トラブルシューティング: 接触の例

隣接する部品間の接続では、さまざまなタイプの問題が発生します。1 つの問題は、節点が意図的または必要に応じて相互に接続されていないことです。2 つの異なる要素タイプで構成される部品が接続された場合は、各節点で自由度(DOF)が最小の要素タイプが接続の動作を決定します。たとえば、回転 DOF がない要素(ブリックおよび 4 面体など)は、モーメントに抵抗できません。このため、これらの接続には回転剛性がありません。サポートされる節点自由度が、部品間で伝達される荷重タイプを決定します。このページでは、これらの問題のいくつかを説明し、目的の接続特性を作成する方法を提供します。

注: このページでは、スマート接着について特に言及している場合を除き、メッシュが一致する必要がある接触について説明します。

プレートとブリックの接着接触:

これは、各部品の自由度が異なることに関する問題です。ブリックには、3 つの並進自由度(Tx、Ty、Tz)のみがあり、プレート(およびシェル)には、要素の垂直方向の回転を除くすべての自由度があります。そのため、ブリックからプレートに対して、プレートの回転を妨げるモーメントを適用することはできません。特別な考慮事項がない場合、複数の節点を持つ直線に沿ったプレートとブリックの接続ではヒンジが発生します。この状態を示したものが図 1 です。線形静的応力の場合、ヒンジ接続によりモデルが静的に安定しない結果になることが多くなります。しかし、下の図の例ではプレートの反対側の端点を拘束することで安定しています。

図 1: ヒンジが発生するブリックとプレートの組み合わせ

黒の矢印はヒンジ線を表しています。右側にある側面図は、プレートがどのように変形するかを示しています。ヒンジ線での回転に注目してください。プレートの自由端が支持されていなかった場合、プレートはヒンジ線の周りを自由に回転し、その結果静的に不安定な構成になります。

このヒンジ発生を回避するためには、プレートとブリックの接着接触を一定の範囲(具体的には、同一直線上にない少なくとも 3 つの節点)に分散させる必要があります。図 2 を見てください。

図 2: 静的に安定なブリックとプレートの組み合わせ

上の方法では、1 要素分のプレートがブリック内に埋め込まれています。(ブリックとプレートの間の空間を示すために、要素は縮小されています。)この方法は、手動で作成した(構造化メッシュ)モデルに適用できます。下の方法では、ブリックの表面でプレートの T 字型接続が作成されています。右側にある側面図では、ブリックとプレート接触面に働く反力を矢印で示しています。(この反力は、実際はブリックとプレートの節点間に伝達される力です。)この偶力がモーメント荷重に抵抗できることから、プレートは静的に安定した状態になります。

ブリックとビームの接着接触:

ビームとブリックの接続では、プレートとブリックの接続と同様の問題、つまり、ブリックと接続するビームで回転が発生するという問題があります。ビームは 6 つの自由度(3 つの並進と 3 つの回転)をすべてサポートしますが、ブリックは 3 つの並進自由度(Tx、Ty、および Tz)のみをサポートします。その解決方法もプレートとブリックの接続の場合と同様です。つまり、ビームのウェブ(またはスポーク)を作成してブリックに接続します。静的に安定な構造にするために、ビームとブリックは、同一直線上にない少なくとも 3 つの点で接続する必要があります。1 つの点でブリックにアタッチされたビームは、ボール ジョイントのように動作します。その結果、通常静的に不安定なモデルとなります。図 3 に例を示します。

図 3: 静的に安定なブリックとビームの組み合わせ

左側の図はビームとブリックを一緒に示したもので、中央の図はビームのみを示したものです。複数の点でブリックに接続している 4 本のビームと垂直な部材がどのように接続しているかに注目してください。右側の図のようにビームにトルクが加わった場合、黒の矢印で表されているブリックからの応力が働きます。

注: スポーク付きビームを自動的に作成する方法は、応用対象に応じてさまざまです。荷重(たとえばトルク)を適用する場合は、面を選択して右クリックし、[追加] [リモート荷重を作成]コマンドを使用します。CAD モデルで作業する場合は、[作成] [デザイン] [図心作成]を使用して、表面の図心に作図点を作成します。「リモート荷重および拘束」ページおよび「ジオメトリを追加する」ページをそれぞれ参照してください。
ヒント: このソフトウェアの旧バージョンでは、ビームをブリック部品にアタッチするのは、ブリック部品にモーメントを適用する方法の 1 つでした。別の方法は、ブリック表面の周囲に対して接線方向の節点力を複数追加することでした。現在のソフトウェアでは、ブリック部品の表面にモーメント荷重を直接適用することができます。詳細については、「モーメント」ページを参照してください。

プレートとビームの接着接触:

プレートとビームを結合する場合、考慮すべき状況は 2 つあります。

  1. プレートは、その面に垂直な軸周りのモーメントに抵抗することができません。そのため、プレートに垂直なビームを接続した場合、ビームの回転が発生することになります。この状況を回避するには、静的に安定なモデル構造にするために、垂直なビームの端点からプレートの他の節点までのビーム(スポーク)を複数追加することをお勧めします。この方法は、図 3 に示すビームとブリックの接続の場合と同様です。
  2. プレート上にビームが重なったモデルを作成する場合、プレート要素の中立面およびビーム要素の中立軸を描画することになります。したがって、プレートに沿ってビーム部品を作成すると、ビームの中立軸がプレートの中立面に沿った状態になります。ほとんどの場合、これは正確ではありません。FEA エディタ環境で、この状況を適切にモデリングするには、2 つの方法があります。
    • ビームの中立軸とプレートの中立面を実際の位置に作成し、効果的な剛性を持つビームを用いて複数の場所でこれらを接続します。
    • プレートの中立面に沿ってビームの中立軸を描画します。次に、[選択] [選択] [ライン]を使用して、ビーム要素を選択します。表示領域内で右クリックし、右クリック メニューから[追加] [ビーム オフセット]を選択します(または[セットアップ] [梁荷重] [ビーム オフセット]リボン コマンドをクリックします)。ビームの作成位置と中立軸の実際の位置間の距離と方向を指定します。たとえば、高さ 8 インチの幅広なフランジ ビームが、厚さ 0.5 インチのプレートに沿って接続されている場合、適切な方向のオフセット距離は 4.25 インチ(プレートの厚さ半分とビームの高さ半分の合計)になります。