モデルの単位の設定によって問題が発生することがあります。よくある問題について理解しておくことで、その問題の発生を回避することができます。この項では、モデリングを行うユーザが最もよく経験する問題を 2 つ取り上げます。
この問題は、非常に小さいスケールでモデリングを行った後、カメラ ビューポートまたはパース ビューポートでモデルに非常に接近すると発生します。この種の問題が特に発生しやすいのは、建築などの分野でのウォークスルー アニメーションです。パスに沿ってカメラを移動し、壁に非常に接近したあるポイントに達すると、突然壁の向こう側の部屋が透けて見えることがあります。
通常、この問題は、次の 2 つの方法で修正できます。
手動ビューポート クリッピングをオンにする:
手動ビューポート クリッピングをオンにし、オブジェクト全体が表示されるように調整します。ビューポート クリッピングには、近接範囲と遠方範囲の設定があります。カメラが[近接クリップ](Near Clip)の値よりオブジェクトに接近すると、オブジェクトの向こう側が透けて見えます。同様に、カメラが[遠方クリップ](Far Clip)の値よりオブジェクトから離れると、そのオブジェクトはカメラに映らなくなります。
オブジェクトが再表示されれば、クリッピング平面が正しく設定されたことになります。
シーン全体のスケール:
作業時の単位が問題にならない場合は、シーン全体をスケールして、オブジェクトがビューポート クリッピングの影響を受けないようにします。
シーン内のオブジェクトが大きくなりますが、オブジェクト間の距離も長くなります。つまり、シーンを大きくスケールすると、周囲のオブジェクトからカメラが遠くなります。
現実世界の単位、たとえばインチやメートルを使用する必要がある場合は、モデリングを開始する前にシーンのスケールを設定する必要があります。たとえば、[システム単位スケール](System Unit Scale)の値を既定値の 1 単位 = 1 インチから 1 単位 = 0.1 インチまたは 0.01 インチのように変更します。
モデリングを開始してから[システム単位スケール](System Unit Scale)の値を変更した場合、[ワールド単位を再スケール](Rescale World Units)を使用してシーンを再スケールしなければならなくなります。
ズームやパンの速度が速すぎたり遅すぎたりする場合は、通常、[システム単位スケール](System Unit Scale)の設定に問題があると考えられます。3ds Max では、非常に遠いか近い距離を扱う際、丸めエラーが発生することがあります。こうした丸めエラーは、法線の反転や不適切なビューポート クリッピングといった問題の原因になります。3ds Max には、太陽系の一角から地上を這うアリまで無限にズームする数値解像度は用意されていません。
[システム単位スケール](System Unit Scale)の値を変更する場合は、モデリングを開始する前に変更します。どうしても後で設定する必要がある場合は、[ワールド単位を再スケール](Rescale World Units)でシーン全体を再スケールしてください。たとえば、コインのモデリングの場合など、小さいスケールを使用するなら、[システム単位スケール](System Unit Scale)を既定値の 1 単位 = 1 インチから 1 単位 = 0.1 または 0.01 インチに変更した方がよいでしょう。空港のような大きいスケールのシーンならば、[システム単位スケール](System Unit Scale)の値を大きくします。
スケールは最小の細部が標準的な 1 単位以下にならないようにします。この設定でシーンが快適かつ効果的に操作できないほど大きくなってしまう場合は、「近接」および「遠方」ショット用のカメラを含むシーンを別途作成するとよいでしょう。