「前面」および「後面」という言葉は、この章で何度も登場します。これらのシェーダは特別にフォーマットされたライトマップを使用して散乱をシミュレートします。ライトマップはイメージ空間で(すなわちカメラの視点から)生成され、オブジェクトの前面および後面の拡散放射および Z 深度を保持します。
このとき、「前面」はカメラの視点にいちばん近い(カメラの方を向いている)サーフェス、「後面」はカメラの視点から 2 番目にある(カメラの反対方向を向いている)サーフェスです。
最終レンダリングにおいて表示されるのは前面のサーフェスだけで、後面のサーフェスとその陰にあるサーフェスは、照明を受けると、オブジェクトを通過する光を散乱し、前面のサーフェスを照らす可能性があるサーフェスだと言うこともできます。現実的に言うと、これは前面のサーフェス スキャタリングは目に直接見え、後面のサーフェス スキャタリングはオブジェクトを貫通するすべての光であるということになります。
このことは、これらの機能が方向に依存し、ファイナル レンダーを見る方向がカメラの視線方向に近いか類似している場合にのみ動作し、ビュー投影は標準的なパースビューまたは正射投影であることを意味しています。以下の点を考慮する必要があります。
物理実装とは異なり、これらのシェーダではフォトン、グローバル イルミネーション、コースティクス、さらにはレイトレーシングも有効にする必要はありません。
何らかの「貫通」散乱(オブジェクトの後面から前面に通過する光など)を計画している場合は、モデルの作成時にボリュームを考慮しておく必要があります。必ずしも穴を回避する必要はありませんが、光を遮ってしまうので、内部の余分なサーフェスには注意する必要があります。たとえば、2 つの立方体を引き伸ばして組み合わせるて「T」の形を構築すると、内部の余分なサーフェスが原因となり、正確には見えなくなります。しかし、あるオブジェクトの内部に完全に埋め込まれたオブジェクトは、実際に組み込まれている不透明なオブジェクトに見えます。たとえば、懐中電灯に手をかざした場合の指の骨などに使用することができます。埋め込まれたオブジェクトを光を遮るオブジェクトとして作用させるにはライトマップに追加する必要があります。その他の埋め込まれたオブジェクトは、単純に無視されます。埋め込まれたオブジェクトは実際に表示されたりシェーディングされたりすることはなく、単に光を遮るだけなので、同じマテリアルを適用すると簡単です。
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