カラー管理に OCIO 設定ファイルを使用する

OpenColorIO (OCIO)設定ファイルを使用すると、使用可能なカラー スペースとトランスフォームをコントロールすることができます。OCIO 設定ファイルは施設全体で使用できるように設計されていて、多くのソフトウェア アプリケーションでサポートされています。Maya とその他のアプリケーションで同じ OCIO 設定ファイルを使用すると、それらの間でカラーの互換性を確保することができます。OCIO の詳細については、http://opencolorio.org を参照してください。

設定ファイルを使用する場合は、ファイルによって指定されているカラー スペースのみを選択することができます。ネイティブでサポートされるカラー スペースは使用できません。また、設定ファイルでカラー スペースに対して特定のロールを定義する場合は、メニューによって異なる項目を使用できます。具体的には、設定ファイルの作成者は「レンダリング」ロールを定義してレンダリング スペース(Rendering Space)プリファレンスを目的の値にプリセットできます。

注: プリファレンスで設定ファイルを指定する代わりに、OCIO 環境変数を設定することができます。OCIO 環境変数が設定されているとき、カラー管理を有効化(Enable Color Management)OCIO 環境設定を使用(Use OCIO configuration)は両方とも、スタートアップ時、シーンのロード時、および新しいシーンで有効になります。さらに、OCIO 設定パス(OCIO config path)が、環境変数によって定義されたパスに設定されます。「カラー管理ポリシー(外部のプリファレンスファイル)を使用する」に記載されているようにカラー管理ポリシーを使用している場合は、OCIO 環境変数がオーバーライドされることにも注意してください。
  1. カラー管理(Color Management)プリファレンスで、カラー管理を有効化(Enable Color Management) が有効になっていることを確認します。
  2. OCIO 環境設定パス(OCIO config Path)には、有効な OpenColorIO 設定ファイルの絶対パスを入力します。
  3. OCIO 設定の使用(Use OCIO configuration)をアクティブにします。
    • 設定ファイルが有効でない場合は、ネイティブでサポートされているカラー スペースを使用するよう求めるプロンプトが表示されます。いいえ(No)をクリックすると、別の設定ファイルを選択するよう求めるプロンプトが表示されます。
    • 設定を切り替えるとき、カラー スペースは名前で対応します。現在のシーンで使用されているカラー スペースが現在の設定で定義されていない場合、メッセージが表示されます。また、イメージ入力ノードで見つからないすべてのカラー スペースは、アトリビュート エディタ(Attribute Editor)で赤色でハイライトされ、トランスフォームは適用されません。「見つからないカラー トランスフォームを修正する」を参照してください。
  4. OCIO 入力カラー スペース規則を使用(Use OCIO Input Color Space Rules)は、必要に応じて、ファイル(File)テクスチャやその他のイメージ入力をシーンに追加したときに標準的な OpenColorIO 規則を使用してこれらに最初の入力カラー スペースを割り当てるかどうかに応じて、切り替えることができます。OpenColorIO 規則は、カラー スペースの名前がファイル名に表示されるかどうかを考慮します。
    • OCIO 入力カラー スペース規則を使用(Use OCIO Input Color Space Rules)をオンにすると、OCIO 標準規則(OCIO Standard Rule)既定(Default)のみが入力カラー スペース規則(Input Color Space Rules)の下に表示されます。他の規則を追加したり、規則の順序を変更することはできません。既定(Default)規則のカラー スペースのみを指定することができます。このルールは、OCIO 標準規則(OCIO Standard Rule)で特定のファイルのカラー スペースが指定されていない場合にのみ使用されます。
    • このオプションをオフにすると、入力カラー スペース規則(Input Color Space Rules)で入力イメージにカラー スペースを割り当てるユーザ独自のルールを定義することができます。ただし、使用できるカラー スペースは OCIO 設定ファイルで定義されたものに限定されます。「入力ファイルのカラー スペースを割り当てる規則を定義する」を参照してください。

サポートされている OCIO の役割

Maya LT では、OCIO 設定ファイルで指定されている可能性のある次の役割をサポートしています。:
rendering
レンダリング スペースとして使用されます。
color_picking
色を選択するときに使用します。「カラー管理のカラー値を指定または検査する」を参照してください。
reference
他のカラー スペースとの間で変換するための接続スペースとして使用されます。

セッション中に OCIO コンテキストを切り替える

OCIO 環境設定ファイルを使用すると、本来はカラー変換ファイルを参照する環境変数であるコンテキストを使用できるようになります。コンテキストは、たとえば、ショットごとのカラー グレーディングを容易にするのに使用できます。

OCIO コンテキストを使用すれば、Maya LT を再起動することなくセッション中にそれらの値を変更できます。この操作を行うには、MEL コマンドを使用して環境変数を変更してから、カラー管理のプリファレンスを更新します。

たとえば、設定ファイルで SHOT という名前の、現在 abc123.spi1d に設定されているコンテキストを使用している場合に、これを ijk456.spi1d に変更するとします。この場合は、スクリプト エディタ(Script Editor)内で次の MEL 行を実行できます。
putenv "SHOT" "ijk456.spi1d"; 
colorManagementPrefs -refresh;