システム ハードウェア、オペレーティング システム、ネットワークが大規模なアセンブリのパフォーマンスに与える影響について学習します。
このページでは、パフォーマンスや容量に関するヒントを提供します。1 つのソリューションですべての状況に対応できるわけではありません。自分の設計環境に合ったソリューションを使用してください。
コンピュータのプロパティ
[マイ コンピュータ] を右クリックして[プロパティ]をクリックし、システムの基本情報を表示します。[デバイス マネージャ]をクリックして詳細情報を確認することができます。たとえば、[ディスプレイ アダプタ] をクリックしてグラフィックス カードとドライバの情報を参照します。
DirectX 診断ツール
システムの DirectX 診断ツールで情報を参照できます。このツールを起動するには、Windows のスタート メニューで[検索]ボックスに「dxdiag」と入力して[Enter]を押します。ツールの[システム]タブや[ディスプレイ]タブでグラフィックス カードの情報を参照できます。
DirectX Inventor Diagnostics
Inventor を起動し、ドキュメントを開いてから、[ツール] [アプリケーション オプション] [ハードウェア]の順に移動します。[診断]をクリックし、[OK]ボタンをクリックして、テキストまたは Word ファイルに Inventor の診断情報を貼り付けると、これらのシステム情報やグラフィックス情報を確認することができます。
実際の要件は、パーツ ジオメトリの複雑度とオカレンス数によって異なります。
更新ドライバ、BIOS、チップセット ユーティリティを簡単に検索できるように、製造元が同じチップセットを搭載したマザーボードを選択してください。CPU を選択するときには、オンボード メモリ キャッシュを考慮してください。オンボード キャッシュの容量とタイプは、パフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性があります。
Intel または AMD のチップセットを搭載したマザーボードを使用してください。他の一部の製造元のチップセット ユーティリティを使用すると、AGP インタフェースの実装に起因して不安定になる可能性があります。このような場合、そのユーティリティをアンインストールし、一般的な Windows ドライバを利用してもかまいません(ただし、パフォーマンスが低下する場合があります)。この状況を解決するには、製造元に相談してください。
新しいマシンであっても、製造元の Web サイトで公開されている最新の BIOS が適用されていることはほとんどありません。最新版をダウンロードして更新してください。
最低 4 GB 以上のビデオ RAM を搭載した DirectX 11 グラフィックス カードを使用することをお勧めします。
モバイル対応のグラフィックス カードを搭載したラップトップを使用している場合は、ラップトップ ベンダーのドライバ ダウンロード センターからグラフィックス ドライバを入手できます。
マシンに搭載する RAM の容量を増やすほど効果的です。マザーボードの仕様をチェックして、搭載可能な RAM の最大容量を確認してください。入手可能な最速の RAM を使用してください。
一意のパーツの数が 1,000 個を超える大規模なアセンブリでは、24 GB 以上の RAM をお勧めします。一意のパーツの数が 7,000 個程度の場合には、64 GB の RAM をお勧めします。実際の要件は、パーツ ジオメトリの複雑度とオカレンス数によって異なります。
プロセッサと同じ周波数でデータを転送する RAM を選択してください。たとえば、PC1066 RAM は、Intel 850E と同じ 2,132 MB/sec でデータを配信します。ペアは 4.2 GB/秒を提供します。P4 CPU @ 533 MHz も 4.2 GB/秒で動作します。
Windows タスク マネージャーを使用すると、システム RAM の詳細な使用状況を示す情報を取得することができます。
ハード ドライブの読み取り時間や書き込み時間は、アセンブリを開いたり、保存するときに必要となる時間に影響します。ソリッドステートのドライブは、アセンブリを開いたり保存したりするのに必要な時間が短縮されるため、アセンブリの規模が大きい場合のパフォーマンスを大幅に向上させることができます。予算にゆとりがある場合は、SSD ドライブの使用をお勧めします。予算にゆとりがない場合は、推奨ハードウェアの情報を参照してください。
HDD の編成:
このセクションの説明に先立って、コンピュータのハード ディスクに格納される情報を次の 4 つのカテゴリに分けます。各カテゴリの要件はそれぞれ異なります。
基本的なほとんどのシナリオでは、これらの項目はシステム内の 1 台の物理ディスクの 1 つまたは 2 つのパーティションに格納されます。理想的には、複数のボリュームを使用し、Temp をストライプ ボリュームに格納し、データをフォールト トレランス対応のストライプ ボリュームに格納します。
OS およびアプリケーションにあるファイルには、頻繁にアクセスします(プログラムを起動すると、ファイルがメモリに 1 回ロードされます)。データおよび Temp にあるファイルは、Inventor での作業中によく読み書きします。したがって、高速のハード ドライブを使用してデータおよび Temp に対する読み書き速度を上げると、最大の効果があります。
データ アクセスと密接に関係しています。ファイルの使用頻度が高いほど、断片化も速くなります。
OS とアプリケーションの分離は表面的なものであり、パフォーマンスはほとんど変わりません。
Temp ファイルを別のパーティションに格納すると、他のファイルの断片化が生じなくなります。すべてのアプリケーションを閉じた後、システムの一時フォルダからすべてのファイルを削除することによって、断片化を容易になくすことができます。最小ページ ファイル サイズの値を最大ページ ファイル サイズと同じにすると、ディスクにページングするときのパフォーマンスが向上します。ページ ファイル自体は断片化されません。また、ページ ファイルによって他のファイルが断片化されることもありません。さらに、ページ ファイルは既に最大サイズに設定されているので、拡張に時間をかけなくて済みます。ページ ファイルは、まず空のパーティションに作成してください。これにより、断片化が発生することも、削除や再作成が必要になることもありません。
Inventor では、ファイルにアクセスするときにセグメント ローディングが使用されます。つまり、ファイルの必須部分のみがメモリにロードされます。それ以外はハード ドライブに残ります。そのため、ファイルから追加のセグメントが必要になった場合でも、最短時間で読み込むことができるため効果的です。
パフォーマンスを向上させるには、以下の推奨事項に従ってください。
Inventor の計算パイプラインは連続で実行されるため、CPU 速度が高速になると、より良い結果が得られます。ただし、パイプライン内の各ステップは依然として複数のコアを使用でき、さらにグラフィックスの操作性、モデリング操作、図面の更新などのメリットをワークフローで活用できます。詳細については、「マルチコア プロセッサのサポート」を参照してください。
通常、Inventor ではハイパースレッディングの使用は推奨されていません。これは Studio でのレンダリングなど非常に固有のワークフローでのみ有用であり、他の多くのワークフローでは、CPU 計算リソースの競合を生むため、パフォーマンスが低下する場合があります。
msinfo32 を使用して競合がないか確認してください。[システム情報]ダイアログ ボックスで、[ハードウェア リソース] > [競合/共有]に移動します。
競合しているデバイスを書き留めて、ドライバを更新します(特に、グラフィックス カードやネットワーク カードとの競合に注意してください)。 Windows では IRQ は動的に割り当てられるため、ドライバを更新しても、これらの競合は解決されません。ただし、競合をより適切に管理できるようにはなります。
メモリ使用量の多いアプリケーションを使用すると、ハード ディスクの場合と同様に、マシンのメモリが断片化されます。RAM の断片化に起因して、OS での I/O 要求の処理に時間がかかり、システム全体が遅くなります。この問題の最も一般的な解決策は、パフォーマンスが低下しはじめたときにマシンを再起動することです。または、Windows で RAM 最適化ユーティリティを使用して、断片化が警告レベルに達したときに RAM が自動的に解放されるようにすることもできます。
ページ ファイルは、断片化が最小限に抑えられるよう、常に新たにフォーマットした空のパーティションに作成してください。
ページ ファイル サイズの最小値と最大値の両方を同じ値に設定します。同じ値に設定すると、ディスク容量全体が 1 回で割り当てられるため、ディスクの断片化が最小限に抑えられます。また、仮想メモリのサイズを変更してもメモリ割り当ての処理が遅延することがなくなります。
ページ ファイル サイズは、実際の RAM の 1 ~ 1.5 倍に設定してください。
仮想メモリ容量と物理メモリ容量の配分が不均衡(5:1)になると、パフォーマンスが低下します。マシンによるディスクに対する読み書きは絶え間なく行われます。
同じ物理ディスク ドライブ上の別々のパーティションに複数のページ ファイルを配置しないでください。可能であれば、システム(OS)ファイルとは別のパーティションまたは物理ディスクに配置してください。たとえば、d:¥ にページ ファイルを 1 つ配置します。
OS などのシステム ファイルと同じドライブにページ ファイルを配置することは避けてください。
ミラー ボリュームや RAID-5 ボリュームなどのフォールト トレランス対応のドライブにページ ファイルを配置することは避けてください。ページ ファイルにフォールト トレランスは不要です。フォールト トレランス対応のシステムでは複数の場所にデータが書き込まれるため、書き込み処理に時間がかかります。
ドライブを最適化状態に保つと、特にアセンブリの規模が大きい場合などに Inventor ドキュメントを短時間で開けるようになります。断片化されたドライブに大きなファイルをコピーまたは保存すると、ファイルが断片化され、開くのに時間がかかります。ディスクの速度が遅くなるほど、断片化によるパフォーマンスへの影響も大きくなります。この要因は、新しいバージョンの Inventor にデータセットをマイグレーションしたり、Vault やネットワークにあるデータセットを自分のマシンにダウンロードして編集する場合に重要になります。
最適化は、Windows に付属のツールを使用して行うことも、市販のツールを使用して行うこともできます。無料のツールは、[スタート] > [プログラム] > [アクセサリ] > [システム ツール] > [ディスク デフラグ ツール]にあります。ハード ディスクにインストールされた Inventor プログラム モジュールを最適化することによって、Inventor の起動時間が短縮されます。Inventor プログラム ファイルのみを最適化するには、次の手順に従ってください。
ドライブを最適化しても起動時間が改善されない場合は、ディスクや入力デバイスの設定に問題がある可能性があります。ドライブに問題がある場合は、現地の IT 部門と協力してドライブのベンチマーク テストを行い、設定またはドライバに問題がないか確認してください。CAD 製品専用の入力デバイスを使用している場合は、そのデバイスをアンインストールしてから標準のマウスを使用することで、デバイスが問題の原因となっているかどうかを確認することができます。入力デバイス用の最新ドライバをインストールすると、問題が解決する場合もあります。
ディスク クリーンアップは、不要なファイルを削除するためのワンストップ ツールです。ごみ箱、一時ファイル、古い圧縮ファイルなどをクリアするのに役立ちます。ディスク クリーンアップの実行後にハード ドライブを最適化すると、最大の効果が得られます。ディスク クリーンアップは、[スタート] > [プログラム] > [アクセサリ] > [システム ツール] > [ディスク クリーンアップ]にあります。
一時フォルダおよびごみ箱を定期的に空にしてください。[スタート] > [コントロール パネル] > [システム] > [詳細設定]タブ > [環境変数]で、TEMP ファイルの場所を確認できます。
圧縮または暗号化されたドライブに OS、Inventor アプリケーション ファイル、Inventor 作業ファイルが存在しないことを確認してください。
Inventor では Windows 7、8.1、および 10 をサポートしています。Windows のテーマと視覚効果はシステム リソースを消費する可能性があり、生産性のメリットはほとんどありません。最小に保つことを検討してください。
セキュリティを低くして、ウィルス対策ソフトウェアによる Inventor への干渉を最小限に抑えてください。ウィルス対策ソフトウェアによっては、リアルタイム ファイル保護を無効化できるものもあります。すべてのファイルを対象にするのではなく、実行可能ファイルを開いた場合にのみスキャンするように、ウィルス対策ソフトウェアを設定することをお勧めします。
メモリを解放するには、使用されていないサービスをオフにします。使用されていないサービスを停止すると、メモリが節約され、システム パフォーマンスが向上します。ただし、停止による影響を把握した上で、実際にサービスを停止するようにしてください。
ほとんどまたはまったく使用しないサービスをマシンで実行していると、システム リソースを浪費します。サービスは、Windows の[サービス]ダイアログ ボックスで管理します。サービスをクリックすると、説明が表示されます。サービスをダブルクリックすると、[プロパティ]ダイアログ ボックスが表示されます。[依存関係]タブで、依存サービスと必須サービスを確認します。サービスが不要な場合は、スタートアップの種類を[手動]に設定します。必要に応じて前の設定に戻せるように、変更を書き留めておいてください。
バックグラウンドや Windows タスク バーで実行されるアプリケーションの数を最小限に抑えてください。
Autodesk Vault Basic などのドキュメント管理システムを使用して、ローカル ハード ディスクにデータをコピーしてください。ローカル ハード ドライブにデータがあると、開く、保存する、閉じる、更新するといった処理をできるだけ高速に実行することができます。
スイッチ上のすべてのエンジニアリング ポートを 1 Gb 全二重に固定し、自動スイッチングを無効にします。
このアクションにより、大量の Inventor データの使用中でも、LAN セグメント全体にわたってデータ フローの中断がなくなります。共有環境で Inventor を使用する場合は、予測可能で安定したネットワークを実現する上で、この設定は不可欠です。
すべてのネットワーク カードを 1 Gb 全二重に固定し、自動スイッチングを無効にします。
このアクションにより、大量の Inventor データの使用中でも、LAN セグメント全体にわたってデータ フローの中断がなくなります。共有環境で Inventor を使用する場合は、予測可能で安定したネットワークを実現する上で、この設定は不可欠です。
ワークステーションと Inventor ファイル サーバ間のホップが 2 つしかないことを確認してください。
ホップを確認する簡単な方法は、クライアント マシンからサーバまでを対象に DOS コマンド tracert を使用することです。tracert コマンドを使用すると、ホップの数が表示されます。
Inventor ユーザと同じ分割 LAN セグメントに Inventor ファイル サーバを配置してください。
ワークステーション クライアントと Inventor ファイル サーバの両方でネットワーク使用率を計測してください。サーバにおける全体的なネットワーク使用率が 40% 以下になるようにしてください。サーバのネットワーク使用率が 40% を上回る場合は、パフォーマンスが低下し、データ損失の可能性が高くなります。ネットワークをアップグレードするか、サーバにアクセスするユーザ数を制限してください。
すべてのユーザが同時にサーバを利用する場合は、サーバの CPU とメモリをアップグレードすることをお勧めします。場合によっては、複数のネットワーク カードと LAN セグメントもアップグレードしてください。
Inventor ではファイルの分割ロードが使用されるため、ネットワーク上のファイルを処理する場合に問題が発生する可能性があります。たとえば、ユーザがアセンブリ ファイルを開いたときに、Inventor で各ファイルの b-rep (境界表現)のロードが開始され、さらにユーザが一部のパーツ ファイルの編集を開始するといった状況が考えられます。この後、ネットワークで問題が発生し、ユーザが保存操作を行っても失敗します。これは、完全なファイルをローカルに転送できなかったことが原因です。このような場合は、古いバージョンのファイルに戻す必要があります。したがって、ローカル ドライブでの作業をお勧めします。