熱伝達係数

熱伝達係数は、インサートとパーティング平面によって示される熱伝達率で、表面全体の熱伝達率の指標となります。

所定の温度および領域で熱流量が多い場合、熱伝達係数は高くなります。エアー ギャップなどが原因で熱伝達効率が悪い場合、熱伝達係数は非常に低い値になります。

熱伝達係数の使用方法

熱伝達係数は、冷却解析で金型インサートまたはパーティング平面に割り当てることができるオプションの属性です。インサート表面に、アセンブリ用の隙間のために低い熱伝達係数値がある場合、その温度差はギャップの両側間の温度差を表します。インサートが直接、樹脂に接触する場合は、インサートの温度は樹脂温度と同じです。

熱伝達係数を指定する場合

熱伝達係数値は、主に境界面の仕上げ(滑らかさ)と 2 つの金属表面の嵌合に応じて決定されます。インサートと主要金型材料との接触が大きい場合、解析プログラムは高い値を仮定するため、熱伝達係数を指定する必要はありません。また、インサート表面が直接、樹脂表面と接触する場合は、解析プログラムは非常に高い熱伝達係数を仮定し、このような表面に指定した値はすべて無視されます。

一般的な熱伝達係数値

接触タイプ 接触圧力 [MPa] 表面仕上 [µm] 熱伝導率 [W/m2C] +/- 10%
スチール/エアー/スチール(隙間なし) 0 通常研削 2500
スチール/エアー/スチール(隙間なし) 7 通常研削 21000
スチール/エアー/スチール(隙間なし) 15 通常研削 38000
スチール/エアー/スチール(隙間 0.5 mm) なし なし 50
スチール/エアー/スチール(隙間 1.0 mm) なし なし 25
スチール/グリース/スチール(エジェクタ ピンまたはスライド コア) 0 ラップ 2µm 半径方向隙間 75000
スチール/グリース/スチール(エジェクタ ピンまたはスライド コア) 0 ラップ 5µm 半径方向隙間 30000
ベリリウム銅/エアー/スチール (T/C = 130 W/mK) 330 通常研削 3700000