スケーラブル ソルバー
スケーラブル ソルバーの概要
Autodesk® CFDの解析効率を継続的に向上させるための取り組みにより、ソルバーのオプションとしてスケーラブル ソルバーを使用できるようになりました。このソルバーは、約 1000 万~ 5000 万要素を含む大規模なシミュレーション用に特別に設計されています。元の従来のソルバーとは異なり、スケーラブル ソルバーは、各プロセスをプロセス/スレッドのハイブリッドとして複数のスレッドで実行できるようにするだけでなく、キャッシュのパフォーマンスを最適化するように設計されています。そのソルバーでは、複数のコンピュート ノードを使用する大規模モデルの解析時間が大幅に短縮されます。単一のコンピュート ノード上の小規模なモデルでのパフォーマンスは、既定の従来のソルバーと同様です。
スケーラブル ソルバーのアーキテクチャは、複数のコンピュート ノードで構成されるプロセッサとクラスタの数が多いシステムに理想的です。標準のネットワーク接続を使用するシステムで適切に機能します。インフィニバンドなど、より高性能の接続を使用すればさらに解析速度は向上しますが、メリットを実現する必要はありません。
サポートされる機能
スケーラブル ソルバーは次の機能をサポートしています。
制約事項
次の機能項目はスケーラブル ソルバーでサポートされていません。
- 圧縮性流れ
- 2 次元モデル
- 上記以外の乱流モデル
- ヒート シンク材料
- TEC 材料デバイス
- PCB 材料デバイス
- CTM 材料デバイス
- LED 材料デバイス
- 逆止弁材料デバイス
- 回転領域
- モニター ポイント
- 節点熱源
- 周期境界条件
- モーション
- 押出しメッシュ
- キャビテーション
- 湿潤空気
- ジュール発熱
- 自由サーフェス
さらに、非定常シミュレーションの場合、スケーラブル ソルバーを使用するときに[内部反復数]([実行] ダイアログ ボックスにある)の値が 1 を超えないようにする必要があります。
スケーラブル ソルバーの有効化
単一ノード
単一ノードでスケーラブル ソルバーを実行するには、[解析]、[ソルバー マネージャ]、[ソルバー コンピュータ]のいずれかのダイアログ ボックスで、ソルバー コンピュータとして[スケーラブル ソルバー]を選択します。
クラウド上のスケーラブル ソルバー: クラウド Premium
クラウドでスケーラブル ソルバー シミュレーションを実行するには、[解析]、[ソルバー マネージャ]、[ソルバー コンピュータ]のいずれかのダイアログ ボックスで、ソルバー コンピュータとして[クラウド Premium]を選択します。
クラウド Premium オプションはサブスクリプションメンバーのお客様にのみご利用いただけます。
永久ライセンスをお持ちの場合、クラウド Premium オプションは表示されますが、それを選択すると、実際にその機能にアクセスするにはサブスクリプションメンバーになる必要があることを示すメッセージが表示されます。その場合は、解析タイプを[クラウド]に変更してクラウド上で従来のソルバーを使用するか、ソルバー コンピュータとして[スケーラブル ソルバー]を選択し、スケーラブル ソルバーをローカルに実行してください。
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スケーラブル ソルバーの設定
Autodesk® CFD では、自動的にスケーラブル ソルバーを有効にする次の環境設定オプションが定義されます。
構成オプション | 解説 |
---|
ソケット/ノード | 通常、計算ノード上のソケット数に設定します。1 つの MPI プロセスが各ソケットで起動されます。 |
コア/ソケット | 通常、これはソケットごとの物理コア数で、MPI プロセスごとに呼び出される計算スレッド数を定義します。 |
ハイパースレッディング | ハイパースレッディングはアフィニティ設定にのみが使用されます。いかなる作業の実行にも仮想コアはロードされません。 |
アフィニティ | アフィニティは、各計算スレッドを特定のコアにロックします。これにより、オペレーティング システムが使用するコアを決定する手間を省略できるため、パフォーマンスを向上させることができます。 解析の途中でクラッシュまたは停止する場合、2 つ以上のソケットがあるときは特に、アフィニティの値を 0 に設定する必要があります。設定するには、次の手順を実行します。 1. C:¥ProgramData¥Autodesk¥CFD 2018 フォルダにある CFD2_default.xml ファイルを開きます。 2. NoAffinity 引数の値を 0 に変更します。行は図のように表示されるはずです: <NoAffinity>0</NoAffinity> |
収束の判断基準 | これは、計算に使用する基準のカットオフを示します。0.01 の値がほとんどの解析に適しています |
時間ステップサイズ | これは固定の疑似時間ステップ サイズを設定するために使用されますが、使用されることは稀です。 |
表示頻度 | スケーラブル ソルバーを実行すると、[表示頻度]によって定義された反復間隔で CFD のユーザ インタフェースに結果を送信します。これにより、既定のソルバーと同様に、シミュレーションの計算中に結果を確認できます。 各反復後に結果を送信すると時間がかかるため、スケーラブル ソルバーとユーザ インタフェース間で効率的なコミュニケーションを実現するには、値を 10 に設定します。表示があまりにも速く更新されている場合は、[表示頻度]を 100 まで上げてコミュニケーションを低減できます。これにより、並列パフォーマンスも向上されます。 |
クラスタ
クラスタで使用するスケーラブル ソルバを構成するには、Sim Squad に連絡してください。
スケーラブル ソルバーのシミュレーションを継続する
スケーラブル ソルバーのシミュレーションを停止および継続するには、いくつかの制限があります。
ソルバーが従来のソルバーからスケーラブル ソルバーに変更されている場合は、シミュレーションを停止および継続することはできません。
- ソルバー コンピュータ = マイコンピュータまたはクラウドの場合は、ソルバー コンピュータ = スケーラブル ソルバーまたはクラウド Premium を使用して継続することはできません。
- ソルバー コンピュータ = スケーラブル ソルバーまたはクラウド Premium の場合、ソルバー コンピュータ = マイコンピュータまたはクラウドを使用して継続することはできません。
シミュレーションがクラウドに移動された場合、またはクラウドから移動された場合、スケーラブル ソルバーのシミュレーションを停止して継続することはできません。
- ソルバー コンピュータ = スケーラブル ソルバーの場合、ソルバー コンピュータ = クラウド Premium を使用して継続することはできません。
- ソルバー コンピュータ = クラウド Premiumの場合、ソルバー コンピュータ = スケーラブル ソルバーを使用して継続することはできません。
注: ただし、ローカルの従来のソルバからクラウドの従来のソルバへは継続できるため、ソルバ コンピュータ = マイコンピュータはソルバ コンピュータ = クラウドを使用して継続することができます。
スケーラブル ソルバーを使用して実行するシミュレーションは、シミュレーションを停止して特定の設定を変更した後に継続することはできません。
- ソルバー コンピュータ = スケーラブル ソルバーまたはクラウド Premium は、[物理的特性]タブの設定が変更されている場合、またはシミュレーションが[定常状態]から[非定常](またはその逆)に変更された場合は継続することができません。[物理的特性」の設定を変更するには、反復数 0 からシミュレーションを開始する必要があります。
注: 従来のソルバ(ソルバ コンピュータ = マイコンピュータまたはクラウド)では、このような変更を加えることができます。
その他の注意事項
- インテリジェント解析制御: このスケーラブル ソルバーは、従来のソルバーとは異なるアルゴリズムを使用しており、常に有効になっています。[解析制御]ダイアログの[インテリジェント解析制御]トグルは、スケーラブル ソルバー実行時の解析には影響しません。
- 自動収束判定: このスケーラブル ソルバーは、従来のソルバーとは異なるアルゴリズムを使用しており、常に有効になっています。[アドバンスト解析制御]ダイアログの[自動収束判定]コントロールは、スケーラブル ソルバー実行時の解析には影響しません。収束を調整するには、CFD2_default.xml ファイル内(C:¥ProgramData¥Autodesk¥CFD 2018 フォルダにあります)の ConvergenceCriteria パラメータを修正します。
- スケーラブル ソルバーの使用時、定常熱伝達シミュレーションでは[流れ計算後に伝熱計算]が常に有効になっています。[実行]ダイアログの[流れ計算後に伝熱計算]トグルは、スケーラブル ソルバー実行時のシミュレーションには影響しません。