解析のスケジュール

解析をライブではなく、時間を置いて実行するようにスケジュールできます。たとえば、日中作成した複数の設計シナリオ(または複数のモデル)を夜間に実行するようスケジュールできます。スケジュールされたタスクを実行するために、Windows® タスク スケジューラを使用します。スケジュールされたイベント エントリを作成するためにソルバ マネージャを使用します。基本的な手順は、次のとおりです。

  1. FEA エディタでは、モデルを開くまたは作成する、荷重および拘束を適用する、要素データ、材料、解析パラメータを定義する、などを行います。通常実行するすべての操作を行った後で[シミュレーションを実行]コマンドをクリックします。ただし、シミュレーションは実行しないでください。
    重要: 適用可能なパーツすべてに対してソリッド メッシュを作成するには、解析ジョブのスケジュール前に[モデルをチェック]コマンドを使用します。ユーザ インタフェースからジョブを実行すると、ソリッド メッシュの作成が自動的に行われます(まだ完了していない場合)。しかし、タスク スケジューラからジョブを実行する場合、ソリッド メッシュの作成は自動的に実行されません。前回サーフェス メッシュ処理されてからモデルがチェックされていない(または既に解決されている)場合、解析は正しく実行されません。最も便利な方法は、最初の設計シナリオをチェックした後に追加の設計シナリオを作成することです。最初の設計シナリオからソリッド メッシュがコピーされます。これ以降の設計シナリオで[モデルをチェック]操作を実行する必要はありません。
    ヒント: 特定の解析を設定するために 1 つまたは複数のダミー ファイルの作成が必要になる場合があります。また、前提条件解析の結果が使用可能になるまで解析を完全に設定できない場合もあります。後者の場合、前提条件解析と従属解析のソリューションは両方ともスケジュールできません。詳細については、以下の「解析のスケジュール時のマルチフィジックスの考慮事項」を参照してください。
  2. [解析][解析][ソルバ マネージャ]をクリックして[ソルバ マネージャ]ダイアログ ボックスにアクセスします。
  3. [解のセットに含める]列の該当するボックスをオンにして、解析する各設計シナリオをアクティブにします。
  4. 解析をスケジュールするには、該当する設計シナリオの行にある[開始時間]列をクリックします。現在の日時、または最近指定された開始時間が表示されます。
  5. [開始時間]列の左端のチェックボックスをオンにして、特定の開始日時をスケジュールします。
  6. 時間、分、秒の値をクリックして、解析を開始する時刻の時間、分、秒を入力します。設計シナリオの複数の解析は、同じ時間に開始することも一意の時間に開始することもできます。
    重要: ある設計シナリオが別の設計シナリオの結果に従属し、両方のシナリオを完全に設定することが可能な場合、それに応じてそれぞれの開始時間をスケジュールします。前提条件解析は、従属解析が開始する前に完了する必要があります。詳細については、以下の「解析のスケジュール時のマルチフィジックスの考慮事項」を参照してください。
  7. [開始時間]列の右端にあるアイコンをクリックしてポップアップ カレンダーにアクセスします。必要に応じて、順方向と逆方向の矢印を使用して目的の月に移動します。その後、解析を開始する日をクリックします。
  8. 解析を実行する[ターゲット コンピュータ]を選択します。
  9. スケジュール設定する現在のモデル内の追加の各設計シナリオに対して、手順の 4 から 8 を繰り返します。
  10. 表示されたフィールドにユーザ名パスワードを入力します。タスク スケジューラには、Windows® のログイン資格情報が必要です。
  11. [解析]をクリックします。この操作により[ソルバー マネージャ]ダイアログ ボックスが閉じ、解析タスクまたはタスクが Windows® タスク スケジューラに追加されます。
  12. 解決のスケジュールを設定する追加のモデルに対して、手順の 1 から 11 を繰り返します。
  13. 各解析が、それぞれの開始時におけるモデルの状態に応じて、スケジュールされた時刻で開始されます。モデルに対して、スケジュールされた時刻と解析の開始時間の間に加えられた変更は解析に影響します(その変更が保存されている場合)。
注: いったん 1 つまたは複数の解析をスケジュールしたら、Simulation Mechanical を実行したままにしておく必要はありません。Windows® からログアウトすることもできますが、コンピュータはオンのままにしておく必要があります。スケジューラはシステムレベルのサービスで、コマンド ラインからシミュレーションを実行します。

スケジュールされた時刻になると、Windows® デスクトップにコマンド ウィンドウが表示されます。解析はコマンド ラインから実行されます。Simulation Mechanical ユーザ インタフェースは実行中の解析を認識せず、その進行状況も監視しません。スケジュールされた解析が終了した後、Simulation Mechanical でモデルを開いて結果を確認できます。[結果]環境が表示されない場合は、[モデルをチェック]操作を実行します。結果が現在のモデルの設定と一致していないという警告が表示されたら[はい]を選択します。その後、モデルが[結果]環境に表示されます。

解析のスケジュール時のマルチフィジックスの考慮事項

多くの場合、1 つの解析の結果は別の解析の入力または荷重として使用できます。マルチフィジックスとは、この形式での解析タイプの組み合わせを説明する用語です。

異なるモデル、およびモデル内の設計シナリオは、同時に実行できる場合もそうでない場合もあります。解析を連続で実行することを要求するマルチフィジックス スキーマがいくつかあります。2 つの解析を設定し、順番に実行するようスケジュールできる場合があります。モデルを設定し、1 つずつ実行する必要がある場合もあります。有効なマルチフィジックス スキーマの例をいくつか示します。

熱応力

温度を定常または非定常熱伝達解析から線形静解析へと読み込み、熱応力を計算することができます。温度を適用するには 2 つの方法があります。

  1. [解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[熱]タブで、Simulation Mechanical または Autodesk CFD のモデル、設計シナリオ、荷重ケースを指定して節点温度のソースとして使用する。
  2. [ファイルから入力]コマンドを使用して、温度の入力に使用する結果ファイルの名前を指定する。

方法 A では、後続の応力解析を設定するためには、事前に熱解析を実行する必要があります。その解析の結果が出るまで、熱ソース モデル、設計シナリオ、または荷重ケースを選択することはできません。この場合、ソルバ マネージャを使用して前提条件(熱)解析と従属(応力)解析の両方をスケジュールすることはできません。モデル設定が不完全な場合、解析をスケジュールすることはできません。最初に、熱解析を実行します。その後、応力解析の設定を完了して実行できます。

逆に方法 B の場合は、熱解析と応力解析の両方のシナリオを完全に設定し、連続で実行するようにスケジュールすることができます。応力解析の設定を容易にするためには、ダミーの熱解析結果ファイルが必要です。以下の手順に従います。
  1. Windows® のメモ帳を使用してダミーの結果ファイルを作成します。定常熱伝達解析の場合は DS.TO、非定常熱伝達解析の場合は DS.TTO という名前をファイルに付けます。ソース モデルの熱設計シナリオ フォルダ内にこのファイルを置きます。
  2. このダミー ファイルを応力解析の設定に使用します。何も選択していない状態で表示領域を右クリックし、[ファイルから入力]コマンドにアクセスしてソース ファイルを選択します。また、[ファイルからの荷重ケース]、[構造荷重ケース]、および[乗数]の値を指定します。詳細については、ここをクリックしてください。
  3. 定常温度を使用して、非線形静解析を実行するときに温度を制御する荷重曲線を定義します。
  4. [ソルバ マネージャ]ダイアログ ボックスを開きます。熱解析と応力解析を連続して実行するようにスケジュールします。応力解析が開始する前に熱解析が完了するように、2 つの開始時間の間には十分な時間差を設けてください。

静電力による応力と変位

静電解析から静電力を出力し、その力を応力解析で構造荷重として使用することができます。ワークフローは、上で説明した 2 番目の熱応力の方法と同じです。このワークフローでは、ダミー ファイル名は DS.EFR で、力の結果は[ファイルから入力]コマンドを使用して応力解析にも適用されます。

  1. Windows® のメモ帳を使用してダミーの結果ファイルを作成します。ファイルに DS.EFR という名前を付けます。ソース モデルの静電設計シナリオ フォルダ内にこのファイルを置きます。
  2. このダミー ファイルを応力解析の設定に使用します。何も選択していない状態で表示領域を右クリックし、[ファイルから入力]コマンドにアクセスしてソース ファイルを選択します。また、[ファイルからの荷重ケース]、[構造荷重ケース]、および[乗数]の値を指定します。
  3. 非線形静解析を実行するときに静電力荷重を制御する荷重曲線を定義します。
  4. [ソルバ マネージャ]ダイアログ ボックスを開きます。静電解析と応力解析を連続して実行するようにスケジュールします。応力解析が開始する前に静電解析が完了するように、2 つの開始時間の間には十分な時間差を設けてください。

ジュール熱

静電解析の電流の結果を熱解析の入力として使用して、ジュール熱効果を生み出すことができます。このワークフローでは、静電電流結果のソースは[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[電気]タブで指定します。

  1. Windows® のメモ帳を使用してダミーの結果ファイルを作成します。ファイルに DS.EFO という名前を付けます。ソース モデルの静電設計シナリオ フォルダ内にこのファイルを置きます。
  2. このダミー ファイルを応力解析の設定に使用します。[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[電気]タブに移動します。[ジュール効果フラグを計算するために、静電的な結果を使用]オプションをアクティブにします。
  3. 電流が流れているパーツに[発熱]荷重を追加します。[内部発熱]の値を 1 に指定します。静電電流結果に基づく実際の発熱量は、解析の実行時に要素単位で置き換えられます。
  4. 非線形静解析を実行するときに発熱荷重を制御する荷重曲線を定義します。

スケジュールされたタスクを編集する

タスクの開始時間をスケジュールした後に編集するには:

  1. Windows® タスク スケジューラ([スタート][すべてのプログラム][アクセサリ][システム ツール][タスク スケジューラ])を使用します。
  2. 変更するタスクを見つけて選択します。Simulation Mechanical の各スケジュール済みタスクの名前は [ALGOR] Task_x という形式になります。
  3. タスクを削除するには[削除]コマンドをクリックします。それ以外の場合は、手順 4 に進みます。
  4. 開始時刻または日付を変更するには[プロパティ]コマンドをクリックします。
    • [トリガー]タブをクリックします。
    • [編集]をクリックします。
    • 開始時刻または日付を変更して[OK]をクリックします。

連続解析(バッチ ファイル方式):

バッチ ファイルを作成して、解析を連続で実行することができます。この機能は、algor.exe プログラムによって実現します。バッチ ファイルの手法は、前提条件解析と従属解析の間にどれくらいの時間を設ける必要があるかが分からない場合に役に立ちます。バッチ ファイルは、頻繁に繰り返す一連の解析の自動化にも使用できます。

バッチ モードで一連の解析を実行する手順は次のとおりです。

  1. Windows エクスプローラーまたはマイ コンピューターを使用してフォルダ内にバッチ ファイル(プレーン テキスト ファイル)を作成します(フォルダ内で右クリックして[新規作成][テキスト ドキュメント]を選択)。任意のファイル名を指定します。バッチ ファイルの拡張子は .BAT とします。
  2. バッチ ファイルを編集します(ファイルを右クリックして[編集]を選択)。
  3. 最初に解析するモデルのバッチ ファイルに行を追加します。構文は次のとおりです。
    “drive:\{path to Autodesk Simulation Mechanical}\algor.exe -s list drive:\{path to model}\{model filename}.fem”

    ここで

    • drive:¥{Autodesk Simulation Mechanical のパス} は、Simulation Mechanical ソフトウェアの場所を示す完全パスです。(このパスが PATH 環境変数に含まれている場合、パスを指定する必要はありません。)
    • algor.exe は解析を実行するプログラムです。パスにスペースが含まれる場合、パスおよび algor.exe 文字列は引用符(" ")で囲む必要があります。
    • -s リストは解析する設計シナリオのリストです。リストは以下のいずれかとなります。
      • すべてファイル内のすべてのシナリオを連続処理します。このオプションは単独で使用しなければなりません。
      • アクティブファイル内のアクティブな(ロードされた)シナリオを処理します。このオプションは単独で使用しなければなりません。
      • m,n,r-t、カンマで区切られた各シナリオの連続処理(シナリオ m、n など)、およびハイフンで区切られた特定範囲のシナリオの連続処理(シナリオ r から t)、あるいはいずれか一方が実行されます。設計シナリオを 2 回以上リストすることはできません。
    • drive:¥{モデルのパス}¥ は、モデルの場所を示す完全パスです。
    • {モデルのファイル名}.fem は、解析するモデルの名前です。これには拡張子 .fem も含まれます。パスにスペースが含まれる場合、パスおよびファイル名の文字列は引用符(" ")で囲む必要があります。
  4. 追加で解析するファイルがある場合、それぞれのファイルについて上記の手順を繰り返します。
  5. バッチ ファイルを保存して、終了します。
  6. バッチ ファイルをダブルクリックして、解析を開始します。または、Windows® タスク スケジューラ([スタート][すべてのプログラム][アクセサリ][システム ツール][タスク スケジューラ])を使用して、特定の時刻に開始するようにバッチ ファイルをスケジュールします。

たとえば、次のバッチ ファイルでは、bracket という名前のモデル内の設計シナリオ 1 および 3 が解析されます。このモデルが完了すると、structure という名前のモデル内の設計シナリオ 2 から 5 が解析されます。その後、pipe run という名前のモデル内のすべての設計シナリオが解析されます。

"C:\Program Files\Autodesk\Simulation 20xx\algor.exe" -s 1,3 "D:\my FEA models\job1\bracket.fem"
"C:\Program Files\Autodesk\Simulation 20xx\algor.exe" -s 2-5 "D:\my FEA models\job2\structure.fem"
"C:\Program Files\Autodesk\Simulation 20xx\algor.exe" -s all "D:\my FEA models\job3\pipe run.fem"