冷媒流解析の定理

冷却回路では、通常は、互いに直列または並列に接続された複数の冷却管または冷却管コンポーネントが関与します。こうした回路を流れる流体の解析は、「連続の定理」と「仕事-エネルギーの定理」という 2 つの単純な定理に基づいています。

連続の定理

系全体で質量の保存を満たす必要があります。

直列接続の冷却管の場合は、系にある個々のコンポーネントの直径や断面形状の変更に関係なく、総流量が一定のままでなければならないことを意味します。

並列の流れの場合は、ネットワーク内のすべての接合点について、接合点に流入する総流量と、接合点から流出する総流量とが等しくなければならないことを意味します。

仕事-エネルギーの定理

2 つの接合点間の圧力降下が、2 つの接合点間のすべての経路で同じである必要があります。

直列接続の場合、総圧力損失は、直列系にある個々のコンポーネントで生じるすべての圧力損失の和に等しくなります。大規模なシステムでは、ネットワークの摩擦損失が圧力損失の主要因になりますが、継手、バルブ、ベンド、エルボ、ティー、流入口、流出口、拡流部、縮流部などを流れる流体を原因とするマイナー損失もまた要因になります。金型などの小規模なシステムでは、マイナー損失による影響の方が大きくなります。

並列の冷却管の場合、同じ 2 つの接合点に接続された各分岐で生じる圧力損失は同じになります。各並列分岐における相対的な流量は、各分岐の圧力損失は同じであるという要件によって決まります。

図 1. ネットワークを流れる並列の流れ

たとえば、仕事-エネルギーの定理により、図 1 の 3 つすべての分岐による圧力損失は同じになります。ただし、冷媒はさらに分岐 1 および 3 に沿って流れ、同じ接合点 B に到達します。圧力損失が同じ場合、流れは常に最も抵抗の少ない経路をたどるため、分岐 2 では分岐 1 および 3 よりも多くの流体が流れます。ネットワークを流れる総流量は、分岐 1、2、3 を流れる流れの和です。そのため、損失水頭は各分岐で同じになり、総流量は個々のすべての配管またはダクトを流れる流量の和になります。