形状影響計算手法

モデルを構成する各要素の冷却結果の計算は、その周りにある周囲要素の影響を受けます。

形状影響における周囲要素では、中心にある黄色の要素の結果を計算する際に、オレンジ色の要素を明示的に使用します。モデルの他の要素は、1 つのバルク項としてまとめて扱います。



形状影響における周囲要素

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a: 自動 b: 理想的

形状影響によって、各要素の計算でどの周囲要素を使用するかが決まります。明示的に使用する周囲要素の数を増やすと、計算の精度は向上しますが、計算に使用するハードウェアへの負担も高くなります。冷却結果解析には、以下に挙げる 3 種類の形状影響計算手法が用意されています。

自動

自動(計算)手法では、要素ごとに正確な結果を得るうえで最小限必要な数の周囲要素を計算します。使用する周囲要素の数は、計算対象の要素ごとに異なります。

成形品要素の総数と冷却管要素の総数との比率は、モデルごとに指定されています。自動 (計算) 手法では、成形品の周囲要素数と、隣接する冷却管要素数の比率を形状影響の計算に使用します。すべての要素について、この比率が、モデルの成形品全体の要素数と冷却管全体の要素数の比率に等しくなるように計算が行われます。

理想的

理想的(計算)方法では、各要素に発生する形状影響を、モデルにある他の要素をすべて考慮して計算します。この手法では最も高い精度を持つ結果が得られますが、一方で相当量のディスク容量と計算時間が必要になります。膨大な数の要素を持つモデルでは、ハードウェア面の制限、特に空きディスク容量の面で理想的(計算)方法の使用は実用的ではないことがあります。

パラメータ

この手法では、形状影響パラメータ(GIP)の値を指定できます。この値を使用して、形状影響の計算に使用する周囲要素の数を指定します。形状影響パラメータは、このパラメータの使用方法を示しています。



形状影響パラメータ

ここで、要素 A の平均長((x+y+z)/3)を計算し、それに GIP 値を掛けると、距離 d が得られます。要素 A の重心を中心とする半径 d の球体内に重心を持つすべての要素が、計算に使用されます。したがって、要素 B を計算に取り入れるには、要素 A の GIP を次のように計算します。

推奨する使用方法

問題がない限り、既定の自動(計算)手法の使用をお勧めします。[自動]オプションは、GIP 値を 10 に設定したパラメータ(計算)手法とほぼ同等です。大規模モデルでは、解析処理でハード ディスクに求められる負担を軽減するために、GIP 値を 6~-10 の範囲で選択することも考えられます。また、理想(計算)方法で問題が発生する場合は、20~30 の高い GIP 値を設定することも可能です。