インテリジェント解析制御

インテリジェント解析制御は、Autodesk® CFD の解析の安定性の要となる機能の 1 つです。Autodesk® CFD は、各自由度の傾向を調べるための要素コントロールを採用することで、収束解を得るための収束のコントロールと時間ステップ サイズを自動的に調整します。解が、ある収束計算ステップから次のステップに非常に速く変化した場合、解の安定性を保つために、このアルゴリズムは自動的に解析の進行速度を遅くする。一方、解の変動が遅く、安定的に計算できている場合、このアルゴリズムは繰り返し計算数を減らして解析結果を得るために解析の進行速度を速くする。

インテリジェント解析制御は、複数の解析の種類(以下に説明する)に対して初期設定で有効になっているが、解析制御ダイアログ(計算タスクダイアログから起動)で無効にすることができます。

インテリジェント解析制御によって選択された収束コントロール値は、3番目のプルダウンメニューの緩和パラメータを選択し、収束モニターにプロットすることができます。

収束計算全体に対するすべての自由度の収束コントロール値が表示される。

インテリジェント解析制御が有効になっていても解析が収束しない場合は、より細かいメッシュが必要となるかもしれません。さらに、適用した条件や材料を調べ、その物理現象を正しく再現できることを確実にする必要があります。メッシュ、あるいは物性値の修正を行っても、インテリジェント解析制御による収束解が得られない場合、担当のテクニカルサポートに連絡すべきである。

インテリジェント解析制御がさまざまな解析タイプに適用される方法について説明します。

定常

<:fc 7>インテリジェント収束制御は、解の安定性を保つために時間ステップサイズと収束コントロールを変更する。収束コントロールのマニュアル調整が必要とされた物理的な要求厳しい解析結果についても、実際上マニュアル調整による解析実行の必要は無い。

定常解析は、インテリジェント解析制御が有効になっている場合、内部的には非定常解析として実行される。それぞれの時間ステップは、1つの内部反復数で構成されるため、解析時間が著しく増加する(時間的に変化する非定常解析でしばしば見られるような)ということはない。このため、それぞれの時間ステップが1回の収束計算として取り扱われる。したがって、保存されるファイルの名前の命名規約は次のとおりである。

analysisname.res.s#

ここで、analysisname は Autodesk® CFD の解析名、# は時間ステップの番号です(定常解析の場合は収束反復回数が使用されます)。

注: インテリジェント解析制御が無効になっている場合も同じ命名規則が使用されます。

定常解析を実行する場合、計算ダイアログで解析モードとして 定常解析 (デフォルト)が選択されていることを確実にします。さらに、解析結果の保存間隔を指定する場合、初期保存間隔は収束計算数で表示されている(秒の代わり)。

インテリジェント解析制御は、温度の計算には若干異なった動作を行う。収束コントロールと時間ステップを変更する他の解析変数とは異なり、温度については時間ステップのみ変更される。この結果、温度の収束コントロールの値(ダイアログにて設定)は、エネルギー方程式の収束速度に影響を与える。内部的に時間ステップを変更することにより、インテリジェント解析制御は、解析実行中のエネルギーソルバーの安定性を維持強化する。

モーション運動がない場合の非定常解析

物体の運動が無い非定常解析では、インテリジェント解析制御は時間刻み幅のみを変更し、収束コントロール設定は変更しません。これは、解の時間精度に人工的な影響を与えることを防ぐためである。(収束コントロールを小さくすることは、解析の伝播速度を遅くします。したがって、運動が無い非定常解析では収束コントロールのデフォルト値の使用をお勧めします)。

場合によっては、インテリジェント解析制御が選択した時間刻み幅は、実際に収束解を得るための値よりも小さいことが分かっており、この結果、計算時間が著しく長くなる可能性があります。この理由により、インテリジェント解析制御は、デフォルトでは無効になっている。解析モデルの物理的特性に応じて、時間刻み幅を手動で設定することが望ましい。

モーション運動がある場合の非定常解析

固体のモーション運動の解析では、インテリジェント解析制御はデフォルトでは無効となっています(必要に応じて有効にすることは可能)。モーション運動は事前に定義されており、時間刻み幅を小さくするため、解析の安定性が若干増加するものの計算時間が長くなる。

流体によって駆動されるモーション運動の解析では、インテリジェント解析制御を有効とすることを推奨する。時間ステップは、1ステップあたりの1要素のみ通過するように調整される。物体の速度が速くなると、解の安定性を保つために自動的に時間ステップが小さくなる。物体の運動が遅くなると時間ステップは自動的に大きくなりますが、計算ダイアログでマニュアル指定した時間刻み幅を超えることはありません。

インテリジェント解析制御は、物体の移動を伴う非定常解析で使用するために最適化されており、流れによって駆動される運動への適用を推奨する。

回転領域を取り扱う非定常解析

回転領域の解析では、インテリジェント解析制御がデフォルトで無効となっています(必要に応じて有効にすることは可能)。回転速度は事前に決まっており、時間刻み幅を小さくするため、解析の安定性が若干増加するものの、計算時間は長くなる。

自由回転あるいは既知のトルクによって駆動される回転の解析に対して、インテリジェント解析制御を有効にすることを推奨する。この機能は、解析実行中に時間刻み幅を自動的に決定し、変更する。この機能は、解析実行中に時間ステップを自動的に決定し、変更する。この基準は、回転解析の安定的な解析に極めて有効であることが確認されている。