Autodesk Civil 3D のます構造には、リム、接続パイプ、および排水溜めの上下移動範囲をコントロールできるサイズ変更の動作が組み込まれています。
たとえば、最上部のパイプ インバートを上方向へ移動したことにより、その標高が上昇して、パイプ インバートが構造物の最上部(リム)に達する場合、リムが自動的に上方向へ移動します。これにより、垂直パイプ クリアランス領域の下の部分でパイプが構造物に対するパイプの接続が維持されます。サイズ変更の動作によって、ます構造は、フレームの高さおよび円錐の高さを維持し、構造物の最上部にある垂直パイプ クリアランス領域にパイプが接続されないようにその領域を保護することができます。
接続パイプを構造物の垂直パイプ クリアランス領域に移動しようとすると、図面上で構造物の最上部(リム)が自動的に上方向に移動します。
これは、ます構造に組み込まれたサイズ変更の動作の一例に過ぎません。そのほかのサイズ変更の動作は、ます構造のリムまたは排水溜めの上下移動の範囲を制御します。
ます構造を編集する前に、サイズ変更の動作について次の点を理解する必要があります。
このセクションでは、次に示す状況において呼び出される構造物サイズ変更の動作について説明します。
こうしたます構造のリム、接続パイプ、または排水溜めの標高の変更は、構造物のグリップ編集、参照サーフェスの変更、またはパイプの標高の変更を行うと発生する場合があります。こうした編集を行うと、構造物のパーツの標高が変更される場合があります。
ます構造のリム(構造物の最上部)を上方向に移動すると、リムが単に新しい標高へ移動します。接続パイプおよび排水溜めの標高は変更されません。
垂直パイプ クリアランス領域を侵す標高へと、ます構造のリムを下方向に移動することはできません。リムは常に垂直パイプ クリアランス領域の上部に位置していなければなりません。
垂直パイプ クリアランス領域を侵すポイントまで、ます構造に接続されたパイプを上方向に移動すると、構造物の最上部(リム)が自動的に上方向へ移動し、パイプが垂直パイプ クリアランス領域に接触しないようにします。この場合、構造物のリムの標高が変更されます(上方向へ移動)。
垂直パイプ クリアランス領域に接触しないポイントへパイプを上方向に移動した場合、パイプは上方向に移動しますが、構造物の残りの部分はそのまま維持されます。この場合、構造物のリムの標高は変更されません。
[排水溜めを次で制御]プロパティを理解する
接続パイプを下方向に移動した場合に構造物のサイズ変更の動作に影響を与える、ます構造に関連付けれたプロパティがあります。そのプロパティは、[排水溜めを次で制御]プロパティと呼ばれ、[深さ]または[標高]に設定することができます。このプロパティを[深さ]に設定すると、排水溜めの深さは、最下部のパイプ インバートに基づき、深さによって制御されます。このプロパティを[標高]に設定すると、排水溜めの深さは、排水溜めの標高値によって制御されます。サイズ変更の動作は、構造物に設定されているこのプロパティによって異なります。
[排水溜めを次で制御]が[深さ]に設定されている場合に、接続パイプを接続先の構造物の排水溜めの標高の下まで下方向に移動すると、排水溜めの標高が深さで制御されるように設定されているため、排水溜めの標高は新しい標高へ移動します。この新しい排水溜めの標高は、最下部のパイプ インバートの深さから、排水溜めの深さを差し引いた深さになります。
[排水溜めを次で制御]が[標高]に設定されている場合に、接続パイプを接続先の構造物の排水溜めの標高の下まで下方向に移動すると、排水溜めは最下部のパイプの標高と同じ標高へ自動的に下方向に移動します。この場合、排水溜めの深さは 0 に設定されます。
排水溜めの深さグリップを使用すると、ます構造の排水溜めを最下部の接続パイプに合うポイントまで上方向に移動することができます。ただし、最下部の接続パイプに接触するポイントを超える上方向への移動はできません。
ます構造の排水溜めを下方向に移動すると、排水溜めは単に新しい標高へ移動します。接続パイプや構造物のリムは影響を受けません。この動作は、排水溜めが深さまたは標高によって制御されいるかに関わらず同じです。
ます構造にパイプが接続されていない場合、リムおよび垂直パイプ クリアランスが排水溜めに対して優先されます。
[排水溜めを次で制御]プロパティが[深さ]に設定されている場合に、構造物のリムを上方向に移動すると、排水溜めは、リムの移動と同じ距離で上方向に移動します。
[排水溜めを次で制御]プロパティが[標高]に設定されている場合に、構造物のリムを上方向に移動すると、排水溜めは、リムの移動と同じ距離で上方向に移動します。
構造物のリムを下方向に移動すると、排水溜めは移動しません。リムは、下方向に移動することはできますが、排水溜めの上までしか移動できません。リムは常に排水溜めの上部に位置していなければなりません。
このセクションでは、接続パイプを含まないます構造におけるサイズ変更の動作について説明します。
[排水溜めを次で制御]プロパティが[深さ]に設定されている場合に、構造物の排水溜めを上方向に移動した場合、新しい排水溜めの標高は、垂直パイプ クリアランス領域の上、同じ高さ、または下になります。この場合、リムの標高は影響を受けず、排水溜めの深さは 0 に設定されます。
[排水溜めを次で制御]プロパティが[標高]に設定されている場合に、構造物の排水溜めを上方向に移動した場合、排水溜めは、垂直パイプ クリアランス領域の最下部までしか上方向に移動できません。
構造物の排水溜めを下方向に移動すると、排水溜めは新しい位置(新しい排水溜めの深さ)に移動しますが、リムの標高は変更されません。
構造物は、構造物のリムから排水溜めまでの最小高さと最大高さによって制限されます。リムから排水溜めまでの構造物の高さの現在の値は、[構造物プロパティ]に[リムから排水溜めまでの高さ]として表示されます。許容範囲は、パーツの SRS (構造物のリムから排水溜めまで)パラメータに基づきます。SRS パラメータは、最小値、最大値、および既定値を持つ範囲です。この範囲外になるように構造物を編集することはできません。構造物の高さが許容範囲外になるように編集しようとすると、イベント ビューアに警告メッセージが表示されます。
構造物のリムから排水溜めまでの範囲が現在の設計に適していない場合は、構造物の作成に使用するパーツ編集ツールで変更できます。パーツ ビルダでパーツを作成した場合は、そのツールを使用して SRS パラメータの最小高さと最大高さを編集できます。Infrastructure Parts Editor でパーツを作成した場合は、パーツの .XML ファイルで最小高さと最大高さの値を編集できます。詳細については、「パーツ ビルダでパーツを編集する」および「Autodesk InfraWorks または Autodesk Civil 3D にパーツ カタログをパブリッシュするには」を参照してください。