートは使用できません。ゲートの厚みは、成形品の肉厚と同等である必要があります。円形テーパー ゲート使用時の推奨最小直径は 0.8 mm です。

ホット ランナー金型を効果的に使用することは可能ですが、材料のドルーリング (鼻たれ) またはノズルでの固化を防止するために、正確な温度制御が必要となります。コールド ランナーの代わりにホット ランナーを使用する場合、ゲート サイズは小さくできます。

化学的特性および物理的特性

PA12 は、ブタジエンから派生する線状の結晶性熱可塑性樹脂です。PA12 と PA11 の特性は類似しますが、結晶構造は異なります。

粘度は含水率、温度、およびバレル滞留時間によって決定されます。この樹脂は高い流動性を示します。収縮は、約 0.005~0.02 mm/mm (0.5~2%) です。この値は、特定のグレード、肉厚、および成形条件によって異なります。