Inventor では、Inventor ドキュメントの外部でスタイル情報を保存する手段として、XML (Extensible Markup Language)ファイルを使用します。スタイル ライブラリの XML ファイルのスキーマは、リリースごとに変更されることがあります。
以下の 2 種類の方法で XML ファイルにスタイル情報を保存します。
スタイルおよび規格エディタを使用して、スタイルを追加したり変更することができますが、その内容は現在のドキュメントに保存されます。スタイル ライブラリにスタイルを保存しなければ、そのスタイルを他のドキュメントで使用することはできません。
スタイル管理には、スタイル名と値、サブスタイルの 2 つの一般的な構造があります。ドキュメント、スタイル、スタイル ライブラリ間の相互管理にはすべて、この 2 つの構造が使用されます。これにより、スタイルを使用しているオブジェクトは、すべての必要な情報を確実に保持することができます。
スタイル名と値
Inventor では、スタイル名と一意のスタイル識別子を使用します。同じコンテナ内では、2 つの同じ種類のスタイルが同じ名前を持つことはできません。たとえば、1 つの図面内に、「Default (ANSI)」という寸法スタイルは 1 つしか存在できません。しかし、「Default (ANSI)」という寸法スタイルと「Default (ANSI)」という文字スタイルは、それぞれスタイルの種類が異なるため、同じ図面内に存在可能です。Inventor では、同じ名前の 2 つのスタイルを比較する場合、各スタイル内のすべてのプロパティが同じかどうかを確認します。この比較は「値」の比較です。ドキュメント内のスタイルとスタイル ライブラリ内のスタイル名が一致し、この 2 つのスタイルの値が同じ(属性がすべて同じ値)場合、名前と値が完全に一致したとみなされます。名前と値の一致のコンセプトは、Inventor で自動化作業を実行する目的で使用されます。
サブスタイル
スタイルでは、プロパティ セットをカプセル化して再利用します。このカプセル化を通じて、特定のタイプのプロパティ セットを別のタイプのサブセットをして再利用することができます。あるスタイルが、必要な情報を含む別のスタイルを参照することができます。別のスタイルによって参照されているスタイルのことを、サブスタイルといいます。
たとえば、寸法スタイルには以下の 3 つのサブスタイルがあります。
スタイルはそのサブスタイルの名前のみを認識し、サブスタイルに含まれるプロパティの値については一切認識しません。Inventor では、特定のコンテナ(ドキュメントまたはスタイル ライブラリ)内のスタイルが、別のコンテナ内のスタイルと名前と値が完全に一致しているかどうかを確認する際に、各スタイルが参照している同じ名前のサブスタイルも確認します。サブスタイル間の名前と値の一致は、名前と値が完全に一致するスタイルを判断する際には必要ありません。
スタイルがコンテナから別のコンテナにコピーされる際に、Inventor では、親スタイルに必要なすべてのサブスタイルが、コピー先のコンテナに存在することを確認します。コピー先のコンテナにサブスタイルが存在しない場合は、親スタイルと一緒にコピーされます。サブスタイルが存在する場合は、コピー先にあるサブスタイルのバージョンが使用されます。
以下の 2 つの方法でドキュメント間でスタイルを共有します。
パーツでは、アクティブなライブラリのすべてのスタイルが、スタイル ドロップダウン リスト、またはスタイルが選択できるすべての場所に表示されます。(Inventor の場合、同じスタイルの管理方法がシート メタル パーツ、アセンブリ、プレゼンテーションにも適用されます)図面では、ローカルにキャッシュされているスタイル、またはアクティブな規格に含まれるスタイルのみが表示され、選択対象になります。
通常は、ドキュメントとスタイル ライブラリ間の相互作用を、ユーザが意識することはありません。ドキュメント内で使用されるスタイルはすべて、自動的にそのドキュメントにコピー(キャッシュ)されます。これにより、スタイル ライブラリが使用できなくなった場合、(Inventor の場合)別のスタイル ライブラリを使用するプロジェクト、またはスタイル ライブラリを使用しないプロジェクトからドキュメントにアクセスする場合でも、ドキュメントに必要なすべてのスタイル情報を確保することができます。
使用可能なスタイル(またはスタイルのバージョン)に影響する考慮事項:
ドキュメントとスタイル ライブラリ間でのスタイル管理の最も一般的な作業は自動的に実行されます。
ドキュメントへの自動コピー:
スタイル ライブラリからスタイルを使用すると、そのスタイルとともに必要なすべてのサブスタイルが自動的にドキュメントにコピーされます。
スタイルの自動クリーンアップ:
自動的にドキュメントにコピーされたスタイルは、使用されなくなると、自動的にそのドキュメントから除去されます。このため、ユーザが処理する必要なしに、使用されていないメタデータが整理されたドキュメントになります。
自動クリーンアップは、スタイルを除去してもスタイル データが失われないことが Inventor で確認された場合にのみ実行されます。スタイルがドキュメントから自動的に除去されるのは、以下のすべてが該当する場合だけです。
名前と値が完全に一致するスタイルがスタイル ライブラリ内で見つからない場合、またはスタイルが、スタイルおよび規格エディタの[ドキュメントにキャッシュ]機能を使用して手動でスタイル ライブラリからドキュメントにキャッシュされた場合、Inventor では、手動で消去されるまでスタイルをドキュメント内に残します。
Inventor 内部のスタイル管理作業は、ほとんどを手動で実行します。以下のことができます。
図面内のスタイルは、図面のアクティブな製図規格に関連しています。アクティブな製図規格により、図面の書式を設定するためのスタイルが指定されます。各規格には、バルーン、寸法などの主要スタイル タイプがあり、それらのスタイル タイプにより各属性の書式設定が指定されます。たとえば、スタイルにより次のものが定義されます。
パーツおよびアセンブリでは、スタイルは照明の属性をコントロールします。
パーツでは、スタイルは照明の属性をコントロールします。
シート メタルでは、スタイルは照明の属性、その他のシート メタル固有の属性およびオプション(ゲージまたはシートの厚さ、曲げ、コーナー、パンチの別のフラット パターン リプレゼンテーション、展開の基本設定など)もコントロールします。
一部のスタイルでは他のスタイルに基づいて書式が設定されるため(たとえば、寸法の書式設定には文字スタイルが使用されます)、スタイルの変更は、そのスタイルを参照している他のスタイルすべてにまで影響する可能性があります。
変更したスタイルは、[管理]タブ [スタイルと規格]パネル [保存]の順にクリックしてスタイル ライブラリから他のドキュメントを更新しない限り、現在のドキュメントにのみ適用されます。Inventor を使用している場合、スタイル ライブラリへの保存は通常、CAD 管理者が管理します。
[スタイルおよび規格エディタ]ダイアログ ボックスで、スタイル一覧を指定できます。[フィルタ]の矢印をクリックして以下のいずれかを選択します。