付録 A.3: ユーザ材料定数 #3: 進行性破損解析

3 番目のユーザ材料定数は、Helius PFA の進行性破損解析機能をアクティブ化または非アクティブ化します。進行性破損機能をアクティブにした場合、Helius PFA は定期的に母材と繊維の破損基準両方を評価し、これらの構成材料が破損していないかを判断します。各構成の破損基準は、対応する構成の平均応力状態に基づいています。ここでの説明のために、破損前非線形性が非アクティブ化されていると仮定します。1 つまたは両方の構成が破損する場合、破損した母材および繊維の剛性は、それぞれ 12 番目および 13 番目の材料定数によって指定された値に適切に低減されます。その後 Helius PFA は、各構成材料の現在の状態(破損している、または破損していない)に基づいて現在の複合材料の平均剛性を計算します。

3 番目のユーザ材料定数の値は、材料のミクロ構造に応じて異なる意味を持ちます。

一方向ミクロ構造: 1 の値で進行性破損解析機能がアクティブになり、0 (ゼロ)の値で進行性破損解析機能が非アクティブになります。

織物ミクロ構造: 0 (ゼロ)の値で進行性破損機能が非アクティブになります。1 の値で進行性破損機能がアクティブになり、破損した材料特性を計算するために、材料データ ファイルからの母材と繊維の劣化レベルが使用されます。2 の値で進行性破損機能がアクティブになり、破損した材料特性を計算するために、12 番目と 13 番目のユーザ材料定数で指定された母材と繊維の劣化レベルが使用されます。

織物に対して 2 の値を選択すると、織物材料ごとに前処理時間が約 45 ~ 60 秒長くかかります。2 の値がサポートされるのは、完全単位セル ミクロ構造ではなく縮小単位セル ミクロ構造を使用する朱子織物のみです。使用可能な織物ミクロ構造の詳細については、『Material Manager ユーザ ガイド』の「付録 E」を参照してください。値が 1 の場合は、破損した材料特性(Composite Material Manager で材料の作成時に指定した母材と繊維の劣化レベルで)は既に材料ファイルに格納されているため、前処理の実行時間は長くなりません。

進行性破損解析機能は、製品の非線形マルチスケールの構成関係の基礎となる要素です。SDV1 によって採用される個別の値は、基本となる複合材料のミクロ構造、および呼び出される材料の非線形性の追加形式によって異なります。SDV1 の許容離散値の包括的なリストについては、「付録 C」を参照してください。 さらに、個別の複合損傷状態の記述は、解析の前処理段階で作成された概要ファイル(*.mct)に書かれています。

以下の図は、進行性破損機能を使用して解析された [0°/ ±45°]s の一方向復号材料プレートを示します。 これは、MCT 状態変数 SDV1 のコンタ プロットを示し、0° の層における複合損傷状態を表します。青の領域は構成が破損していない(SDV1=1)複合材料を表し、緑の領域は母材構成が破損した(SDV1=2)複合材料を表し、赤の領域は母材構成と繊維構成が破損した(SDV1=3)複合材料を表します。

注: 複合材料の有効な個別の損傷状態の数は、複合材料のタイプ(一方向または織物)、および使用される材料の非線形性フィーチャの特定の設定によって異なります。ある状況について、個別の複合損傷状態の記述およびそれに関連付けられた SDV1 の値は、解析の前処理段階で作成された概要ファイル(*.mct)に書かれています。また、「付録 C」には、さまざまな状況の複合材料によって採用されるすべての個別の損傷状態が記載されています。

進行性破損解析機能の詳細については、『理論マニュアル』を参照してください。

要約すると、進行性破損がアクティブ化されていると、損傷が予測されたときに要素の剛性が低減します。進行性破損を非アクティブ化すると、要素の剛性は全解析にわたって一定になります。